Fund of the Year 2011
モーニングスター ビデオレポート特別対談
特別対談 国際株式型 部門 最優秀ファンド賞受賞
最優秀ファンド賞受賞 特別対談 筧田裕之氏×朝倉智也
DIAM世界好配当株オープン(毎月決算コース) 『愛称:世界配当倶楽部』

モーニングスター ファンド オブ ザ イヤー 2011 国際株式型部門で最優秀ファンド賞を受賞しました、DIAMアセットマネジメント株式会社の「DIAM世界好配当株オープン(毎月決算コース) 『愛称:世界配当倶楽部』」の運用を担当されている、同社株式運用本部 シニアポートフォリオマネージャーの筧田裕之氏に同ファンドの概要ならびに特徴について、お話を伺いました。

朝倉:今回の最優秀賞、誠におめでとうございます。「世界配当倶楽部」は2011年のみならず、過去6年間で4回の受賞となり、うち2回が最優秀ファンド賞に選定されました。まず、ご感想をお聞かせください。
筧田氏:ありがとうございます。当ファンドは2005年6月の設定で、モーニングスター ファンド オブ ザ イヤー 2006から選定対象にしていただいた経緯があり、非常に光栄でこれ以上にない名誉なことだと受け止めています。

筧田裕之氏

朝倉:この6年間は、サブプライムローン、リーマン・ショック、そして2011年は欧州債務危機問題が発生しました。特に2011年は対ドル・対ユーロなどで凄まじい円高が進み、海外の債券・株式に投資するファンドを保有する投資家の多くが損を被るなど、金融商品の運用においては受難の時代だったと思います。そうした中で、「世界配当倶楽部」の2011年の年間トータルリターンは▲1.23%と損失を極小化した運用実績を上げました。他のファンドも含めた類似ファンド分類平均では▲13-14%のリターンである中、「世界配当倶楽部」は他のファンドを約12-13%も上回っています。これだけの好成績を収めた要因についてお聞かせください。
筧田氏:当初から、平均より高い配当利回りにあり、株主還元に積極的な企業(銘柄)を世界中からピックアップするという基本コンセプトのもとに運用しています。この考えにブレはないものの、時代の流れ・局面において好調な企業・業種・国、あるいは不調な企業・業種・国が出てくるので、不調な投資対象については投資比率を抑えるなど、機動的な運用に努めました。
例えば、2011年の欧州株式市場は総じて厳しい状況で、為替ではユーロが大きく下落しました。当ファンドの場合では、為替ヘッジがありませんので、株安・ユーロ安は基準価額に対して基本的にはマイナス要因となります。類似のファンドとの比較の観点でいいますと、欧州企業は元々、配当で株主還元するという歴史的背景があるので、類似のファンドの多くが、欧州企業を相応に組入れています。2011年は株価が下がった分、配当利回りは上昇しました。奇妙ですが、好配当株式に投資するファンドにとっては欧州株式が良く見えてしまう状況でした。しかし我々は、この状況で欧州の比率を高く保てないと判断して比率を落とし、その分を米国の景気の影響を受けにくい生活必需品や公共セクターの株式にシフトしました。そうした投資行動が、相対的なパフォーマンスで優位性を発揮したのかと思います。

朝倉:数年にわたって好成績を挙げている運用体制についてお聞かせください。
筧田氏:当ファンドは「純国産」の運用体制を敷いており、他のファンドと最も違う点だと自負しています。国際株式ファンドを設定する日本の運用会社では、よく海外の投資顧問会社に運用を再委託するケースがあります。また、米国株のアナリストだけで100名程度、世界の拠点合計で数百人といった調査・運用チームを有するような大きなファンドもあります。当ファンドは東京を本拠点として、ニューヨーク、ロンドン、香港、シンガポールに拠点を構えて企業を発掘・調査し、1000を超える銘柄を取材対象にしていますが、アナリスト、ファンドマネージャーらスタッフは全拠点で20名弱です。
日々の企業取材の状況を毎日行うテレビ会議で共有化を図るほか、現地スタッフを東京に集めたり、海外の投資先企業の来訪を受けて、リアルな情報を得ることもあります。また、我々が現地取材に乗り込むなどして情報収集し、ミクロとマクロの両面から最適な投資判断を行います。スタッフの人数や拠点の充実度という点で不十分に映るかもしれませんが、調査運用体制の能力は規模や人数ではないというのが我々の考えです。設定から6年間でファンド オブ ザ イヤーを4回受賞したことも、当ファンドの調査運用体制に対する一定の成果だと捉えています。

朝倉智也

朝倉:大規模な調査運用体制を持つファンドとの差別化の要因についてどのようにお考えですか。
筧田氏:陣容の整った大きなファンドでは、セクターごとに複数のアナリストを配して専門性に特化した体制をとっています。ただ、縦割りによって担当区分されるがゆえに、関連するセクターの情報に疎くなったりするなどの弊害もあると思います。つまり、人数が多くても、効率よく分業できるものではないと我々は考えています。
当ファンドの運用では、例えば食品のアナリストが特定の食品銘柄を買いたいとした時に、まずマクロ経済からみて相対的にディフェンシブ銘柄を買える環境にあるのか、と同時に、公共や薬品など他のディフェンシブセクターとの相対比で考えて有効な投資であるか否か、といったロジックがチームの共通認識として浸透していますので、チーム内の議論が活発になります。また、当ファンドはベンチマークがなく、これを上回る超過収益を目指すというスタンスでもありません。配当利回りが相対的に良好な銘柄は、株主のことを配慮した経営が行われていると捉え、長期的に付加価値を生み続けるものと考えています。こうした取り組みが他のファンドとの差別化要因といえます。

朝倉:最後に受益者、投資家の皆様にメッセージをお願いします。
筧田氏:当ファンドは、設定来ではプラスのリターンで推移しています。一方、海外の株価指数についてはマイナスリターンです。ただ、海外の株価指数も現地通貨ベースではプラスリターンであり、とりわけ2011年末までの過去5年間の為替が厳しい円高基調だったことが大きくパフォーマンスに影響しました。海外のアセットに投資されている日本の投資家の方々には厳しい環境だったわけですが、リーマン・ショック後の100年に一度といわれた金融経済危機を経ても、海外の株価指数は現地通貨ベースでプラスだったことはご認識ください。
今後、再び円高局面を迎えることも否定はできませんが、株式市場は長期的には上昇するというストーリーは損なわれていないと考えています。当ファンドは株価下落局面では安定的に好配当を出す銘柄への比率を高めるなどして、下げ幅の極小化に努めます。そして、株価上昇局面では配当成長性のある銘柄への比率を上げてインカムゲインの最大化を図ります。株式投資は概してキャピタルゲインに注目されがちですが、長期的なリターンの面からみれば、インカムゲインが占める部分は大きいのです。欧州の債務危機はまだ収まりをみせず、米国の景気回復もまだ途上です。ただ、そうした中での株式市場は、歴史的にみて今は割安水準だといえ、長期投資には良いタイミングかと思います。