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アナリストの視点(ファンド)

2010年のグローバルREIT市場は波乱の展開となる可能性も

2010-01-19

2009年の人気はグローバルREITに集中

 2009年に既存ファンドで最も資金を集めたのは、グローバルREITファンドとなりそうだ(図1参照)。2009年11月末までの純資金流出入をみると、「1年未満ファンド」(設定から概ね1年未満のファンドで類似ファンド分類が付与されていないファンド)への資金流入が中心で、既存ファンドは8,542億円の純流出となった。ただ、そうした中でも、類似ファンド分類では「国際株式・REIT(為替ヘッジなし)」が9,205億円の純流入と最も資金を集めた。また、同分類は、月間では2008年11月以降、13ヵ月連続の純流入となったことは注目される。さらには、個別ファンドの純流出入ランキング(1年未満ファンド除く)でも、第1位が「DIAM ワールド・リート・インカム(毎月決算)」、第2位が「野村 世界不動産投信(毎月分配型)」、第3位が「ラサール・グローバルREIT(毎月分配型)」となっており、グローバルREITファンドがトップ3を独占した。

(図1)2009年の類似ファンド分類別純資金流入ランキング(2009年11月末時点) 2009年の類似ファンド分類別純資金流入ランキング(2009年11月末時点)
※表中の類似ファンド分類は略称で表記
出所:モーニングスターが作成

分配金だけでなく、ポートフォリオやトータルリターンに注目

 こうした背景には、REITファンドの分配金利回り(直近分配金×年決算回数÷基準価額)の高さがあると思われる。2008年から2009年前半にかけての世界的なREIT価格の急落に伴い、グローバルREITファンドの基準価額も大幅に下落。中には分配金を減少させるファンドもあった。ただ、その後はREIT市場も落ち着きを取り戻し、反発傾向となったことや、為替市場での円安傾向なども寄与し、基準価額は上昇。「国際株式・REIT(為替ヘッジなし)」に属するファンドの2009年12月末までの過去1年間のトータルリターン平均は41.04%となった。そうした上昇後であっても、同月末時点の分配金利回りが依然として10%を越えているファンドも多いことが、継続的な資金流入に繋がっていると推測される(図2参照)。

(図2)グローバルREITファンド(為替ヘッジなし)の分配金利回りランキング(2009年12月末時点)
ファンド名 投信
会社
基準
価額
(円)
直近
決算日
分配金
利回り
(%)
純資産額
(百万円)
トータル
リターン
1年(%)
信託報酬率等
(税込み・%)
フィデリティ・USリートB(為替ヘッジなし) フィデリティ 6,723 2009年
12月15日
17.85 66,773 46.76 1.57
ラサール・グローバルREIT(毎月分配型) 日興 5,000 2009年
12月07日
16.80 250,059 32.97 1.58
ワールド・リート・オープン(毎月決算型) 国際 5,623 2009年
12月10日
16.01 199,459 35.07 1.64
ダイワ・グローバルREIT(毎月分配型) 大和 4,512 2009年
12月15日
15.96 132,631 45.94 1.55
日興・AMPグローバルREITF毎月A(ヘッジなし) 日興 5,734 2009年
12月07日
14.65 108,359 37.56 1.58
DIAM 世界リートインデックスF(毎月分配型) DIAM 4,242 2009年
12月14日
14.14 95,575 40.32 0.89
りそな ワールド・リート・ファンド 大和 4,371 2009年
12月15日
13.73 43,739 45.72 1.55
ワールド・リート・セレクション(米国) 岡三 3,538 2009年
12月14日
13.57 36,706 42.18 1.90
ワールド・リート・セレクション(欧州) 岡三 3,974 2009年
12月15日
12.08 6,684 37.03 1.90
新光 US-REITオープン 新光 6,003 2009年
12月07日
11.99 16,420 36.87 1.61
出所:モーニングスターが作成

 しかし、分配金利回りはあくまでも一つの目安に過ぎないことには留意が必要である。今後の各国の経済状況や不動産市場の動向によっては、分配金が減少する可能性があることや、REIT市場の低迷や為替市場の円高傾向により、基準価額そのものが下落する可能性もある。また、分配金だけに注目すると、より分配金(分配金利回り)が高いファンドの魅力が高いようにも思われるが、各ファンドによってポートフォリオの中身は大きく異なるため、今後の運用成績には大きな差が出る可能性がある。例えば、2009年12月末時点で「国際株式・REIT(為替ヘッジなし)」に属するファンドの中から、純資産額が上位の3ファンドの国別投資比率をみると、グローバルREIT市場の時価総額のほぼ半分を占める米国のみならず、フランス、カナダ、その他市場への比率が各ファンドともに大きく異なっている(図3参照)。したがって、REITファンドを選ぶ際には、分配金や分配金利回りだけにとらわれることなく、これまでの運用成績(トータルリターン)、現在のポートフォリオの中身、今後の投資戦略などにも注目して選択すべきであろう。

(図3)主要REITファンドの国別投資比率比較(2009年12月末時点) 主要REITファンドの国別投資比率比較(2009年12月末時点)
出所:各ファンド月報データよりモーニングスターが作成

割安感は薄れつつあり、REIT市場は波乱の展開となる可能性も

 今後の見通しについては、様々な見方がある。ただ、足元のREIT価格上昇に伴い、カナダや日本などを除く多くの国では、配当利回りからの投資魅力は既に乏しくなりつつあるとの見方もあることには留意が必要である(図4参照)。2010年は、世界的な金融緩和状態から、各国とも「出口戦略」を模索することが予想され、金利、為替ともに大きな変動が起こる可能性があり、割安感が薄れつつあるグローバルREIT市場も波乱の展開となる可能性がある。そうした意味では、分配金利回りだけにとらわれることなく、できるだけ銘柄、地域の分散が図られたファンドを、時間分散も考慮しながら投資することが必要であろう。

(図4)各国REIT利回りと10年国債利回り比較(2009年12月末時点) 各国REIT利回りと10年国債利回り比較(2009年12月末時点)
出所:S&P先進国REIT指数データよりモーニングスターが作成

(吉田 誠)

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