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アナリストの視点(ファンド)

分散投資におけるリバランスの効果

2010-11-04

 分散投資を行ううえで株式と債券、国内と海外といった形で資産クラスごとの比率を定めた資産運用を行うことが一般的であると考えられる。しかし、実際に運用を行うと各資産のパフォーマンスが異なるため、時間の経過とともに各資産の配分比率は当初定めたものから乖離してしまう。この乖離を元に戻す調整はリバランスと呼ばれる。このリバランスには二つの考え方がある。一つは、当初定めた基本配分比率から一定度(たとえば5%乖離した場合)乖離したら行う、もう一つは、一定期間(たとえば1年経過した場合)が経過したら行うというものだ。今回は指数データを用い、国際株式40%、国際債券40%、国際REIT10%、コモディティ10%の基本配分比率で15年間運用し、2つの方法のリバランスを行った場合の結果を比較してみる。

一定度の乖離からリバランスを行う場合

 まず、一定度の乖離に対してリバランスを行う場合である。図表(1)の通り、基本配分比率から5%乖離した場合、10%乖離した場合にリバランスを行うといずれもリスク・リターンは改善している。特にいずれかの資産が基本配分比率から10%乖離した場合にリバランスを行うと最もリスクが低く、リターンが高くなる結果となった。過去15年間、リバランスを行わなかった場合、1999〜2000年のインターネットバブルの時期に国際株式が、2006〜2007年の不動産バブルの時期に国際REITが基本配分比率から10%乖離しており、同時期に比率の落ちた国際債券を引き上げるリバランスを行うと効果が現われたようだ。

図表(1)
以下の比率を超えた時にリバランスを
行った場合のリスク・リターン
0%(リバランスなし) 5% 10%
A:年率リターン 4.95% 5.58% 5.77%
B:年率リスク 13.43% 12.76% 12.63%
A/B 0.37 0.44 0.46

*算出期間:1995年10月末から2010年10月末
*世界株式:MSCIワールドインデックス(配当込み、円ベース)
  世界債券:シティグループ世界国債インデックス(円ベース)
  世界REIT:S&P 先進国REIT 指数(配当込み、円ベース)
  コモディティ:DJ-UBSコモディティインデックス(トータルリターン、円ベース)

一定期間の経過からリバランスを行う場合

 次に一定期間経過した際にリバランスを行う場合である。図表(2)では1ヵ月、6ヵ月、1年、3年、5年のそれぞれの期間ごとにリバランスした場合を示している。いずれもリバランスをしない場合よりはリスク・リターンが改善している。中でもリターンが最大になるのは6ヵ月経過ごと、リスクが最小になるのは3年経過ごとにリバランスした場合となっている。

図表(2)
以下の期間でリバランスを行った場合のリスク・リターン
リバランスなし 1ヵ月毎 6ヵ月毎 1年毎 3年毎 5年毎
A:年率リターン 4.95% 5.33% 5.71% 5.43% 5.27% 5.45%
B:年率リスク 13.43% 12.72% 12.66% 12.62% 12.34% 12.45%
A/B 0.37 0.42 0.45 0.43 0.43 0.44

*算出期間:1995年10月末から2010年10月末
*世界株式:MSCIワールドインデックス(配当込み、円ベース)
  世界債券:シティグループ世界国債インデックス(円ベース)
  世界REIT:S&P 先進国REIT 指数(配当込み、円ベース)
  コモディティ:DJ-UBSコモディティインデックス(トータルリターン、円ベース)

 上記のリバランスの結果は国際株式40%、国際債券40%、国際REIT10%、コモディティ10%という基本配分比率で過去15年間という限られた状況下の結果だ。したがって他のリスク特性を有する金融資産との組み合わせや異なる算出期間を用いた場合には異なる結果になるものの、長期間のデータではリバランスを行うことが運用効率の向上やリスクの低減につながる可能性はきわめて高い。上記の条件では6ヵ月経過でもっともリターンが高くなったが、実際の売買の負担等を考慮すると長期投資が前提であれば1年ないし3年程度のスパンでリバランスを行うといいかもしれない。また、市場の急変動で特定の資産が基本配分比率から10%超といった大きな乖離を見せた際もリバランスを行うように心がけたい。

(加藤 信之)

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