Fund of the year2020 受賞記念セミナー イベントレポートFund of the year2020 受賞記念セミナー イベントレポート

基調講演

インデックスファンドが台頭する中、
勝ち残るアクティブファンドの条件とは?

  • モーニングスター株式会社
    代表取締役社長 
    朝倉 智也

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資産運用はインデックスファンドだけで十分とは言えない

 資産形成で利用する投資商品として「インデックスファンドが良いか、アクティブファンドが良いか」ということは、これまでも様々に議論されてきましたが、双方に、良いところもあれば、至らないところもあるということだと思います。アクティブファンドは、運用者や運用方針によって商品内容が異なるため、内容をよく調べて投資する必要があることはもっともですが、インデックスファンドも多様化しているため、投資にあたって良く調べる必要が出てきています。

 たとえば、同じように日本株の株価指数であるTOPIX(東証株価指数)に連動するファンドであっても、信託報酬が異なるファンドが出ています。同じような運用成績を目指していながら、「一物多価」の状況にあることは注意を要します。また、「テーマ型インデックス」や「ESGインデックス」など、インデックスファンドでありながら、その連動する指数にアクティブファンドの考え方を織り込んでいるインデックスがあります。このような場合は、アクティブファンドと同様にインデックスの内容について、良く調べる必要があります。

 「資産運用はインデックスファンドだけで十分だ」という主張がありますが、その考え方は行き過ぎだと思います。たとえば、過去10年間に小型株グロースのトータルリターンは年率15%でしたが、TOPIXは同7%です。インデックスより良い成績をあげているアクティブファンドはあります。良いアクティブファンドの選び方が重要だと思います。

現在の株価は、局地的には「バブル」

 現在の株価は「バブル」なのでしょうか? 過去に「バブル」となった局面を振り返るといくつかの特徴があります。

 まず、「金融緩和」によって資金が市場に出回っていること。現在もコロナショックから経済回復を狙って金利引き下げや量的緩和の金融緩和がなされています。次に、「大きな社会変革」があること。インターネット時代の進展で起こった2000年のネットバブルがあったように、現在は、DX(デジタル・トランスフォーメーション)がいわれています。

 そして、「新しい金融の仕組みの台頭」があります。リーマンショックの前にはサブプライムローンという返済能力が低い人たちへの住宅ローンが大量に実施されていました。現在は、「SPAC」(特別買収目的会社)という、ハコだけで資金調達する会社の上場が相次いでいます。どの会社を買うのか明らかにしないで資金だけを集めています。さらに、「投機的な動き」が目立ち始めることです。ビットコインやゲームストップのような、短期で急騰する投資対象が出ています。米国では、「ペニーストック」と呼ばれている単価の安い銘柄が投機の対象となっています。これらは、「バブル」と言って良い状況だと思いますので、十分に気を付ける必要があります。

対談用写真

モーニングスター株式会社
代表取締役社長

朝倉 智也

図表1:局地的にバブルは発生している

図表1:局地的にバブルは発生している

 このような局面で、大事なことは、時間分散の積立投資だと思います。現在、株価の価格変動が大きくなっていて、タイミングを測って買おうとしても、なかなかうまくいきません。毎月一回など、予め決めておいて自動的に購入していく積立投資を検討してください。

インデックスファンドの台頭は世界の流れ

 世界的にインデックスファンドが好まれる傾向が続いています。特に、2008年のリーマンショック以降に、米国でその傾向が強まりました。そこには、(1)リーマンショックで損失を被った投資家が、アクティブファンドに愛想をつかした――、(2)米国の稼ぎすぎる証券街であるウォールストリートを批判する流れで、手数料の高いアクティブファンドを回避する動きが強まった――、(3)2011年11月に始まった量的緩和が、分かりやすいインデックスファンドへの購入を後押しした――という要素があると思います。2011年後半から、米国でインデックスファンドへの資金流入が拡大し、既に、株式ファンドにおいては、アクティブファンドの残高をインデックスファンドが抜いてしまっています。

図表2:米国の投資信託の資金流出入額の推移

図表2:米国の投資信託の資金流出入額の推移
  • ※1 米国籍オープンエンドファンド(ETF含む)のうち、モーニングスターカテゴリー「米国株」に属するファンド
  • ※2 各年の年間の純資金流入額累計値(モーニングスター推計値)
  • ※3 期間:1993年~2020年(年間)
  • ※4 各年の年末時点におけるTTM(三菱UFJ銀行)にて円換算

 日本では、アメリカほど極端にインデックスファンドへの資金流入が続いていることはありません。公募投信でインデックスファンドとアクティブファンドの資金流出入を調べると、インデックスファンドへの資金流入は約8.1兆円で、アクティブファンドの資金流入額0.9兆円を大きく上回っているのですが、8.1兆円のうち7兆円はETFです。そして、ETFの買い手の大半は日銀です。そう考えると、日本では、アメリカほどインデックスファンドが選好されているわけではありません。

 ただ、日本のファンドにおける手数料の格差は歴然としています。日本株式に投資するアクティブファンドの平均信託報酬は1.56%です。ところが、インデックスファンドは平均で0.48%、最も安い信託報酬は0.15%になっています。アクティブファンドの平均と最も安いインデックスファンドでは10倍も違いがあるのです。これは、もっと是正されるべきだと思います。

アクティブファンドの選び方

 アクティブの魅力は、インデックスファンドを上回るパフォーマンスが期待できることですが、実際に過去10年間のアクティブファンドのパフォーマンスを調べると、アクティブがインデックスに勝ったのは10年のうち5回だけでした。この状況は、アメリカのファンドでは、インデックスに勝てるアクティブファンドは27.9%と低いですし、ヨーロッパ籍のファンドになると10%に届かないことになってしまいます。

 アクティブファンドを選ぶ時のポイントは、「3つのP」です。「パフォーマンス」「プロセス」「ピープル」で選びましょう。

 「パフォーマンス」は、5年、10年という、できるだけ長い期間の実績を調べます。その際に、ベンチマークに勝った・負けたということだけでなく、カテゴリー平均に対し勝っているのかを調べます。長期にわたってカテゴリー平均を上回る成績を残しているファンドは優れたアクティブファンドといえます。

 「プロセス」は、アクティブファンドの良好な運用成績を継続できるのか、すなわち、「再現性」を調べます。たとえば、長い期間にわたって良い成績をあげ続けているファンドは、「再現性が高い」ということもできます。また、アクティブシェアも確認したいところです。アクティブファンドといいながら、組入銘柄がインデックスファンドと大きく変わらないようなファンドがあります。インデックスと異なる銘柄群で構成されたポートフォリオにこそ、アクティブファンドとしての価値が出てきます。

 「ピープル」では、米国においては、運用担当者が自身の資金をどれほど投資しているのかを開示義務にしているため、運用担当者が100万ドル(1億円超)以上の大きな資金を投入していることなどを運用の真剣度を測るモノサシとして用いています。日本では、そのような情報開示がないので、例えば運用会社の経営姿勢や、信託報酬の一部を社会のために役立てる工夫をしているなど、そのファンドの姿勢に共感できる部分があれば、それを評価するという方法もあります。

アクティブファンドの活用法

 私たちの公的年金の運用をしているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も、運用においてはインデックスファンドだけではなく、アクティブファンドを併用しています。特に、債券の運用においてはアクティブファンドの活用比率が高くなっています。債券は、その市場の50%以上を機関投資家が占めている市場です。機関投資家は、年度決算などがあり、必ずしも長期のリターンをベースに投資判断をしていません。したがって、インデックスから離れて運用することによって、プラスアルファの運用成果を得る余地が大きな市場といえます。また、新興国株式・債券での運用についても、市場の情報格差が大きいので、アクティブファンドが活躍する余地が大きい市場といえます。

図表3:世界最大の機関投資家(GPIF)はインデックス運用とアクティブ運用を併用する

図表3:世界最大の機関投資家(GPIF)はインデックス運用とアクティブ運用を併用する
  • 出所:「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」データより抜粋
  • ※2020年3月末時点

 私たちが運用にアクティブファンドを活用するには、投資口座や投資目的別に振り分けてインデックスファンドとアクティブファンドを使い分けるという方法があると思います。たとえば、つみたてNISAや確定拠出年金などにおいては、投資可能なファンドがインデックスファンド中心になっているという傾向があります。一方で、特定口座では自由にファンドが選べます。中長期で積立投資を行うつみたてNISAやiDeCoなど確定拠出年金の運用はインデックスファンドを活用し、自由にファンドが選べる特定口座ではアクティブファンドを使うという活用の仕方もあると思います。

 インデックスファンドもアクティブファンドも、使い方として重要なのは、長期・分散・積立投資です。今、最も重要なのは積立投資だと思います。一部ではバブルの兆候が出ている市場です。時間を分けて購入し、長期に投資することを考えてください。

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