「資産運用をしよう!」と決心し、銀行や証券会社の窓口に行って「投資信託をください」と注文しても、投資信託(ファンド)を買うことはできない。どのファンドか特定して注文する必要がある。このファンドを特定することが、ファンド購入の最初のハードルになる。なぜなら、「投資信託」と一口にいっても4,400本を超える商品(DC・SMA専用ファンドを除く公募投信)がある。銀行や証券会社では、その中から取扱商品を絞って提供しているが、それでも数十本から数百本のファンドを取り扱っている。たとえ30本の中から選べと言われても、迷ってしまうだろう。なぜなら、「できるだけ儲かる商品を購入したい」と思ってしまうからだ。いざ、ファンドを購入する時、どのようにしてファンドを選べば良いのだろうか。世の中には、「投資初心者はインデックスファンドを選べば良い」と言う人もいるが、本当だろうか?
国内公募投信の投資資産別アクティブファンドとインデックスファンドの本数比較
※2020年11月末時点
「インデックスファンドを選べば良い」と言っている人の言わんとしていることは、「ファンドにはインデックスファンドとアクティブファンドの別があり、アクティブファンドの運用成績はインデックスファンドに劣るものが多いので、最初からアクティブファンドを選択の対象から外した方が良い。そもそもファンドのコストである信託報酬率はインデックスファンドの方が圧倒的に低いので、コストの面からもインデックスファンドを選んだ方が良い」ということだ。インデックスファンドだけを選べば良いということであれば、全ファンドのうち約11%である484本から選べば良いということになる。ただ、「インデックスファンドから選ぶ」といっても実際には簡単ではない。
たとえば、国内株式を投資対象にしたものだけでも「日経平均」「TOPIX」「JPX日経400」という代表的なインデックスが3つあり、「TOPIX コア30」や「TOPIX スモール500」など株式の規模別(大型・中型・小型)インデックス、業種別のインデックスもある。インデックスによってパフォーマンスは当然異なる。インデックスファンドを選ぶ場合でも、インデックスそのものの内容(投資する資産クラス、銘柄数の目安)や性格(経済環境に応じた上昇・下落の傾向など)を理解することが必要になる。
そして、インデックスファンドの信託報酬率も一律ではない。日経平均株価に連動するインデックスファンドでは、信託報酬が年0.154%(税込み)から0.88%のものまである。その差は実に5.7倍だ。インデックスファンドは、近年、コスト競争が激化して、信託報酬率の引き下げ競争が起こったため、急速に手数料の引下げが行われた。このため、比較的、設定時期が古いファンドは、信託報酬率が高くなっている。近年では、インデックスファンドは、ほとんどの資産クラス(国際REIT型を除く)で信託報酬率が年0.1%台のものがある。インデックスファンドで信託報酬率が年0.5%を超えるものは、同じインデックスに連動する他のファンドを探すようにしたい。
また、多くのアクティブファンドはインデックスファンドに運用成績が劣るというのは、運用成績を測る時点によって異なるものだ。概ねアクティブファンドの60%超はインデックスファンドに負けるというデータが巷には流布されている。しかし、過去1年間のトータルリターンを例にとると、国内株式のアクティブファンドの「厳選ジャパン」(アセットマネジメントOne)は11月末基準で82.82%だったが、「iFree日経225インデックス」は15.82%、「eMAXIS Slim国内株式(TOPIX)」は5.69%だった。これほどのパフォーマンスの差に目をつぶっていられるだろうか。
もちろん、アクティブファンドで成績の悪いものは、同時期に20%を超えるマイナスのものもある。インデックスファンドに投資していれば、1年間で5%~15%程度の投資収益が得られたところ、アクティブファンドではプラス80%超~マイナス20%超と、ファンドの選び方で大きな差がついてしまったということだ。日本株に投資するアクティブファンドだけでも575本。この中から、運用成績に優れたファンドを選び出すことは容易ではない。
すなわち、インデックスファンドもアクティブファンドも一言で、どちらが良いといえるものではない。このように見ていくと、ファンド選びは、なかなか手間がかかり面倒だと思われてしまうかもしれない。
このような面倒を少しでも軽減しようと、モーニングスターでは、DC・SMA専用ファンドも含む全6,000本以上のファンドを運用成績や信託報酬でランキングして、それらを比較して調べることができるようにしてある。モーニングスターのホームページでは、全て無料でファンドの比較ができるので、是非試していただきたい。
また、アクティブファンド等の運用成績については、モーニングスターレーティングがある。★の数で、運用成績の良し悪しを示すもので、最高は5ツ星(★★★★★)になる。4つ星以上のファンドは、過去の運用成績が上位32.5%に入っている優れた運用成績のファンドであるといえる。ファンドを選ぶ際の目安にしていただきたい。
個別ファンドの内容について代表の朝倉智也が分かりやすく解説する動画コンテンツ「ファンドの視点」も提供している。インデックスかアクティブかなど、ファンド選びで迷った時は、是非、以下の動画などを参考にしていただきたい。
「海外株式ファンド(日本を除く先進国)」比較
インデックスファンド(ニッセイ外国株式インデックスファンド)VSアクティブファンド(大和住銀 DC海外株式アクティブファンド)
「国際株式・北米」比較
インデックスファンド(SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド)VSアクティブファンド(米国NASDAQオープンBコース(為替ヘッジなし))
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