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アナリストの視点(ファンド)

多様化する中国株ファンド

2010-01-12

 2009年のファンドの状況を見ると、いわゆる「通貨選択型」ファンド以外で注目を集めることとなったのが、新興国を代表するBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の株式を中心に投資するファンドとなる。特にブラジルは債券に投資するファンドを含めた新規設定が増えたことや、ブラジル株式市場の上昇もあり投資化の関心を集めた。一方、中国に投資するファンドについては、中国株式市場が2009年後半に入って上値の重い展開となったこともあり、新たな投資先としての話題性はブラジルに譲った形となった。ただ、特に中国A株に投資するファンドについてはこれまでと変わらずの人気を保っており、加えて幅広い観点で中国に着目するファンドが増えるなど多様化が進んでいる。

▼中国株式を主要投資対象とするファンド(純資産額上位15本、2009年12月末時点)
ファンド名 委託会社名 基準価額(円) 純資産額(円) リターン
(%、年率)
スターレーティング
6ヶ月 1年 3年
野村 新中国株投資 野村アセット 12,576 107,958 9.60     -
フォルティス 中国環境関連株式投信 フォルティス・アセット 10,362 85,209       -
日興フォルティス 中国A株ファンド フォルティス・アセット 10,860 83,663 7.59     -
三井住友・ニュー・チャイナ・ファンド 三井住友アセット 13,312 80,589 10.69 61.59 0.25 ★★★★
日興UBS 中国A株ファンド ユービーエス・グローバル・アセット 10,778 62,241       -
UBS 中国株式ファンド ユービーエス・グローバル・アセット 8,599 61,442 11.86 80.31   -
インベスコ 中国株式ファンド インベスコ投信 11,370 53,329 9.88     -
大和住銀 中国株式ファンド 大和住銀投信 10,809 50,135       -
HSBC 中国株式ファンド(3ヶ月決算型) HSBC投信 5,949 46,233 8.76 54.12 -6.22 ★★
HSBC チャイナオープン HSBC投信 26,810 41,353 8.76 53.92 -6.24 ★★
チャイナ騰飛(チャイナ・エクイティ・オープン) 大和住銀投信 11,860 32,194 9.83 63.77 -1.04 ★★★★
三菱UFJ チャイナオープン 三菱UFJ投信 11,003 31,535 10.99 63.50 -2.90 ★★★
CA グラン・チャイナ・ファンド クレディ・アグリコルアセット 6,921 30,936 10.07 73.33 -0.85 ★★★★
ダイワ・チャイナA(エース) 大和投信 13,806 28,936 8.73     -
三井住友・中国A株・香港株オープン 三井住友アセット 10,047 26,848 11.65 75.40   -
出所:モーニングスター

 主に中国を投資対象とするファンドとしては、投資対象市場別に、(1)中国A株(本土株)を投資対象とする(もしくは、投資対象に含む)ファンド、(2)中国A株以外のH株、レッドチップなどを主な投資対象とするファンド、に大別できると言える。中国A株は中国本土企業の人民元立ての株式に投資するといった違いに加え、中国A株市場自体が時価総額が大きく、上場銘柄も幅広いといった特性があるが、基本的に「外国人投資家が直接投資できない」という点に大きな特徴がある。中国は2002年12月からQFII(適格国外機関投資家)制度を設け、CSRC(中国証券監督管理委員会)から認定を受け、SAFE(中国国家外貨管理局)が認可した国外機関に中国A株への投資枠を与えている形となっており、日本では、日興アセットマネジメント、三井住友アセットマネジメントなどが先行する形で中国A株を投資対象に含むファンドを設定・運用してきた。実際のパフォーマンスをみても、2006年、2007年と中国A株に投資するファンドは他の中国株ファンドと比較して良好なパフォーマンスとなった。2006年のモーニングスター・インデックスで「国際株式・中国(為替ヘッジなし)」の年間トータルリターンは78.37%、2007年は61.16%と中国株に投資するファンドのパフォーマンス自体が他の類似ファンド分類を大きく上回ったが、中国A株を主要投資対象とするファンドはこれを上回るパフォーマンスを記録したことが注目を集めた。

 ただ、現状では(1)UBSグローバル・アセットマネジメントやフォルティス・アセット・マネジメントなどグローバルのグループで中国A株への投資枠を大きく確保しているところも日本で中国A株に投資するファンドの設定を積極化したこと、(2)中国当局が日本を含めた海外機関に中国A株への投資認定を与えることを積極化しており、新規にQFII枠を獲得する運用会社が出ていること、(3)中国A株の指数に連動するETF(上場投資信託)が上場しており、一部のファンドではETFを活用するところも出ている、など中国A株を投資対象に含むファンド自体は珍しいものではなくなっている。特に、2009年に設定された中国株を主要投資対象とするファンドは中国A株を投資対象に含めているところが多い。ただ、中国A株のみを投資対象とするファンドは流動性や純資産総額の規模などの問題から設定本数は少なく、これまでと変わらず投資家の人気を集めている。

 一方、中国A株への投資が進むと同時に、中国株の投資の切り口として、中国株式を他国の株式と組み合わせ(1)「環境」や「インフラ」といった特定のテーマで中国株を選別し、投資対象に含めるファンド、(2)中国株のインデックスファンド(ETF含む)、(3)新興国(BRICs)株式と組み合せたファンド、(4)アジア株式と組み合せたファンド、など中国株への投資のバリエーションが増えてきている。中国株式市場の時価総額が日本の株式市場の時価総額を抜き、世界2位となる中、10月30日には中国版ナスダックと言うべき新興企業市場「創業板」への上場が行われる、IPOも盛んな点など投資対象のバリエーション自体も増えてきている。ただ、インデックスベースで見ると、香港H株指数、上海総合指数などの中国の主要指数を見ると、金融など特定業種の比率が高い点など業種別ではバランスに欠ける面がまだ見受けられる。

 このほか中国に着目したファンドでは、中国で活躍する「先進国」企業の株式を組み入れたファンドなどが挙げられるが、2009年に人気を集めた「通貨選択型」ファンドでも通貨の選択先に「人民元」を加えているところや、人民元建て債券を投資対象とするファンドなど中国を投資対象としたアプローチは拡大している。一方、中国での各農産物消費動向の先行きに注目して指数の構成比率を決定する「農産物指数ファンド」など、株式・債券以外の資産クラスにも中国に注目するファンドは増えてきている。

(渡邉 亮)

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