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アナリストの視点(ファンド)

通貨選択型ファンドへの試練

2011-09-27

 2011年9月に入り、ギリシャの債務不履行や米国の景気減速に対する懸念から、投資家のリスク回避姿勢が強まっている。世界各国の株式市場が急落しているほか、高金利通貨も下落が止まらない。多くのファンドのトータルリターンがマイナスとなる中、特に通貨選択型ファンドでは軟調な展開が続いている。今回は通貨選択型ファンドの今後について考えてみたい。

通貨選択型ファンド「レアルコース」が大幅下落

 8月末から9月22日までのトータルリターンをみると、およそ全体のうち9割近いファンドがマイナスとなった。プラスとなったファンドは、ブルベアファンドやヘッジファンド、外貨建て資産を対円で為替ヘッジする海外債券ファンドなど、一部に限られた。

 多くのファンドがマイナスのリターンとなる中でも、特に下落率の大きかったファンドは、通貨選択型ファンドのブラジル・レアルコースである。図表1は、同期間のトータルリターン下位20ファンドであるが、投資対象資産に関わらず、通貨選択型ファンドのレアルコースが大半を占めた。これは9月に入ってからの急激なレアル安が影響している。2011年、レアルは1レアル=50円以上で推移する期間もあったものの、9月中旬には一時40円を割り込む水準にまで低下した。レアル安の要因は、8月末にブラジル中銀が予想外の利下げに転じたことやギリシャの債務不履行懸念とそれに伴う投資家のリスク回避姿勢が影響している。ただし、ブラジル中銀が為替介入を行いレアル安阻止へ動くなど、今後のレアルの動向には注意が必要である。

 また、ブラジル・レアルだけでなく、高金利で投資家からの人気の高い豪ドルなども下落している。通貨選択型ファンドはその多くが高金利通貨で為替ヘッジを行う。投資家のリスク回避姿勢が強まる今回のような局面では、高金利通貨から資金が流出するため、通貨選択型のパフォーマンスは相対的に軟調になりやすい。

図表1 下位パフォーマンス20ファンド


ファンド名 委託会社名 カテゴリー名 トータル
リターン
資源株ファンド通貨選択S<レアル>(毎月) 日興アセット 国際株式・グローバル・除く日本(F) -23.18%
資源ファンド(株式と通貨)ブラジルレアル 日興アセット 国際株式・グローバル・除く日本(F) -23.01%
(ネット証券専用)新興市場日本株レアル型 DIAM 国内小型ブレンド -21.74%
USリートメジャーズ(通貨)レアル(毎月) 大和投信 国際REIT・特定地域(F) -20.70%
資源株ファンド通貨選択S<ランド>(毎月) 日興アセット 国際株式・グローバル・除く日本(F) -20.21%
資源ファンド(株式と通貨)南アフリカランド 日興アセット 国際株式・グローバル・除く日本(F) -20.07%
野村 北米REIT投信(レアルコース)年2回 野村アセット 国際REIT・特定地域(F) -20.05%
野村 北米REIT投信(レアルコース)毎月 野村アセット 国際REIT・特定地域(F) -19.94%
みずほ世界不動産投信(通貨選択)<レアル> DIAM 国際REIT・グローバル・含む日本(F) -18.64%
米国中小型株ファンド・ブラジルレアル 三井住友アセット 国際株式・北米(F) -18.62%
楽天 USリート・トリプルエンジン(レアル)毎 楽天投信 国際REIT・特定地域(F) -18.30%
モルガン・スタンレー新興4カ国不動産関連F 大和投信 国際株式・エマージング・複数国(F) -17.73%
USリートメジャーズ(通貨)資源国(毎月) 大和投信 国際REIT・特定地域(F) -17.02%
通貨選択型Jリート・ファンド(毎月)レアル みずほ投信 国内REIT -16.91%
野村 北米REIT投信(ランドコース)年2回 野村アセット 国際REIT・特定地域(F) -16.71%
アムンディ・欧州ハイ・イールド債券(レアル) アムンディ 国際債券・ハイイールド債(F) -16.52%
野村 北米REIT投信(ランドコース)毎月 野村アセット 国際REIT・特定地域(F) -16.38%
世界ハイブリッド証券通貨S(毎月)<レアル> DIAM 国際債券・グローバル・含む日本(F) -16.21%
アジアインフラ株F(毎月分配型)レアル 日興アセット 国際株式・エマージング・複数国(F) -16.06%
世界レアメタル関連株ファンド 大和投信 国際株式・グローバル・含む日本(F) -15.88%

出所:モーニングスター作成
2011年8月31日から9月22日までのトータルリターンを使用
DC、SMA、ETF、ブルベア型ファンド除く

9月に入り通貨選択型ファンドの純資産額は大きく減少

 通貨選択型ファンドは2008年に設定されて以降、堅調な成長を続けてきた(図表1)。しかし、2011年9月には通貨選択型ファンドのパフォーマンス悪化から純資産額は大きく減少。2011年8月末時点では約9兆円あった純資産額が、9月22日には8兆1,000億円にまで落ち込んだ。月次ベースでみた場合、1カ月間だけ下落するということは過去にも数回あったが、今回は7月末時点から2カ月連続での下落となる可能性が高い。

図表2 通貨選択型ファンドの純資産額の推移


図表2 通貨選択型ファンドの純資産額の推移

出所:モーニングスター作成
各月末時点の純資産額の合計値の推移
2011年9月は9月22日時点の純資産額の合計値
*通貨選択型ファンドはモーニングスターが独自に分類した

 通貨選択型ファンドはリーマンショック後に設定されたファンドがほとんどである。そのため、過去の最大下落率を確認してもそれほど大きな下落は記録していない。しかし、8月末から9月22日までのトータルリターンをみると、過去1カ月間の最大下落率を下回るパフォーマンスとなったファンドが散見される。

 通貨選択型ファンドは分配金利回りの高さから投資家から高い人気を得ていた。しかし、今後、投資対象資産、通貨の下落によりパフォーマンスの悪化が長引いたり、人気の低迷から純資金流出ともなれば、今までと同様の分配金が期待できない可能性もある。通貨選択型ファンドは長続きしたテーマ型ファンドの一つで終わるのか、その真価が今問われているところかもしれない。

(下村 優太)

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