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アナリストの視点(ファンド)

資金が集まるファンドは販売手数料が高いファンド?

2011-05-06

 4月26日に設定された「ノムラ・グローバルトレンド(資源国)毎月」をはじめとした「ノムラ・グローバルトレンド」シリーズ(6本)が設定額964億円を集め、2011年に設定されたファンドの中で最も資金を集めた(2011年4月28日時点、個別ファンドでは「ダイワ/ハリス世界厳選株ファンド」の748億円が1位)。ただ、当ファンドは、絶対収益追求型のヘッジファンドをベースとした通貨選択型ファンドであり、その運用戦略は一般投資家には難解であるほか、最低投資単位は500万円と高額となる。こうした条件が重なるにも関わらず、なぜこれほどの資金が集まったのだろうか。過去のファンドの当初設定額をみると、こうした不可解な「大型設定」がいくつも散見される。

 そこで今回はこの疑問を解く一つの解釈として、2010年度に設定されたファンドの設定額、販売手数料の関係性を検証し、投資信託の販売体制について考察を行った。

販売手数料が高いほど設定額は高い?

 2010年度に最も設定額(以降、設定日当日の純資産額と定義)を集めたファンドは、「野村 G・ハイ・イールド債券(資源国通貨)毎月」であった。当ファンドは、資源国通貨を活用し、ハイイールド債券での運用を行う通貨選択型ファンドであり、高リターンが期待できる反面、リスクも相応に高いとみられる。また、販売手数料も4.2%(税込み)と、2010年度に設定されたファンドの中では最も高いファンドの一つである。

 そこで2010年度に設定されたファンドの販売手数料、設定額の関係を検証してみると、面白い事実が見えてきた。図1は横軸に販売手数料(税込)、縦軸に設定額をとったグラフである。一般的には、販売手数料が低いほうが投資家の支持が得られやすく、資金が集まりそうなイメージがあるが、図1が示す結果は逆で、販売手数料が高いほど設定額が高くなる傾向が見受けられた。

図1 販売手数料(横軸)と設定額(縦軸)の関係
資金が集まるファンドは販売手数料が高いファンド?

出所:モーニングスター作成
2010年4月1日〜2011年3月31日に設定された追加型株式投資信託が対象(DC、SMAファンド除く)
販売手数料:販売会社の中の最大値を使用、税込み表示
設定額:通常は設定日までに集まった金額を指すが、ここでは設定日の純資産額で代用

販売体制に問題も

 この背景には、ファンドを販売する証券会社や銀行において、収益源の確保、手数料ビジネスの拡大を図るためにファンドの販売に力を入れていることが挙げられる。手数料の高いファンドを販売することは販売会社の業績に好影響をもたらすほか、販売を行う営業職員にとっても給与・ボーナス面での高いインセンティブが得られることが考えられる。そのため、図1で示されたように販売手数料が高いファンドほど、資金が集まるという結果に繋がるのだろう。

 一方、新規ファンドが設定されるたびに、販売会社が乗り換えを推奨し、手数料収入を稼ぐという方法は、長期投資を前提としたファンドの投資意義に反しており、投資家の利益に反する行為であると考えられる。こうした販売会社中心の販売体制は以前から批判されており改善が望まれる。サービスの対価として、手数料が存在するということを強く認識すべきであろう。

 今回は、販売手数料と設定額の関係についてみてきたが、「販売手数料が高いファンド」=「パフォーマンスが悪いファンド」というわけではないことにはご留意いただきたい。

(下村 優太)

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