Fund of the Year 2011
2011年の市況を振り返って

2012年1月、モーニングスターは毎年恒例となる「モーニングスター ファンド オブ ザ イヤー2011」を発表しました。13回目を数える今回は、計25本のファンドがファンド オブ ザ イヤーの栄冠に輝きました。

前半はREITや豪州債が、後半はヘッジありが堅調に推移

2011年は、資産クラスごとにパフォーマンスに大きな差がつきました。前半は、2月までは米国の良好な経済指標の発表などを受けて、主要国の株式市場は概ね堅調に推移しました。ただ、3月に入ると、東日本大震災の発生やその後の原発事故の深刻化を受けて、日本の株式市場は急落。外国為替市場で急激な円高が進んだことから、G7(7カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議)による協調介入が実施されました。4月以降は、日本の株式市場は原発事故の収束の長期化や企業業績に対する悪化懸念などを受けて、軟調な推移が続きました。
欧米でも、ギリシャの債務危機が再燃したことで、リスク回避的な動きが強まり、軟調に推移しました。
類似ファンド分類平均(モーニングスターインデックス/類似(単純))でみると、同期間の上昇率上位は、「国際REIT・北米(ヘッジなし)」の10.34%、「国際REIT・グローバル・除く日本(ヘッジなし)」の9.57%などで、REITの上昇率の高さが目立ったほか、オセアニア債券も堅調に推移しました。
一方、同期間の下落率上位は、「国際株式・インド(ヘッジなし)」の▲9.39%、「国内REIT」の▲5.57%などで、新興国株式や国内REITの下落率の高さが目立ったほか、国内の株式も概ね軟調に推移しました。

後半は、欧州の債務問題などから前半に続きリスク回避的な動きが強まったことに加え、8月には米国債の格下げや米国景気見通しの悪化を受けて、世界的に株式市場は大幅に下落。9月も軟調な推移が続きました。ただ、10月に入ると、欧州各国がギリシャ支援を含む包括戦略で合意したことを受けて、世界的に株式市場は反発し、軟調な推移が目立っていた中国株式市場も大幅に上昇しました。11月以降も、乱高下する展開が続きましたが、日米欧の6中央銀行が市場への米ドル資金供給の拡大に合意したことやEU(欧州連合)首脳会議に対する危機対策の進展への期待から、年末にかけてはやや落ち着きを取り戻しました。
類似ファンド分類平均でみると、同期間の上昇率上位は、「国際債券・物価連動債(ヘッジあり)」の4.60%、「国際債券・グローバル・除く日本(ヘッジあり)」の3.75%などで、海外債券の為替ヘッジありの上昇率の高さが目立ちました。
一方、同期間の下落率上位は、「国際株式・インド(ヘッジなし)」の▲33.81%、「国際株式・ロシア(ヘッジなし)」の▲31.27%などで、新興国株式の下落率の高さが目立ったほか、円高の影響などから、先進国株式やREITも軟調に推移しました。

こうした環境の中、2011年の月次の純資金流出入額をみると、前半は概ね純資金流入傾向となったものの、後半は年末にかけて純資金流出傾向となりました。投信協会のデータに基づくと、2011年の公募の追加型株式投信の純資金流出入額は3兆6,114億円の純資金流入となったものの、純資金流入額は2010年から大きく低下しました。年間の純資金流入額では、金融危機の影響が大きかった2008年の水準にまでは落ち込まなかったものの、2009年と概ね同水準にとどまりました。

株式投信(公募+私募)の純資産残高の推移(2011年12月末現在)

ベンチマークや類似ファンドとの比較が重要

以上のような2011年の投資環境の中、モーニングスターが評価対象としている国内の追加型株式投資信託を対象に独自の定量・定性分析に基づき、2011年の運用成績が総合的に優秀であると判断されたファンドを『Morningstar Award “Fund of the Year 2011”(ファンド オブ ザ イヤー 2011)』に選定し、1月に発表しました。

モーニングスターが評価対象としている3,444本(2011年12月末時点)の追加型株式投資信託のうち、純資産額が10億円以上のファンドを対象として、モーニングスターが独自にポートフォリオや投資方針から98に分類した類似ファンド分類の1年間のトータルリターンをみると、類似ファンドに属するファンドがある88分類のうち、67分類がマイナスになりました。2011年の年間騰落率は、株式市場ではTOPIXは▲18.94%、S&P500指数は▲0.00%、上海総合指数は▲21.68%となりました。外国為替市場(TTM・東京三菱UFJ銀行)では、米ドルは4.60%の円高・ドル安、ユーロは6.66%の円高・ユーロ安(同)となり、海外投資型のパフォーマンスを押し下げました。

2011年は、高い分配金や配当利回りに注目が集まり、通貨選択型に加え、新興国債券、ハイ・イールド債券、REITに人気が集まりました。ただ、分配金はあくまでも元本(基準価額)の払い戻しにすぎず、あくまでもトータルリターンでみるべきでしょう。また、商品設計が複雑になると、投資家は好調期にはそれほど意識しなかったものの、想定外のリスクをとっている場合がある点も考慮すべきでしょう。