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掲載期間:2020年3月5日〜2020年4月6日

特別講演1

物流不動産市場の最新トレンドと見通し

  • プロロジス
    代表取締役社長 
    山田 御酒氏

約5,200社の企業と取引し、7,300万平米の施設を運営するプロロジス

 プロロジスは物流施設に携わる不動産の開発会社です。物流施設(インダストリアル・リアルエステイト)を開発し、物流企業に提供しています。日本では、これまで「倉庫」という言葉を使ってきましたが、今は「物流施設」と呼んでいます。

 1983年に創業し、世界の持続可能性のある企業100社の1つです。NY証券取引所に上場しています。アメリカに本社を置き、世界19カ国でビジネスを行い、総所有運営資産が約11兆円です。管理資産の規模は7,300万平米で、山手線の内側(6,400万平米)を一回り大きくした面積があります。格付けはAマイナスで、不動産の開発会社としては上位です。

図表1:プロロジスの概観

図表1:プロロジスの概観
  • 注:証券格付けは、証券の売買または保持を推奨するものではなく随時見直しまたは撤回される可能性がある
  • 2019年6月30日時点データ

 NY市場の株価は92.35ドルで時価総額が6.3兆円の規模になります。東証に上場している「日本プロロジスリート投資法人」は時価総額が7,400億円程度です。日本では2001年から事業を開始し、開発実績が96棟、650万平米の物流施設を開発してきました。グローバルで5,200社の企業に施設をご利用いただいています。

 利用企業の約75%が物流企業です。主として3PL(サードパーティロジスティスク)という業態の企業に使っていただいています。うち2割程度がeコマースのお客様です。全体の15%程度が運送会社、10%くらいが製造業です。業種は、食品からヘルスケア、データまで、様々な業種のお客様に利用いただいています。約5,200社のご利用企業のうち、トップ25社が占める比率が19%です。業種も企業も分散しています。

 プロロジスの物流施設を通じて流通している商品の総額は約1.5兆ドル(162兆円)です。これは、世界19カ国のGDPの2.8%を占めます。世界のGDPの2%に相当します。施設で働いている従業員は約100万人です。

eコマースの発展で成長する物流施設

 物流業のコスト構造は、約半分が輸送費です。人件費が30%弱、在庫が24%で、賃料は3%です。物流コストを削減するという場合、基本は物流費や人件費、また、在庫のコストをいかに下げていくかということで、物流施設への賃料の影響は微々たるものです。物流コスト削減で、施設の賃料の引下げへのプレッシャーは大きくはありません。

 成長要因として大きいのはeコマースの発展です。今、リアルショップからeコマースにモノが移っています。中国では約20%、欧州で15%、米国で10%が小売りに占めるeコマースの割合になっています。日本は5-6%です。今後もeコマースの比率は30%程度までは伸びるのではないかといわれています。

 従来型のリアル店舗で販売する場合の物流施設の利用と、オンラインショップで利用する施設の倉庫の使用面積は約3倍になります。オンラインの場合は、全ての色とサイズに対応するため在庫の数が圧倒的に大きくなります。また、返品についても物流施設で対応していますので、必要な物流施設の面積が大きくなります。eコマースの発展によって物流施設の必要面積が増えていくという関係にあります。

 eコマースの売り上げ実績を2010年から2020年の予測をみると、この間に平均して162%伸びています。この間のインフレ率が16%、小売りの実質成長率は16%でしたので、eコマースがいかに急速に伸びているかがわかると思います。

図表2:eコマース普及の高まりに伴う成長

図表2:eコマース普及の高まりに伴う成長
  • 出所:イーマーケター、ゴールドマンサックス、プロロジスリサーチ
  • 備考:デバイスや決済方法に関わらず、インターネットを介して行われたすべての商品取引やサービスを含みます。(旅行、及びイベントチケットは除く)

 一方、米国での不動産需給は需給バランスがとれていて、空室率はピークで10%程度までありましたが、現在は4%程度です。欧州も空室率が5%を下回っています。アジアは、空室率が東京は2%台です。大阪は7-8%です。大阪には特殊な事情があり、それを除けば日本の物流施設の空室率は3%程度になり、非常に安定的に稼働しています。

 プロロジス物流施設は、消費地に近いところにあります。米国で一番大きな施設はカリフォルニアにあります。プロロジスの物流施設は全体の半分くらいが主要消費地に近いところにあります。需要の強いところに施設があります。

 物流施設の適地はアメリカでも少なくなっています。そこで、従来は平屋建ての施設を多層階にしようとしています。第1号としてシアトルのジョージタウンの施設を3階建てにしました。日本で7階建て、8階建ての施設を作ってきたノウハウを活かしています。アメリカでは非常に珍しい事例ですが、これを全米で計画し、欧州にも展開する計画です。新しい発想を導入しています。

 賃料の伸び率は、プロロジスは他の物流施設より1.25%高い賃料の伸び率になっています。

国内市場でも成長余地が大きいプロロジス

 日本では2001年から事業を開始し、これまで96棟の施設を開発し、現在私どもで55棟を運営しています。総延床面積は427万平米です。うち約6割が関東圏にあります。3割が大阪を中心とした関西です。残りの10%が仙台、名古屋、九州に位置します。

 国内での物流施設の供給は、2002年の事業開始から08年までは順調に伸びましたが、リーマンショック後に少し停滞の時期があり、12年から再び拡大しています。特に、ここ4-5年は日本の大手の不動産会社が物流施設に参入してきたので、物流不動産のマーケットが大きくなりました。ただ、私どものような先進的な物流施設は、2012年3月末で全体の約2%、18年9月末でも4.5%程度しかありません。約40社が物流施設の開発をしていますが、先進的な施設の比率は5%未満ですので、まだ、伸びる余地は大きいと考えています。

対談用写真

プロロジス
代表取締役社長

山田 御酒氏

図表3:先進的物流施設の供給動向とストック-物流不動産マーケットの概況

図表3:先進的物流施設の供給動向とストック-物流不動産マーケットの概況
  • ※2018年12月末日時点。延床面積5,000坪以上で、原則として不動産投資会社及び不動産開発会社等が開発した床荷重1.5t/u以上、天井高5.5m以上で機能的な設計を備えた賃貸用物流施設(マルチテナント型、ビルド・トゥ・スーツ型を含む。)を対象としています。2019年及び2020年の供給面積は2018年12月末時点の予想値であり、今後積み上がる可能性があります。
  • ※2018年9月末日時点。シービーアールイー株式会社のデータを基にプロロジスにて作成。先進的物流施設シェアは、2018年3月末時点における「総延床面積の推計値(CBRE)」に対する、2018年9月末日時点における「先進的物流施設の総延床面積」の割合です。

 日本の空室率は非常に低い状況です。首都圏で2.7%、近畿圏で7.1%と安定的に推移しています。一般的に不動産のカテゴリーの中で、オフィスビルや商業施設、住宅に比べて物流施設は地味だといわれていますが、その代わり、安定し、不況の影響もそれほど受けません。契約期間が非常に長く、平均で5年くらいですし、専用施設では10年以上の契約をいったんは結びますので、景気の変動によって家賃が変わる影響を受けにくいといえます。

 日本におけるeコマースやコンビニエンスストアの売上高が伸びていますが、それを支えているのが物流です。短時間で多品種のモノを届けるには、最新鋭の物流施設がないと当日配送・翌日配送のシステムを受け入れられません。

 また、労働力不足によって、物流は集約化することが必要です。また、機械化・ロボット化を進めることも必要になります。たとえば、棚を自動的に持ち上げて必要なところに運ぶ無人の搬送システムがあります。アマゾンの物流施設が有名ですが、日本でもどんどん使われ始めています。

 トラックではスマート・バース・システムによって、トラックの倉庫での待ち時間をいかに少なくするかという管理が行われるようになっています。こういうことで人手不足を解消する努力が続いています。これは、新しい施設でないと対応ができないのです。今、羽田などにある2階建て、3階建ての古いタイプの倉庫では、このような最新テクノロジーは導入できないのです。今後、日本でも最新鋭の物流施設が基本になっていくと思います。

共催

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