バランス型 部門 特別対談

対談 野村世界6資産分散投信(安定コース)

モーニングスター ファンド オブ ザ イヤー 2010 バランス型 部門で最優秀ファンド賞を受賞しました、野村アセットマネジメント株式会社の「野村世界6資産分散投信(安定コース)」で運用を担当されていらっしゃる同社インデックス運用部シニア・ファンドマネージャー池田浩尚 氏に、当ファンドの運用の特徴、運用実績、運用体制等について、お話を伺いました。

■朝倉:「野村世界6資産分散投信」のシリーズは2007年~2009年まで3年連続で「分配コース」が最優秀賞、そして2010年に「安定コース」が最優秀賞となり、ファンドシリーズとしては4年連続の受賞となりました。今回、最優秀賞を受賞した「安定コース」の特徴について、お話をいただけないでしょうか。
■池田氏:「安定コース」は、資産配分において2つの特徴があります。1点目は債券比率が70%と高く、そのうち国内債券が60%を占めており、これによって株式のリスクを抑えているという点です。2点目は外貨建て資産の比率を30%と低く抑えており、為替の変動リスクが比較的小さいという点です。このような資産配分は、「国民年金や厚生年金の積立金の運用を行う年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」の長期的な安全性を重視したポートフォリオと類似しています。
当ファンドでは高い債券比率、また、低い外貨比率により、ファンド全体のリスクが抑えられています。そのため、個人向け国債の大量償還などに際して、初めてファンドへの投資を行うお客様にも適した商品ではないかと思います。

■朝倉:運用面では、2010年は日本株が乱高下し、海外資産では主要通貨に対する円高が進みました。このような状況下で、どのように運用管理をしたのでしょうか。
■池田氏:円高進行のきっかけとなったギリシャ債務危機においては、2010年4月、6月に格付会社によるギリシャ国債の信用格付引き下げが行われました。しかし、当ファンドはベンチマークからギリシャが除外される前の早い段階で、ギリシャ国債を全額売却し、他のユーロ圏の国債に入れ替えました。これは、指数との連動性に加えて、資産の保全、資金の回収を重視したためです。また、ギリシャ国債を売却してもベンチマークに対してリターンが下回る可能性は低いとの判断もありました。
このような判断には、ロンドン拠点に在籍するクレジットアナリスト、債券の運用者からの現地情報及び綿密なコミュニケーションが役立っています。

■朝倉:当ファンドでは、2010年は国内債券の保有がパフォーマンスの安定的な推移に寄与したと思うのですが、国内債券では1月に格付会社のスタンダード&プアーズが日本国債の格付けを引き下げています。この出来事は、日本の投資家にとっては非常に気になると思うのですが。
■池田氏:日本国債の格下げによるファンドへの影響は軽微だと考えています。2010年は、ソブリンリスクによってギリシャ、アイルランド、ポルトガルの国債が大きく値下がりしましたが、これには共通の要因があります。それは、「公的債務残高が対GDP比で高い」、かつ「国債保有に占める海外投資家のシェアが高い」という点です。1点目に関しては日本にも当てはまりますが、2点目に関しては、日本は大きく異なります。
日本は経常黒字国ですので、海外から資金を調達する必要もないですし、日本国債の保有者の大半が国内の投資家であることから、資本流出に伴う国債市場の急落リスクは小さいと思われます。

■朝倉:当ファンドの運用実績についてですが、2010年は他の類似ファンドと比較して非常に高いパフォーマンスを残しました。また、過去3年間、5年間でもモーニングスターの類似ファンド内ではリターンもシャープレシオもトップレベルにあります。継続的に実績を挙げてきた要因を教えてください。
■池田氏:相対的にパフォーマンスが良好であった理由は4つあると思います。それは、「資産配分」、「低い信託報酬率」、「リバランス方法」、「各資産の運用体制」です。
そのなかでも、最も大きな要因は「資産配分」だと思います。
当ファンドの資産配分は債券比率が70%、外貨比率が30%であり、この資産配分によりリーマンショック時の世界的な株式の急落や急激な円高の影響を、債券価格の上昇によって比較的カバーできました。また、一方で、株式とREITを合わせて30%組入れていますので、世界景気回復の恩恵も享受でできる構造になっています。
2点目は、類似ファンドと比較して「低い信託報酬率」が挙げられます。この信託報酬率の低さがリターンの差にも表れていると思います。

■朝倉:「リバランス方法」と「各資産の運用体制」についてもご説明下さい。
■池田氏:リバランスとは、「価格が上昇した資産を売却し、その分、価格が下落した資産を買い付ける」ことにより、資産の配分比率を再調整する手法です。当ファンドでは各資産の基本配分比率を一定とし、月中に各資産の価格変動により変化した配分比率を月に1度、基本配分比率に戻すリバランスを行います。アクティブファンドでは市場見通しに基づき基本配分比率を変更するものもありますが、見通しの悪化に伴い価格の下落した資産の比率を下げてしまうと、見通しに反しその資産が反発上昇した場合は、その上昇の効果を十分に取り込むことがきません。その意味では、各資産の基本配分比率を一定に保っておけば、市場の回復の効果を安定的に享受することが可能となります。
「各資産の運用体制」についてですが、ベンチマークである各資産の指数には「運用コスト(売買手数料など)や課税が考慮されていない」ため、ファンドで指数と同様の対応を行ったとしても、運用コスト分だけパフォーマンスは劣化してしまいます。そのため、各資産の運用者はポートフォリオ構築方法や取引手法など様々な面で運用コストの削減努力をしています。売買の執行においても、各資産の専任トレーダーが最良執行(複数の取引相手の中から最も良い価格で売買)することで、パフォーマンスの向上に貢献しています。
世界6資産分散投信は全体で約4,000銘柄を組入れていますが、多くの銘柄を組入れるためには、ポートフォリオを管理し、リスクを分析するシステムが必要となります。弊社においては、国内で最大級となる社内で40名規模のクオンツアナリストやフィナンシャルエンジニア(数量分析の専門家)が在籍しています。彼らによる「ポートフォリオ管理やリスク分析のためのシステム構築、また取引手法の検証など様々なバックテスト」などの積み重ねにより、精緻なインデックス運用ができているのです。

■朝倉:投資信託においては、販売会社と運用会社が車の両輪のような存在となることが重要だと思われます。当ファンドはゆうちょ銀行が販売会社となっていますが、当ファンドの説明や教育などのバックアップ体制は、どのようにしておられますか。
■池田氏:販売員の方々と話をしますと、大きな使命感を持って販売されていると強く感じます。
日本の投資環境を見ると、大前提として個人金融資産が1,400兆円あり、世界的に見ても非常に大きな純債権国です。一方、国内では低金利が長く続いており、少子高齢化で潜在成長率が相対的に低く、財政事情が苦しい状況に直面しています。その結果として、個人における資産運用の重要性は高まっており、世界的に分散された資産を組入れた運用を行うことが必要となります。しかし投資教育の面では、米国などと比べてまだ資産運用に関する知識が十分に普及していない面があります。
こうした中、弊社では、全国に多くの店舗数を持ち、顧客層の幅広いゆうちょ銀行様、郵便局様の販売員、御客様への投資セミナーなどを通して、啓蒙活動を行うことが重要であると考えています。

■朝倉:日本の投資家はこれまで、預貯金中心で資産を運用してきましたが、今後は自分で資産を作っていくことが必要とされています。しかし、金融危機などもあり、リスクはあまりとりたくないという思いもあります。当ファンドはこうした「リスクを抑えながら安定的に運用したい」個人投資家にとって、非常に適したファンドだと思われます。

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