youtube fund_beginer fund_search fund_look



アナリストの視点(ファンド)

東京電力大幅下落から考える、配当利回り投資

2011-04-07

 東京電力の下げが止まらない。4月5日に東京電力の株価は一時376円をつけ、約59年ぶりの安値を記録した。こうした東京電力の大幅下落は個人投資家に個別銘柄保有を考えなおさせるきっかけとなるかもしれない。

59万人の個人株主をかかえる東京電力

 2010年9月末時点で、東京電力には59万人以上の個人株主が存在する。東京電力には「安定的」、「配当利回りが高い」などのイメージが強く、「中長期的に保有して高い配当金によるインカム・リターンを受け取りたい」と考えている投資家が多いと考えられる。しかし、東京電力の株価は、今回の突発的な災害などによって1ヵ月(※1)で1/5以下となってしまった。そのため、値を戻すには非常に時間がかかる可能性が高い。以前から、東京電力を保有している多くの個人投資家には、「こんなはずではなかった」と頭を抱えている人も多いだろう。

 こうした時に意識されるのはやはり分散投資だろう。個別銘柄はそれぞれ固有のリスクを抱えており、今回の東京電力のように突発的な出来事によって大きく下落するリスクもある。一方で投資信託ならば、数十から数百銘柄へ分散投資しているため、組入銘柄のうち1つが大幅に下落しても、損失をある程度抑えることができる。さらに、個人投資家が受け取る配当金は課税されるが、投資信託は組入銘柄の配当金が非課税であるため、ファンドの中で配当金を課税されずに再投資することが可能である。

 ※1:2011年3月4日から4月5日の終値で比較。

配当利回りに注目した投資信託

 現在、東京電力のような配当利回りの高い銘柄を中心に分散投資する国内株式ファンド(以下、高配当株ファンド<※2>)は、約30ファンド設定されている。過去5年間では、高配当株ファンドの標準偏差(1年間の月次リターンを元に算出、値が大きいほどリターンのブレが大きくなる)は図1のように推移している。他の運用スタイルに属する国内株ファンドと比較して、標準偏差は低く推移していることが分かる。

 ※2:国内株式ファンドのうち、「配当」、「インカム」などの言葉が名称に入っているファンドを抽出。


図1 過去5年間の標準偏差の推移
図1 過去5年間の標準偏差の推移

出所:モーニングスター作成
標準偏差は1年間の月次リターンをもとに算出

 次に、過去5年間の年間リターンを見ると、高配当株ファンドは株式市場の上昇時には他の運用スタイルのファンドに劣後するものの、下落基調だった場合などには優位な運用成績となっている。そのため、相対的にリターンのブレの小さい運用成績が期待される。また、高配当株ファンドの組入銘柄の予想平均配当利回りは3%程度となっている。日経平均株価採用銘柄の平均である2%前後と比較して、1%程度高いものとなっている。

図2 過去5年間の暦年のリターン
図2 過去5年間の暦年のリターン

出所:モーニングスター作成

 このように、配当利回りに着目して投資する場合には、個別銘柄を保有するよりも高配当株ファンドへの投資したほうがメリットがありそうである。また、高配当株ファンドの純資産額上位10ファンドについて、組入上位銘柄(1月末または2月末)を調べてみたところ、東京電力を組み入れていたファンドは1ファンドのみであった。加えて、業種別に見ても電気・ガスなどの業種は組み入れが少ない。そのため、高配当株ファンド全体では、東京電力の影響を受けることは少ないかもしれない。今回の東京電力の大幅下落は、個別銘柄を保有する意味を再度考え直し、投資信託保有でも代替可能か検討してみる良い機会となるかもしれない。

 なお、本文で用いた「安定性」などの言葉はあくまでも相対的な意味であることや投資信託には信託報酬などのコストがかかる点には留意が必要である。

(辻 哲)

「アナリストの視点」よく読まれている記事(過去1週間)

アナリストの視点はRSSでも配信しています

バックナンバー