Special Talk
特別対談
モーニングスター代表取締役社長 朝倉 智也 × フリーキャスター 小谷 真生子
幅広い層にわかりやすく情報を提供し日本のファンド市場を活性化させたい

 モーニングスターは1月28日、評価対象としている投資信託(ファンド)の中から優れたファンドを表彰する「Morningstar Award Fund of the Year 2013(ファンド オブ ザ イヤー 2013)」を発表した。同賞は1999年に始まって以来、今年で15回目を数える。今年からはさらに、10年以上にわたり優れた運用実績を有するファンドを表彰する「Fund of the Decade 2013(ファンド オブ ザ ディケード2013)」もスタートした。『貯蓄から投資へ』の動きが期待される中で、その実現のためにはどのような取り組みが求められているのか。同社の朝倉智也社長と、キャスターの小谷真生子氏が語り合った。

制作・東洋経済広告企画制作チーム 掲載記事はこちら

わかりにくい情報を「見える化」し伝えることが大切

小谷 真生子氏

小谷 真生子(こたに まおこ) 氏
1965年生まれ。日本航空、NHK「モーニングワイド」「おはよう日本」などのキャスター、テレビ朝日「ニュースステーション」等を経て、98年よりテレビ東京「ワールドビジネスサテライト」のメインキャスターとして活躍。14年3月31日よりBSジャパン「BSニュース 日経プラス10」のメインキャスターとなる。

朝倉:
小谷さんはこの3月で、テレビ東京系列で放送している経済ニュース番組「ワールドビジネスサテライト(WBS)」から「日経プラス10」に移られたそうですね。WBSには当社が発表したデータを引用していただいたり、私自身も何度か出演させていただいたりしました。長い間、お疲れさまでした。何年間、キャスターを務められたのですか。
小谷氏:
1998年4月からですから、丸16年になります。これまでお世話になりました。ありがとうございます。今では、経済ニュースでも、さまざまな映像やコンピューターグラフィックスなどを使って見せるのが当たり前になっていますけれど、当時は材料も少なくて。難しいと思われがちな金融や経済の情報を、どうしたらわかりやすく伝えることができるか、試行錯誤しながらつくってきた思い出があります。
朝倉:
98年と言うと、当社が設立された年ですね。現在、国内で販売されているファンドは約4,500本もあり、投資家にとっては、どうしても「ファンドはわかりにくい」となりがちです。これをどうわかりやすく伝えるかというのが、当社設立以来の重要なテーマです。
小谷氏:
「わかりやすさ」という点で言えば、御社では、ファンドの評価をホテルやレストランのように星の数で示すなど、画期的ですね。「ファンド オブ ザ イヤー」も、ファンドを選ぶ際の指標になるように思います。
朝倉:
「ファンド オブ ザ イヤー」は、当社が設立された翌年の99年に第1回目を発表し、今年で15回目になります。今年から、10年以上の長期にわたり優れた運用実績を有するファンドを対象として表彰する「ファンド オブ ザ ディケード」もスタートさせ、第1回目となる今回は、計7本のファンドを選びました。

インターネットの時代だからこそ、中立的な立場の企業が必要

朝倉 智也

朝倉 智也(あさくら ともや)
東京都出身。慶應義塾大学卒。銀行、証券会社勤務後、95年米国イリノイ大学にて経営学修士号(MBA)取得。その後、ソフトバンクにて資金調達・資金運用全般を担当。98年、モーニングスターの設立に参画し、2004年より現職。著書に『投資信託選びでいちばん知りたいこと』(ダイヤモンド社)『低迷相場でも負けない資産運用の新セオリー』(朝日新聞出版)ほか多数。

小谷氏:
海外の著名な投資家などの話を聞くと、企業がまだアーリーステージの段階から、将来有望と思われるところに投資をしています。いわゆる目利きの力がすごい。御社も、1本1本のファンドを目利きしていると言えますね。
朝倉:
インターネットを活用することで、さまざまな情報が入手できるようになりましたが、情報があふれかえって、どの情報が正しいのかわからない時代になっています。中立的な立場で情報を編集し、的確に伝えることが大事だと考えています。小谷さんも、たくさんの会社を訪問し、取材をされていますね。
小谷氏:
やはり、生きた情報は現場に行ってみないと手に入りません。WBSも、今ではだいぶ取材スタッフも増えて手分けをするようになりましたけれど、最初のころは、私自身も取材をすることが多かったですね。新聞社よりも早くスクープを出したことも何度かあります。実は、ここ1年半ぐらい、個人的に海外取材にも行っています。と言っても、月曜日から金曜日はテレビの仕事がありますから、週末を使って。土曜日に出て、月曜日に帰ってくるのです。シンガポールやマレーシア、タイなどの企業を取材したり、人と会ってネットワークをつくったり。先日は、ロンドンにも行ってきました。
朝倉:
週末にロンドンまで取材に行かれるなんて、とてもアグレッシブですね。日本の運用会社は、海外の株式や債券を運用する際、多くの場合、海外の運用会社に運用を委託します。海外の運用会社に任せきりにするのではなく、小谷さんのように生きた情報を得るために現地に赴き、自ら運用する会社もでてきて欲しいと思います。小谷さんの新しい番組も楽しみです。
小谷氏:
ありがとうございます。すべてにおいて経済の事象を深掘りしてゆく構成ですので、私自身、提案して実行したいことが山ほどあります。わくわくしています。

「投資家主権の確立」につながる取り組みを愚直に進めていく

小谷氏:
ところで、米国の友人の話を聞くと、一般的な家庭でも、株式や債券、ファンドなどに投資をしていますね。しかも分散投資が進んでいます。日本を見ると、家計の金融資産は1,600兆円とも言われますが、なかなか「貯蓄から投資へ」の流れが進んでいません。私はその要因の一つに、ファンドなど金融商品の手数料の高さがあるように思うのですが。
朝倉:
手数料体系もさることながら、販売会社の売る姿勢、投資家の買う姿勢にも問題があります。投資のセオリーは長期に保有することです。今年からNISA(少額投資非課税制度)も始まりました。長期分散投資を始めるきっかけとして、ぜひ活用 してほしいですね。
小谷氏:
朝倉社長の話を伺って、ファンドや投資に関する理解がさらに進みました。米国などでは、子どものころから投資教育を行っています。日本ではいまだに、お金の話はタブーといったイメージがあります。私も子どもを持つ親の一人ですが、私自身も子供と一緒になって学びたいですね。教育が子どもたちのマインドを変え、将来世界で活躍できるような人材を育てることにもつながると思います。適切な情報と投資教育を提供するモーニングスターのような会社がもっと早く存在していてもよかったと思っています。これからのご活躍に期待しています。
朝倉:
ありがとうございます。まずは投資家の意識改革が不可欠であり、そのために必要な教育や啓蒙の面でも、当社がさらに貢献できると考えています。
「貯蓄から投資へ」という流れを進めるためには、当社の経営理念でもある「投資家主権の確立」がきわめて大切になります。その実現に向けて、これからも愚直に取り組みを続けていきます。

出典:週刊東洋経済 2014年4月5日号