2012年の市況を振り返って

2013年1月、モーニングスターは毎年恒例となる「モーニングスター ファンド オブ ザ イヤー2012」を発表しました。14回目を数える今回は、計30本のファンドが栄冠に輝きました。

前半は国内外のREITが、後半は欧州や豪州の株式が堅調に推移

2012年は、年末にかけて株式市場の上昇と主要通貨に対する円安が進み、資産クラスごと、ファンドごとに運用成績で大きな差がつきました。前半は、3月にかけてはギリシャへの財政支援に対する期待や米国の良好な経済指標の発表などを受けて、主要国の株式市場は概ね堅調に推移しました。ただ、4月に入ると、スペインの利回り急上昇などを受けて、欧州債務問題が再燃。株式市場は調整局面に入りました。5月には、外国為替市場でユーロが主要通貨に対して下落したことでリスク回避的な動きが強まり、株式市場は軟調な推移が続きました。類似ファンド分類平均(モーニングスターインデックス/類似(単純))でみると、同期間の上昇率上位は、「東証REIT指数連動型」の17.37%、「国内REIT」の16.75%などで、J−REITの上昇率の高さが目立ったほか、海外REIT、国内小型株の運用成績が良好でした。一方、同期間の下落率上位は、「国際REIT・欧州(為替ヘッジなし)」の▲11.76%、「S&P GSCI商品指数連動型」の▲10.59%などで、欧州REIT、コモディティ、ロシア株式などの運用成績が優れませんでした。

後半は、7月には欧州債務問題の長期化や、米国や中国の景気減速懸念などからリスク回避的な動きが強まり、米国やドイツなどの信用力の高い国の国債利回りは低下(債券価格は上昇)、外国為替市場では主要通貨に対する円高が進みました。9月にかけては、ECB(欧州中央銀行)による新たな国債購入プログラムの決定などを受けて欧州財政問題に対する過度の懸念は後退したものの、中国の景気減速懸念などを受けて、株式市場、外国為替市場ともに一進一退を繰り返しました。FRB(米国連邦制度準備理事会)がQE3(量的金融緩和第3弾)の実施を決定したものの、11月には米大統領選挙を控えていたこともあり、その後も方向感の乏しい展開となりました。ただし、12月に入ると、国内の総選挙で自民党が圧勝したことを受けて、大胆な金融緩和や財政政策への期待が高まり、株式市場は急上昇し、外国為替市場では円安が進みました。類似ファンド分類平均でみると、同期間の上昇率上位は、「国際株式・欧州(為替ヘッジなし)」の36.50%、「国際REIT・欧州(為替ヘッジなし)」の31.93%などで、円安・ユーロ高の影響を受けた欧州の株式とREITに加え、豪州の株式とREIT、インド株式などの上昇率の高さが目立ちました。一方、同期間の上昇率下位は、「国内債券・短期債」の0.20%、「NOMURA−BPI(総合)連動型」の0.22%などで、国内債券の上昇率の低さが目立ったほか、円安を享受できなかった為替ヘッジありの運用成績も低調でした。

こうした環境の中、モーニングスターの調べでは、国内公募追加型株式投信(DC、SMA、ETF等除く)の2012年の月次の純資金流出入額は、前半は1月から3月は純流出、4月から6月は純流入となりました。後半は7月と9月を除く4カ月で純流出となり、年末にかけて流出傾向が強まりました。類似ファンド分類別の年間の純資金流出入額では、流入額の上位は「国際REIT・北米(為替ヘッジなし)」の7,143億円、「国際債券・エマージング・複数国(為替ヘッジなし)」の6,826億円など。一方、流出額の上位は「国際債券・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)」の▲5,859億円、「安定成長」の▲4,865億円などとなりました。投信協会のデータに基づくと、国内公募追加型株式投信の2012年の年間の純資金流出入額は、設定額が3年連続で20兆円を上回ったものの、解約額が1989年以来、13年ぶり20兆円を上回ったこともあり、流入額が2000年以降で初めて2兆円以下にとどまりました。

株式投信(公募+私募)の純資産残高の推移(2012年12月末現在)

為替ヘッジの選択や複雑化する商品設計には注意が必要

以上のような投資環境の中、モーニングスターが評価対象としている国内公募追加型株式投信を対象に、独自の定量・定性分析に基づいて2012年の運用成績が総合的に優秀であると判断されたファンドを『Morningstar Award “Fund of the Year 2012”(ファンド オブ ザ イヤー 2012)』に選定し、1月に発表しました。モーニングスターが評価対象としている3,650本(2012年12月末時点)のうち、純資産額が10億円以上のファンドを対象としています。

モーニングスターが独自にポートフォリオや投資方針から98に分類した類似ファンド分類の2012年の年間のトータルリターンをみると、類似ファンドに属するファンドがある88分類のうち、ブル・ベアファンドを除く全ての分類がプラスになりました。2012年の年間騰落率は、株式市場ではTOPIXは18.01%、S&P500指数は13.41%、上海総合指数は3.17%となりました。外国為替市場(TTM)では、米ドルは11.37%の円安・ドル高、ユーロは13.95%の円安・ユーロ高、豪ドルは13.50%の円安・豪ドル高となり、海外投資型の運用成績を押し上げました。

2012年は、REITの人気が継続する一方で、前半に円高傾向が続いたこともあり、為替ヘッジありのファンドも人気を集めましたが、投資家の注目は分配金や利回りの高さにあることに変わりはないようです。ただし、分配金は元本(基準価額)の払い戻しにすぎず、あくまでもトータルリターンでみるべきでしょう。また、通貨選択型ファンドの中でも、コールオプションでプレミアム収入を得る商品が人気を集めました。ただし、商品設計が複雑になると、投資家は好調期にはそれほど意識しなかったものの、想定外のリスクをとっている場合がある点も考慮すべきでしょう。

過去のFund of the Year 受賞ファンド

当資料は、モーニングスターが作成した資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。

Morningstar Award "Fund of the Year 2012"は過去の情報に基づくものであり、将来のパフォーマンスを保証するものではありません。また、モーニングスターが信頼できると判断したデータにより評価しましたが、その正確性、完全性等について保証するものではありません。著作権等の知的所有権その他一切の権利はモーニングスター株式会社並びにMorningstar,Inc.に帰属し、許可なく複製、転載、引用することを禁じます。

当賞は、国内追加型株式投資信託を選考対象として独自の定量分析、定性分析に基づき、2012年において各部門別に総合的に優秀であるとモーニングスターが判断したものです。投資信託は、販売会社がお申込みの取扱いを行い、委託会社が運用を行います。投資信託は株式や債券などの価格変動性のある有価証券に投資するため、元本割れの恐れや価格変動の要因となる様々なリスクがあるほか、購入・運用・解約時に所定の手数料や費用などがかかります。これらのリスクや手数料・費用は各投資信託によって異なりますので、商品の購入をご検討の際は当該商品の投資信託説明書(交付目論見書)、契約締結前交付書面等(目論見書補完書面を含む)を十分にご理解し、ご自身の判断でご購入ください。