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アナリストの視点(ファンド)

顕在化しない国内債券の信用リスク

2011-03-29

国内債券ファンドは安全?

 国内債券はローリスク・ローリターンの資産であることは、過去のデータが示すとおり、当然の事実として国内投資家には認識されている。実際、過去10年間に発生した様々な事象に対して、国内債券は比較的堅調な推移を保っている(図表1参照)。国内株式(TOPIX)が大きく上昇・下落する局面においても、国内債券(NOMURA-BPI総合)の変動幅が小さいことは図表1より明らかである。また、3月11日の東日本大地震発生後には、質への逃避や金融緩和期待から波乱含みながらも国内債券の利回りは低下(価格は上昇)基調で推移するなど、株式やREIT(不動産投資信託)などの比較的リスクの高い資産とは逆の動きを示した。

 つまり、過去のデータは、国債や社債で構成される国内債券ファンドも、通常でも価格変動リスクが小さいほか、有事の際にも他資産と比べ、堅調に推移することを示している。

図表1 2011年2月末までの過去10年間のNOMURA-BPI総合とTOPIXの推移
顕在化しない国内債券の信用リスク

出所:モーニングスター作成
2001年2月末を100として累積リターンを指数化

市場が判断する信用リスクは過去最高に近い水準であるが…

 一方で、2011年1月に日本の長期国債格付けが欧米の主要格付け機関により格下げされた。また、東日本大震災の影響や原発問題等により、ここ1週間で日本の信用リスクの高さは過去最高水準に近づいている(図表2参照)。海外投資家は、震災前から懸念されていた日本の財政問題に加えて、今後の財政悪化に対する更なる警戒感から、日本の信用リスクは上昇したものと考えられる。また、事業債においては、震災後、高格付けであった東京電力が格下げされるなど、社債の信用リスク低下と利回り上昇には注意が必要である。

図表2 日本のソブリンCDSの推移
顕在化しない国内債券の信用リスク

出所:モーニングスター作成
*この指数は、数値が高いほど信用リスクが高いことを意味する。

 ただ、日本では、国債の保有者の大半が国内投資家であることや、経常黒字国であることから、国債が暴落するリスクは一般的には小さいものと考えられている。実際、債券価格は堅調に推移している。しかしその一方で、日本の財政状況が芳しくないことを海外投資家の取引が活発であるCDS市場は示している。

 国内債券ファンドに投資をしている投資家は、こうした事実について認識しておいたほうがよいだろう。

(下村 優太)

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