MORNINGSTAR AWARD FUND OF THE YEAR 2010モーニングスターアワード・ファンドオブザイヤー2010

厳しい投資環境で高パフォーマンス、投信選定の「座標軸」となる最優秀7ファンド

投資家が適切なファンドを選ぶための「座標軸」が必要と考えた――。モーニングスター代表の朝倉智也は、2月1日に都内で開催された「ファンド オブ ザ イヤー 2010」の授賞式で、99年の同賞設立当時を振り返りこう語った。ファンド オブ ザ イヤーは第12回を迎え、今回は28ファンドが受賞。そのうち7ファンドが最優秀賞の栄冠に輝いた。

朝倉は、若い投資家の間では積立投資への関心が高まっている一方で、団塊の世代が退職を迎える中で長期の安定した運用が求められているとコメント。「運用会社への投資家の期待が一段と高まっている」と話した。

10年は「意外に厳しい投資環境だった」と朝倉。国内株式はTOPIXが約1%下落とさえなかった。また、円がドルに対して11%超、ユーロに対して18%超も上昇するなど海外投資においても大変難しい環境となったが、「受賞ファンドは非常に高いパフォーマンスを達成した」という。

朝倉は、足元では中東の政情不安、欧州のソブリン問題がくすぶるほか、米国の本格的な景気回復にはまだ時間がかかると指摘。しかし、こうした先行き不透明な状況においても、「0.1%でも運用力を上げて、投資家の悩みを解消し、利益を還元していただきたい」と受賞ファンドの今後のさらなるパフォーマンス向上に期待を寄せた。

国内株式の最優秀ファンド、TOPIXを10年連続でアウトパフォーム

授賞式では最優秀ファンドの運用マネージャーなどが受賞についてコメントした。国内株式型 部門では野村アセットマネジメントの「ストラテジック・バリュー・オープン(愛称:真価論)」が最優秀賞となった。01年以降の10年間、全ての年でトータルリターンが参考指数のTOPIXを上回っており、昨年だけでなく長期的に高成績を達成した点が評価された。国内有数の運用・調査体制が優れた運用成績につながったとみられる。同社の株式運用部シニア・ファンドマネージャーの高柳健太郎氏は、「これまで応援してくださったお客様、一緒に運用を担当してきたチームのメンバー、パフォーマンスを支えてきたアナリストにお礼を申し上げたい」と述べた。

昨年は東南アジア諸国の株式が騰勢を強めた。国際株式型 部門で最優秀賞ファンドに選出されたPCAアセット・マネジメントの「PCAインドネシア株式オープン」は好調だったインドネシア株式に投資するファンドとなり、10年はトータルリターン、シャープレシオがともに類似ファンド分類内でトップだった。同ファンドはPCAグループのプルーデンシャル・アセット・マネジメント(シンガポール)リミテッドが運用を担当。「シンガポールと日本のチームの連携が運用成果につながった」(PCAアセット・マネジメント取締役 専務執行役員の広瀬康令氏)と話した。

「わが国を代表する国内債券ファンドの1つ」とモーニングスターのアナリストが評するファンドが国内債券型 部門で最優秀賞を受賞した。大和証券投資信託委託の「ダイワ日本国債ファンド(毎月分配型)」だ。同社の債券運用部シニア・ファンドマネジャーの高尾憲久氏は、「国内債券の投信は残高がなかなか増えない『冬の時代』が続いたが、ようやく日の目をみるようになった」と語った。同ファンドは10年の純資金流入額が621億円となり、10年末時点の純資産額は764億円と、いずれも類似ファンド分類内で第2位となった。

国際債券型 部門では大和住銀投信投資顧問の「短期豪ドル債オープン(毎月分配型)」が最優秀賞の栄冠を勝ち取った。外国債券運用グループの石出好貞氏は、「少ない額から始まり、多額の資金を預かるファンドになった。販売会社や受益者の方に感謝したい」と話した。10年のトータルリターンは5.08%と類似ファンド分類内でトップ。高水準の分配金が投資家に支持され、10年の純資金流入額は5,415億円と類似ファンド分類内で1位、全ファンドの中でも3位だった。

オルタナティブ型は配当収入重視、高水準の分配金継続のファンドを評価

ハイ・イールド債券運用で先駆的な存在として知られるフィデリティ投信の「フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド」。09年の優秀賞に続き、10年は最優秀賞に選ばれた。10年の純資金流入額は2,675億円と類似ファンド分類内で1位。同社の商品マーケティング部部長の太田創氏は、「13年ほど前に設定され、最初は小さいファンドだったが大きく育ってきた。全社一丸となって今後もより良い運用を目指したい」とコメントとした。

バランス型 部門では野村アセットマネジメントが「連覇」を成し遂げた。最優秀賞には同社の「野村世界6資産分散投信(安定コース)」が選出された。「コースは違うが、4年連続で最優秀賞を受賞できたことはうれしい」と同社インデックス運用部シニア・ファンドマネージャーの池田浩尚氏。10年は国内資産に比重を置いたことで円高の影響を抑えたほか、国内REIT(不動産投資信託)の上昇が寄与した。モーニングスターのアナリストは同ファンドについて、「長期にわたり安定したパフォーマンスを示しているほか、運用コストの低さも評価された」と指摘した。

新光投信はオルタナティブ型 部門で最優秀賞を受賞。「インカムゲイン(配当収入)重視の戦略を採用したことが良好なリスク・リターンにつながった」(運用三部部長の井上征巳氏)という。受賞ファンドの「新光 US-REIT オープン(愛称:ゼウス)」は、高水準の分配金を継続している点が評価された。05年8月以降は毎月60円(税引き前、1万口当たり)の分配金を維持。10年8月からは同90円(同)に引き上げられ、直近の分配金利回りは概ね15%以上で推移している。

新設の「ファンドマネジメント オブ ザ イヤー」は三菱UFJ投信が受賞

「青天の霹靂でびっくりしている」――。今回新設された「ファンドマネジメント オブ ザ イヤー」のインデックス運用型 部門で最優秀運用会社賞に選ばれた三菱UFJ投信の常務取締役の神藤均氏はこう述べた。

モーニングスターの朝倉はインデックス運用型 部門を新たに設けた理由について、「昨今、若い投資家などを対象に小額から投資できるインデックスファンドを提供する運用会社が増えている。しっかりした運用を行っている会社を選定する必要があると考えた」と説明。三菱UFJ投信に関しては、「ブロガーとのミーティングを開催したり、投資家の様々な意見を集約して新しいファンドを立ち上げるなど、投資家重視の姿勢を示している」と評価した。

三菱UFJ投信は「eMAXIS」のブランドで低コストのインデックスファンドを提供し、個人投資家の支持を集めている。神藤氏は、「様々な投資機会を提供するため、2年ほど前からインデックス運用に力を入れてきた。今後も商品を拡充し、さらに精度の高い運用を目指したい」と意気込んだ。

過去のFund of the Year受賞ファンド