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資産管理のキホン

個人型確定拠出年金の4大税制優遇について その2
~個人型確定拠出年金のキホン(5)~

2015-12-11

 今回は、個人型確定拠出年金が提供する4大税制優遇についての2回目のコラムです。前回の掛金全額所得控除に加えて、以下の税制優遇を享受する事が出来ます。

運用益非課税

 一般的な金融商品では運用益に対して税金がかかりますが(預貯金・公社債・株式・配当金・投資信託:20.315%源泉徴収税課税)確定拠出年金では運用益に税金は掛かりません。企業年金の年金積立金は、特別法人税の対象となりますが、現在課税停止中で、課税停止期限(凍結期間)が、2017年3月31日まで延長されています。

特別法人税

 企業年金制度では掛金を拠出した時点で各従業員の年金支給額が確定していないため、実際の給付時まで課税を繰り延べることとされています。その遅延利息に相当するものとして、年金積立金に対して特別法人税が課税されるものです。

 厚生年金基金の場合は、国の厚生年金を代行していることから、代行部分の3.23倍に相当する額までの積立金は非課税とされ、それを超える部分に1.173%の特別法人税が課税されます。

 確定給付企業年金、確定拠出年金の場合は、積立金の全額に、一律1.173%の特別法人税が課税される。なお、平成28年度末までは、特別法人税の課税は凍結されている。

 特別法人税が問題なのは、一般の株式投資のように配当や売却益など「利益」に掛けられる税金ではなく、運用口座にある資金全体に掛けられる資産課税であることです。本来、株式投資は売却(利益確定)を行わなければ、課税をされませんから、なるべくバイアンドホールドを続けた方が、利回りが高くなりますが、特別法人税は売却しない場合にも、資産に課税される仕組みです。つまり年間の運用損益が赤字であっても課税されますし、資産全体に課税されるので、資産が大きく増えている(長年かけ続けている)人ほど、多額の税金を払う必要があります。

 今後、特別法人税は課税されるようになるのでしょうか?

 なお、特別法人税は1999年に課税停止(凍結措置)が決定され課税停止の期限が到来する度に期限延長措置が取られてきました。従って、2001年10月にスタートした確定拠出年金では特別法人税が課税を行われたことは一度もありません。

 一方簡単には復活させられない理由もあります。

 確定拠出年金の資産運用では、多くの人が銀行の定期預金を主体にしており、確定拠出年金の資産配分の平均値は、元本確保資産(預貯金や保険商品)の割合が60%です。しかし、現在銀行の定期預金の利息は1%に満たない状況で、ここに1.173%の特別法人税を課せば、運用利回りがマイナスになり、資産が年々減っていき、これでは誰も確定拠出年金を利用しなくなりますし、日本の定期預金の利率が1.2%以上になる事は当分考えられません。

 加えて、金融業界や経済界からも特別法人税の撤廃を要求しており、将来的には、特別法人税は廃止されると予想しています。

 まずは、この現状を把握する事も重要ですが、この運用益非課税は、長い期間の複利を鑑みますと、非常に有利な税制優遇になります。

仮に掛金拠出月2万円、運用益年率5%で計算すると:

毎月2万円積立 確定拠出年金
(運用益:5%:非課税)
確定拠出年金
(特別法人税課税後運用益:3.8%)
1,000万円到達時の年数 22.5年 25.0年
30年後の資産総額 1,665万円 1,340万円

図表:30年後の資産総額

 さて、次回は給付時における非課税制度(公的年金等控除及び退職金控除)について説明致します。

大日 滋【おおくさ しげる】

ファイナンシャル・プラニング事務所 インテレクタス代表

経歴:
銀行・証券会社・保険会社勤務を経て、2011年7月ファイナンシャル・プラニング事務所インテレクタスを設立し独立。

保有資格:
CFP(日本FP協会認定)
1級ファイナンシャル・プラニング技能士(国家資格)
企業年金管理士(確定拠出年金)(企業年金連合会認定)

活動歴:
インテレクタスはラテン語で知性を意味し、“大局観を養い常に知性を高める”をモットーに、特に年金及び運用に関して相談業務及び講演を行っています。加えて魅力的な運用手段ですが知名度の低い個人型確定拠出年金の広報活動を積極的に行っています。今回執筆の最初のテーマは個人型確定拠出年金制度を予定しています。

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