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アナリストの視点(ファンド)

長期分散投資には「必須」の国内債券

2010-10-14

 国内債券ファンドへの資金流入が続いている。モーニングスターの調べでは、類似ファンド分類「国内債券型」への純資金流出入額(資金流入額−資金流出額)は、2010年2月までは概ね毎月±50億円程度の流出入額にとどまっていたが、2010年3月以降は毎月100億円以上の純流入額が続いている。そこで今回は、改めて国内債券ファンドの特徴についてみてみた。

低コストで、かつ低リスク

 国内債券ファンドの特徴の一つとして、コストの低さが挙げられる。主要な類似ファンド分類(2010年9月末時点で類似ファンド分類に属するファンドが20本以上ある分類)の信託報酬率等の平均をみると、国内債券が最も低い(図1参照)。
 ただ、コストが低いだけは、リスクをとって投資する意味が乏しいとの考え方もできる。そこで、主要な類似ファンド分類について、過去5年間のリスク・リターンをみると、国内債券はリスク(標準偏差)も最も低い。一方、リターンについては、多くの資産クラスのリターンがマイナスとなる中、プラスのリターンとなった。なお、中国を含めたアジア株式などの一角を除けば、同期間では多くの資産クラスでリスクに見合ったリターンが得られていないことには留意が必要である。

(図1)主要類似ファンド分類のコスト、リスク、リターン比較(2010年9月末基準)
類似ファンド分類 信託報酬率等
(税込み、%)
標準偏差5年
(年率、%)
トータル
リターン5年
(年率、%)
平均 順位 平均 順位 平均 順位
国内債券 0.52 1 2.69 1 0.78 5
国内ハイブリッド・安定 1.07 4 5.52 2 -1.17 8
国内ハイブリッド・バランス 1.19 6 10.14 3 -3.35 13
国際債券・グローバル(為替ヘッジなし) 1.17 5 10.84 4 -0.27 6
国際債券・北米(為替ヘッジなし) 1.27 7 11.10 5 -1.42 9
国際ハイブリッド・安定(為替ヘッジなし) 1.44 11 11.73 6 -2.26 10
国際ハイブリッド・バランス(為替ヘッジなし) 1.46 14 13.57 7 -3.13 11
国際債券・エマージング(為替ヘッジなし) 1.56 17 14.78 8 1.43 4
国際ハイブリッド・積極(為替ヘッジなし) 1.45 13 15.37 9 -3.70 14
国際債券・低格付(為替ヘッジなし) 1.63 20 17.37 10 -0.38 7
国内中型バリュー 1.37 8 18.39 11 -6.68 18
国内中型ブレンド 1.42 10 18.97 12 -8.80 20
国内大型ブレンド 1.45 12 19.76 13 -9.66 22
国内大型グロース・純資産額100億円未満 1.56 15 20.18 14 -9.76 23
国内大型バリュー 1.38 9 20.30 15 -8.43 19
J-REIT 0.90 3 21.35 16 -4.85 15
日経225連動型 0.64 2 21.85 17 -6.32 17
国内中型グロース・純資産額100億円未満 1.60 19 22.20 18 -8.88 21
国際株式・グローバル(為替ヘッジなし) 1.58 18 23.50 19 -3.31 12
国内小型グロース・純資産額100億円未満 1.71 21 23.62 20 -12.34 24
国際株式・REIT(為替ヘッジなし) 1.56 16 30.38 21 -6.25 16
国際株式・エマージング 1.93 24 38.24 22 1.43 3
国際株式・アジア・オセアニア(為替ヘッジなし) 1.87 23 38.76 23 7.71 2
国際株式・中国(為替ヘッジなし) 1.84 22 40.05 24 10.99 1
※確定拠出年金、ラップ口座向けは除く
出所:モーニングスターが作成

分散投資の効果が発揮されやすい

 国内債券ファンドのもう一つの特徴として、他資産との相関係数の低さが挙げられる。為替変動率の高まりなどから、外国資産内や国内外の株式の価格連動性が高まる中、国内債券は他資産とのいずれの相関も低く、国内債券に投資をすることで分散投資の効果が発揮されやすかった(図2参照)。そうした意味では、長期の分散投資を前提に投資を行う投資家であれば、リスク許容度によって組入比率は異なるものの、国内債券は「必須」の資産クラスといえるかもしれない。

(図2)主なファンド分類の相関係数(2010年9月末基準) (図2)主なファンド分類の相関係数(2010年9月末基準)

※類似ファンド分類インデックスの5年月次リターンに基づく
出所:モーニングスター作成

選択肢は少ないが比較・検討は欠かせない

 一方で、国内債券ファンドの選択肢はそれほど多くない。2010年9月末時点において、類似ファンド分類「国内債券」に属するファンドは54本あるものの、確定拠出年金向け及びラップ口座向けファンドを除くと23本で、そのうち、運用期間が5年超のファンドは14本にとどまる(図3参照)。
 その14本の中には、インデックスファンド、社債なども投資対象とするアクティブファンドのほか、変動利付国債及び物価連動債ファンドも含まれる。日本国債は、為替リスクがなく、リスク・リターンの低い資産クラスであるとはいえ、金利や物価動向の変化、もしくは投資対象としていた社債がデフォルト(債務不履行)となった場合などには、リターンがマイナスとなる可能性もある。したがって、具体的な投資対象、コスト、過去の運用実績等について、比較、検討する必要がある点については、他の資産クラスと何ら異ならない。

(図3)国内債券ファンドの純資産額ランキング(2010年9月末時点)
ファンド名 投信
会社
純資産額
(百万円)
信託報酬率等
(税込み・%)
信託財産留保額
(%)
トータルリターン
(5年・年率・%)
標準偏差
(5年・年率・%)
シャープレシオ
(5年・年率)
DLIBJ 公社債オープン(短期コース) DIAM 24,008 0.32 0.05 1.35 0.77 1.46
ジャパン・ソブリン・オープン 国際 17,403 0.35 0.05 1.62 1.78 0.78
MHAM 物価連動国債ファンド みずほ 8,017 0.42 0.10 0.17 5.75 -0.01
ピムコ 変動利付日本国債ファンドクラスα ピムコ 7,348 0.68 0.00 -0.19 3.95 -0.11
中央三井 日本債券インデックスファンド 中央三井 7,344 0.53 0.10 1.65 2.03 0.70
ノムラ 短期債券オープン 野村 6,183 0.26 0.05 0.48 0.67 0.35
エス・ビー・日本債券ファンド 大和住銀 5,430 0.87 0.00 -1.92 4.32 -0.51
年金積立インデックスファンド日本債券 日興 4,730 0.48 0.10 1.74 1.99 0.76
損保ジャパン 日本債券ファンド 損保ジャパン 3,178 0.68 0.10 1.40 1.89 0.62
東京海上・国内債券ファンド 東京海上 3,086 0.61 0.00 1.76 1.95 0.79
ING・日本債券オープン ING 2,104 0.58 0.00 1.92 2.08 0.81
ハッピーエイジング60 損保ジャパン 2,044 0.99 0.20 0.38 2.74 0.05
野村 変動利付国債ファンド 野村 1,681 0.47 0.20 0.17 2.02 -0.04
物価連動国債ファンド(3カ月決算型) みずほ 1,203 0.42 0.10 0.32 5.77 0.01
※運用期間が5年以上、確定拠出年金及びラップ口座向けは除く
出所 モーニングスターが作成

(吉田 誠)

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