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資産管理のキホン

国民年金基金vs小規模企業共済

2016-08-12

 個人事業主等の第一号被保険者にとって公的年金に上乗せして老後資金を貯める事は非常に重要で、以下の制度を利用する事ができます。

  • ・国民年金基金
  • ・小規模企業共済制度
  • ・個人型確定拠出年金

 国民年金基金と小規模企業共済は固定利回りが確保されている制度で、一方個人型確定拠出年金は個人の運用の成果により受取金額が変化します。

 なお、小規模企業共済制度については7月15日付の資産管理のキホンに投稿していますのでご興味のある方は参考にして下さい。

 今回は、国民年金基金を取り上げ制度について詳細に説明して、最後に小規模企業制度と比較を行いたいと思います。

国民年基金の概要

  • (1)国民年金基金は、第1号被保険者独自の上乗せ年金で、各都道府県ごとに設立された「地域型国民年金基金」と、同じ職種ごとに全国規模で設立された「職能型国民年金基金」があります。
  • (2)加入資格:20歳から60歳になるまでの間の人で、国民年金の保険料を納めている第1号被保険者及び日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の国民年金任意加入被保険者
  • (3)加入者数:約45万人(平成26年度末)
  • (4)給付の種類:
    • 1.給付の型は「終身年金」(A型・B型)と「確定年金」(I型・II型・III型・Ⅳ型・Ⅴ型)の7種類
    •  終身年金:加入者本人が亡くなるまで受け取れる年金
    •  確定年金:年金を受けられる期間が決まっている年金
    • 2.給付は「老齢年金」と「遺族一時金」です
    • 3.掛金の上限: 1ヶ月の掛金の上限は、個人型確定拠出年金の掛金と合わせて68,000円
    • 4.掛金は、全額社会保険料控除になります
    • 5.受け取る年金には「公的年金等控除等」が適用され、また遺族一時金は非課税

給付型の種類と加入方法

  • (1)加入する1口目は、終身年金A型、B型のどちらかを必ず選択しなければなりません。
  • (2)2口目は、終身年金A型、B型及び確定年金I型、II型、III型、Ⅳ型、Ⅴ型の7種類の中から選択できます。ただし確定年金の受取年金額は、終身年金(1口めと2口めのA 型、B 型)の受取年金額を超えることはできません。
  • (3)なお、加入時の年齢が50歳1ヵ月以上の方は、確定年金Ⅳ型、Ⅴ型に加入することはできません。
給付型の種類
種類 終身年金・確定年金 保証期間 支給開始年齢
A型 終身年金 15年 65歳
B型 終身年金 なし 65歳
I型 確定年金 15年 65歳
II型 確定年金 10年 65歳
III型 確定年金 15年 60歳
IV型 確定年金 10年 60歳
V型 確定年金 5年 60歳

老齢年金の給付額

1口目の場合:
終身年金は、年金受給前又は受給後亡くなった場合、年金受給権が消滅しますので、前もって年金受給合計額を把握できません。その受給権の消滅のリスクをある程度カバーするのが保証付終身年金で、A型は支払いを15年間保証しており、仮に保証期間15年の間に加入者が亡くなった場合、その残存保証期間の年金受給権の代わりとして遺族に遺族一時金が支払われます。

 B型の場合、保証期間はありませんので、遺族一時金は年金受給前は10,000円のみ、年金受給後死亡の場合その後の支払いはありません。

 B型は掛金ほぼ全額又は一部が掛け捨てになる可能性があり(当然同額の年金額に対して、B型の掛金はA型よりも低く設定)、A型は保証期間が15年確保されており、A型を選択される方が多いと推察されますので、A型を取り上げます。A型の給付金は以下の様に定められています。 

出所:国民年金基金

掛金

 終身年金A型の場合、上記の図の様に加入年齢によって年金額が決められており、各加入年齢、例えば35歳までの加入の場合20歳から35歳までの各年齢毎によって掛金が決められています。掛金は計算根拠となる予定利回りによって決められており、現在は1.5%になっています。この1.5%の予定利回りは2014年4月に1.75%から引き下げられ、過去最低の予定利回りです。

 予定利回りは割引率ですので、上記の年金額は変わりませんので予定利回りが下がれば掛金は上がります。なお、加入時の予定利回りは、その後予定利回りが変更になっても、最後まで適用になりますので注意が必要です。国民年金基金はインフレ対応していないと言われる所以です。

 従って、現在予定利回り1.5%は過去最低のレベルですので、掛金は過去最高のレベルになっています。

掛金全額と年金受取額の関係

 予定利率1.5%と言っても中々ピント来ないと思いますので、実際に掛金全額と年金受取額を比較して見ました。

予定利率1.5%の場合(単位:円)
加入年齢 掛金月額
掛金全額
年間年金受取額
15年間年金受取額
年金受取額が掛金全額と同額になる年数及び年齢
30歳 10,170
3,661,200
240,000
3,600,000
約15年
80歳
40歳 12,405
2,977,200
180,000
2,700,000
約17年
82歳
50歳 17,940
2,152,800
120,000
1,800,000
約18年
83歳
予定利率1.75%の場合(単位:円)
加入年齢 掛金月額
掛金全額
年間年金受取額
15年間年金受取額
年金受取額が掛金全額と同額になる年数及び年齢
30歳 9,320
3,355,200
240,000
3,600,000
約14年
79歳
40歳 11,535
2,768,400
180,000
2,700,000
約15年
80歳
50歳 16,910
2,029,200
120,000
1,800,000
約17年
82歳
  • 1.終身年金A型は15年間保証ですので年金受取人が死亡した場合でも年金受取後15年以内であれば一時金として遺族が受取れますが、15年間受取金額は支払った掛金全額を下回ります。
  • 2.掛金支払いは59歳11ヶ月で終了しますが、年金支給開始は65歳ですので年金受取額が掛金金額と同額になる年齢は80歳以降になります。

国民年金基金vs.小規模企業共済

国民年金基金 小規模企業共済
加入資格 第1号被保険者 常時使用する従業員が20人以下の個人事業主及び会社役員
加入年齢 20歳以上60歳未満及び60歳以上65歳未満の国民年金任意加入者 制限なし
掛金(月額)上限 個人型DCと併せて68,000円 70,000円
税制優遇 掛金全額社会保険料控除の対象 掛金全額小規模企業共済掛金等控除の対象
年金及び共済金の給付 終身年金 一時金又は確定年金
併用も可能
年金及び給付金の開始時期 65歳 事業廃止時
税制優遇 公的年金等控除の対象 退職所得控除及び公的年金等控除の対象
予定利率 1.50% 1.0%、ただし共済金の額は掛金を約1.5%の複利運用した元利合計額
予定利率の変更の対応 加入時の予定利率の変更なし 加入時に捉われなく、それぞれの予定利率期間を適用

結論

 以下の理由により国民年金基金への加入はお勧めできません。個人事業主等の第1号被保険者には小規模企業共済がじぶん退職金を用意するのには最適な制度であると判断しています。

  • (1)国民年金基金の現在の予定利率は過去最低の1.5%であり掛金は過去最高金額です。この予定利率は今後市場で金利が上昇しても変更されませんのでインフレ対応していません。一方、小規模企業共済は加入時に捉われなく、それぞれの予定利率期間が適用されますので、ある程度インフレ対応の制度です。
  • (2)15年は保証されていますが終身年金ですので年金受取総額が不確定です。確かに65歳以降長生きをすればするほど年金受取額が増えていきますが、年金受取総額が掛金総額と同じ金額に到達するのは80歳以降です。加えて15年間保証の年金受取総額は掛金総額を下回ります。小規模企業共済の場合、一時金又は確定年金(併用も可能)の選択が可能ですので、受取金額は予め確定されています。
  • (3)国民年金基金の場合加入年齢は59歳11ヶ月までに制限されているので、例えば60歳以上の退職者が個人事業主として独立して将来の退職金を準備する事は不可能ですが、小規模企業共済の場合加入年齢制限はありませんし事業を廃止するまで掛金を納める事ができます。
大日 滋【おおくさ しげる】

ファイナンシャル・プラニング事務所 インテレクタス代表

経歴:
銀行・証券会社・保険会社勤務を経て、2011年7月ファイナンシャル・プラニング事務所インテレクタスを設立し独立。

保有資格:
CFP(日本FP協会認定)
1級ファイナンシャル・プラニング技能士(国家資格)
企業年金管理士(確定拠出年金)(企業年金連合会認定)

活動歴:
インテレクタスはラテン語で知性を意味し、“大局観を養い常に知性を高める”をモットーに、特に年金及び運用に関して相談業務及び講演を行っています。加えて魅力的な運用手段ですが知名度の低い個人型確定拠出年金の広報活動を積極的に行っています。今回執筆の最初のテーマは個人型確定拠出年金制度を予定しています。

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