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年末年始特集

市場関係者に聞く2019年相場

 大きく揺れ動いた2018年の株式市場がようやく幕を閉じた。前年まで6年続いた日経平均株価の上昇はついに途絶え、くる年を見通す上でも不透明感が強い。日本株を待つ未来は反発か、調整か? 気になる株価の行方を中心に2人の識者を直撃した。

FRBへの不信感高まる

りそな銀行 チーフ・エコノミスト/黒瀬 浩一氏

 12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)後の日米株の暴落は、根底にあるのはFRB(米連邦準備制度理事会)への不信感ではないだろうか。パウエル議長の会見内容をよくみると、量的緩和の縮小影響の見方をはじめ従来の立場を撤回するかのような不条理な点が目立つ。FRB内部の方向感が定まっていないことがうかがわれ、いわゆる「市場との対話」が成立していない。

 こうしたことは、トランプ米政権にも共通する。最近でもマティス国防長官が辞任を表明するなど迷走ぶりは相変わらずだ。また、米中首脳会談で貿易をめぐる合意がまとまりかけていたのに、同じ日に中国ファーウェイの幹部が逮捕されるなど、状況は混乱している。

米中対立は小康状態へ

 株式市場は米中摩擦が世界経済に与える影響について、最悪に近いケースを先行して織り込んでいるように思える。そういう時にFRBがブレてはいけない。しかし、実際問題として米中が正面からぶつかり合うとは考えにくい。両社の対立はもっと遠大で、おそらくより慎重に着地点を探っていく種類のものだ。

 来年は1月にトランプ大統領の一般教書演説があり、対中スタンスが改めて示される。また、3月には米中追加関税の猶予期限を控えている。こうした重要局面において、市場の懸念が緩和される要素が表面化するだろう。

 もっとも、NYダウ、日経平均株価ともにすでに大天井を打ったとみられ、日経平均の戻りのメドは2万3,000円程度。国内の政策余地がなくなる年後半には1万9,000円まで調整するとみられる。

トランプリスク後退で日経平均2万4,000円へ

大和住銀投信投資顧問 経済調査部シニアエコノミスト/門司 総一郎氏

 18年高値から大きく調整した日経平均株価は、PERでみると相対的に割安な10倍台まで低下している。しかし、割安にはそれなりの理由があり、そこが拭われなければ修正高は訪れない。その意味で、19年はいまよりも状況が改善するだろう。

 まずは、株価の上値を抑えているトランプ米大統領の動きだ。19年は米国で大きな選挙がなく、支持率を押し上げる必要が薄まる。選挙対策とみられる中国への圧力を弱める可能性が高く、貿易戦争をめぐる懸念も下火になるだろう。

 また、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)が合意にこぎつけたことも大きな材料だ。マーケットが嫌うのは、なによりも先が見えないこと。しかし、USMCAが米中間をはじめとする貿易協定のベンチマークとなる。

世界景気は底堅く

 もうひとつの問題が、世界景気への不安だ。ただ、これについても悲観は早晩収まるだろう。多少の減速があるにせよ、米長短金利の逆転が即景気後退を意味するわけではない。新興国通貨の強さが経済の底堅さを示唆していることからも、弱気ありきは歪んだ見方だ。

 19年はこれまでの重石が取り払われることで、バリュエーションを見直す動きが日本株を支えるだろう。米国の対中追加関税発動の猶予期限を迎える2月下旬以降は、アク抜け感から日本株が騰勢を強めることが予想される。

 日経平均のレンジは足元の安値〜2万4,000円で、高値時期は10月とみる。年終盤には2020年の米大統領選がそろそろ意識され、トランプ大統領が再び「アメリカファースト」のスタンスを強める展開に備えたい。

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