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資産管理のキホン

小規模企業共済制度について

2016-07-15

 個人事業主等の第一号被保険者にとって公的年金に上乗せして老後資金を貯める事は非常に重要で、以下の制度を利用する事ができます。

  • ・国民年金基金
  • ・個人型確定拠出年金
  • ・小規模企業共済制度

 今回は、小規模規模共済制度を取り上げ制度について詳細に説明していきます。

小規模企業共済制度の概要

小規模企業の個人事業主(共同経営者を含む)または会社等の役員が事業を辞めたり、退職したりした場合に、生活の安定や事業の再建を図るための資金をあらかじめ準備しておく共済制度です。

小規模企業共済制度は、法律(小規模企業共済法)に基づく制度であり、国が全額出資している独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しています。契約者から預かっている掛金とその運用収入は、すべて契約者に還元される仕組みで、制度の運営経費は全額国からの交付金によって賄われています。

加入資格

  • ・常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業では5人以下)の個人事業主および会社の役員
  • ・小規模企業者たる個人事業主に属する共同経営者(個人事業主1人につき2人)
  • ・一定規模以下の企業組合・協業組合及び農業組合法人の役員
  • ・常時使用する従業員が5人以下の弁護士法人、税理士法人等の士業法人の社員

加入年齢

加入年齢の制限はありません。

掛金

毎月1,000円以上で500円単位で自由に設定可能
限度額:70,000円/月

掛金の増額・減額

・増額
掛金月額の増額は500円単位で、最高限度額(7万円)まで増額できます。

・減額
理由を問わず、1,000円まで減額が可能です。

手数料

なし

共済金の受け取り

年金または一時金選択(併用可能)

給付開始事由

年齢に関わらず

A共済事由:
・個人事業主:事業の廃止、事業主の死亡、配偶者又は子に事業の全部譲渡
・会社役員等:会社等の解散
B共済事由:
・個人事業主:老齢給付(65歳以上で15年以上掛金を納付した事業主)
・会社役員等:老齢給付(65歳以上で15年以上掛金を納付した役員)
・会社役員の死亡・退任

なお注意点として、それぞれの共済事由により共済金の金額が違う事が挙げられます。共済金金額はA 共済事由が B共済事由より多くなっています。

予定利率について

共済金や解約手当金の額は、掛金を原資に一定運用収入を見込んで設定してあり、この運用収入の見込み額を算出する際の利回りを「予定利率」といいます。現在の予定利率は1.0%となっています。

予定利率の変遷
・平成8年4月:それまでの「6.6%」から「4.0%」に変更
・平成12年4月:それまでの「4.0%」から「2.5%」に変更
・平成16年4月:それまえの「2.5%」から「1.0%」に変更

これまでの「予定利率」の変更においては、加入してから「予定利率」が変更されるまでの掛金納付月数に相当する共済金等の額は、変更前の「予定利率」に基づく共済金等の額が保証されています。「予定利率」が変更されるまでの掛金納付月数に相当する期間に遡って変更後の「予定利率」を適用することはされていません。

基本共済金及び付加共済金

  • ・基本共済金の額は、共済事由と掛金納付月数に応じて、政令で定められています。
  • ・付加共済金の額は、法令の規定により毎事業年度の運用収入等に応じて、経済産業大臣が定める率により算定されます。付加共済金の制度は、平成8年度から導入されていますが平成28年度まではゼロになっています。
  • ・共済金A・B
  • ・共済事由が生じた時点で、掛金納付月数が6ヶ月以上の場合に受け取れます。(6ヶ月未満は掛け捨てになります。)
  • ・共済事由が生じた時点で、掛金納付月数が36ヶ月未満の場合は、掛金合計額になります。
  • ・共済金Aの額は、概ね25年目までに共済事由が生じた場合は、掛金を約1.5%の率で複利運用した元利合計額となり、概ね25年目以降35年目までの間に共済事由が生じた場合は、1.5%から1.0%に向けて段階的に低下し35年目以降共済事由が生じた場合は、概ね1.0%に見合った額になります。
  • ・共済金Bの額は、掛金を予定利率と概ね同率の1.0%の率で複利運用した元利合計額に見合った額になります。

税制優遇

拠出時:
・掛金全額が小規模企業共済制度掛金等控除の対象
給付時:
・年金受け取りー公的年金等控除の対象
・一時金受け取りー退職所得控除の対象

加入年齢制限がありませんので、60歳以上の方にとって所得控除を享受できる唯一の制度です

脱退・解約

任意可能。ただし、掛金納付月数が240ヶ月未満の場合、解約金額は掛金合計額を下回ります。

貸付制度

納付した掛金の範囲内で事業資金の貸し付けあり。

加入手続き

独立行政法人中小企業基盤整備機構と業務契約を結んでいる委託団体(商工会・商工会議所等)及び金融機関(銀行・信用金庫・商工組合中央金庫の本支店)の窓口で行えます。

注意点

この注意点は非常に重要です。掛金の増額及び減額についてはいつでも行えますが、共済金の計算が小規模企業共済制度独特の方法で行われます。特に掛金を減額すると、共済金の受取金額が著しく減少します。

図表:共済金の計算方法

出所:独立行政法人中小企業基盤整備機構

・増額の場合の計算
(a)と(b)は別々に計算されていて、(a)と(b)の合計額が複利では計算されていません。
・減額の場合の計算
(b)については60ヶ月分しか計算されていませんし、残りの120ヶ月間引き落とせませんが利回り計算は一切されません。

減額の場合、複利計算及び積立期間の通年計算も行われませんので、年利率が非常に低くなってしまいます。従って、減額は絶対に避けるべきですが、もし減額してしまった場合、出来るだけ早く前の掛金と同額にする為の増額をお勧めします。

まとめ

  • ・個人事業主及び会社役員(会社規模には制限があります)が、じぶん退職金を用意するのには最適な制度です。
  • ・共済金Aは現在1.5%程度で運用されており、掛金全額所得控除を考慮すれば各人の所得税率と運用期間によりますが魅力的な利回り:約3%~5%:を達成できます。
  • ・加えて、共済金の受取は公的年金等控除及び退職所得控除の対象ですので、共済金全額非課税で受け取りも可能です。
  • ・加入年齢も制限がなく掛金拠出も事業終了まで続けて共済金を受け取る事が可能ですので、特に退職後独立される方、例えば60歳以上の方、にとっては唯・掛金を減額すると共済金の受取額が著しく減少しますので、資金的に余裕をもった掛金でスタートする事が大事です。
大日 滋【おおくさ しげる】

ファイナンシャル・プラニング事務所 インテレクタス代表

経歴:
銀行・証券会社・保険会社勤務を経て、2011年7月ファイナンシャル・プラニング事務所インテレクタスを設立し独立。

保有資格:
CFP(日本FP協会認定)
1級ファイナンシャル・プラニング技能士(国家資格)
企業年金管理士(確定拠出年金)(企業年金連合会認定)

活動歴:
インテレクタスはラテン語で知性を意味し、“大局観を養い常に知性を高める”をモットーに、特に年金及び運用に関して相談業務及び講演を行っています。加えて魅力的な運用手段ですが知名度の低い個人型確定拠出年金の広報活動を積極的に行っています。今回執筆の最初のテーマは個人型確定拠出年金制度を予定しています。

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