2010年の市況を振り返って

2010年2月、モーニングスターは毎年恒例となる「モーニングスター ファンド オブ ザ イヤー2010」を発表しました。12回目を数える今回は、計28本のファンドがファンド オブ ザ イヤーの栄冠に輝きました。

欧州の財政悪化懸念や円高で、資産クラスでパフォーマンスに大きな差がつく

2010年は、資産クラスごとにパフォーマンスに大きな差がつきました。前半は、2月まではギリシャの財政悪化懸念や中国の金融引き締めなどから国内外の株式市場は軟調に推移し、外国為替市場では円高が進みました。ただ、3月に入ると、ギリシャに対する金融支援計画が発表されたことや米国の良好な経済指標の発表を受けて、日本の株式市場は急反発し、外国為替市場でも円が主要通貨に対して反落しました。ただ、その後は欧州諸国の財政悪化懸念が再燃したことなどから、株式市場、外国為替市場ともに不安定な動きが続きました。

後半に入ると、米国での経済指標の悪化などを受けて、リスク回避的な動きが強まり、8月にかけては世界的に株式市場が下落し、債券価格は上昇(利回りは低下)しました。ただ、9月に入ると、米国を中心に良好な経済指標の発表が続いたことから、景気の先行きに対する過度の悲観論が後退。国内外の株式市場が反発しました。また、9月には政府・日銀が約6年半ぶりとなる円売り・ドル買いの為替介入を実施し、一時円がドルに対して急落する場面がありました。その後は、欧州財政悪化懸念の再燃、10月にはブラジルの2度にわたる金融取引税の引き上げなどがあったもの、海外の株式市場は堅調に推移する市場が目立ました。秋までは低迷が続き、先進国の中で、出遅れ感が強かった日本の株式市場も、年末にかけては急反発しました。新興国の中では、年間を通じて、中国株式市場が軟調に推移する一方で、ポストBRICsと目されるインドネシア市場などの上昇が目立ちました。一方、外国為替市場では、年間を通じて主要通貨に対する円高傾向が続きました。

こうした環境の中、月次の純資金流出入額をみると、2010年は一貫して純資金流入傾向が続きました。投信協会のデータに基づくと、2010年の公募の追加型株式投信の純資金流出入額は6兆1,997億円の純資金流入となりました。年間の純資金流入額が10兆円を超えていた2006年や2007年には及びませんが、2008年比では約3倍、2009年比でも約2倍に増加しました。

ベンチマークや類似ファンドとの比較が重要

こうした環境の中、モーニングスターが評価対象としている国内の追加型株式投資信託を対象に独自の定量・定性分析に基づき、2010年の運用成績が総合的に優秀であると判断されたファンドを『Morningstar Award “Fund of the Year 2010”(ファンド オブ ザ イヤー 2010)』に選定し、2月に発表しました。

モーニングスターが評価対象としている3,130本(2010年12月末時点)の追加型株式投資信託のうち、純資産額が10億円以上のファンドを対象として、モーニングスターが独自にポートフォリオや投資方針から98分類した類似ファンド分類の1年間のトータルリターンをみると、類似ファンドに属するファンドがある88分類のうち、62分類がプラスになりました。2010年の年間騰落率は、株式市場ではTOPIXは0.97%下落したものの、NYダウは11.02%上昇しました。外国為替市場では円は米ドルに対し11.52%(TTM・三菱東京UFJ銀行)、ユーロに対し18.26%(同)いずれも上昇し、海外株式や債券、バランスなどの国際投資型のパフォーマンスを押し下げました。

2010年は、通貨選択型に加え、新興国関連やREITに人気が集まりました。ただ、高いリターンが期待されるものは、相応にリスクが高いことには注意が必要です。商品設計が複雑になるにつれ、投資家が負担するコストも上昇する傾向があります。また、人気を集めたファンドや、絶対値では良好なパフォーマンスとなっていたファンドの中にも、ベンチマークや類似ファンドに劣後しているファンドが散見されている点にも注意が必要です。

株式投資(公募+私募)の純資産残高の推移(2009年12月末現在)