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アナリストの視点(ファンド)

分散投資は本当に効果的か?

2012-02-21

 分散投資は資産運用の基本と言われている。様々な資産に分散投資をすることで、リスクを抑制する効果や収益機会の拡大などが期待されるためだ。しかし、その効果はどの程度のものなのか、具体的に述べているケースはあまり見られない。そこで今回は、分散投資のメリットとして最も強調される「リスク分散効果」について調べてみた。

リスク分散効果とは?

 通常、投資信託で使われる“リスク”は、トータルリターンのぶれの大きさを表す。リスクとは損失を被るという意味だけでなく、収益を獲得するという意味も有している。

 今回取り上げるリスク分散効果とは、ポートフォリオに組み入れられている各資産(金融商品など)のウエイトで加重平均したリスクよりも実際のリスクは低減するという効果を意味する。これは、ノーベル経済学賞受賞者のハリー・マーコビッツが1952年に発表した論文で示されている。実際に複数の資産を組み合わせたポートフォリオはリスクを分散(低減)させる効果がある。図1がそのイメージとなる。資産Aと資産Bのような値動きが異なる資産を組み合わせると、値動きの小さいポートフォリオを構築することができる。

図1:分散投資のイメージ


図1:分散投資のイメージ

出所:モーニングスター作成

リスク分散効果は減少傾向に

 しかし、最近では、リスク分散効果はやや薄れつつあるようだ。主要6資産(国内、先進国、新興国の株式、債券)へ均等投資を行ったときのポートフォリオ(以下、6資産均等投資とする)の各年のリスク分散効果を計算したところ、過去と比べてその絶対水準は低下気味であることが分かった。

 図2は、2002年以降の各年における6資産均等投資の実際のリスクとリスク分散効果によって低減したリスクを表す(この数値は1年間のトータルリターンの平均的なブレを表す数値を意味する)。なお、ここでのリスク分散効果とは、6資産均等投資のウエイトで加重平均したリスクから実際のリスクを差し引いたものと定義する。リスク水準は市場環境などによって異なるものの、リスク水準の高い期間では概ねリスク分散効果は小さい傾向にある。特にリーマンショックの発生した2008年は、大幅な下落局面であり、最もリスク分散効果が期待される時期であったにも関わらず、リスク分散効果の水準は過去10年間で2番目に小さかった。

 分散投資はポートフォリオのリスク分散には効果的であるものの、その効果は以前ほど高くはないようだ。その理由として、たびたび各資産間の連動性の上昇が挙げられる。特に、下落局面においては、株式を中心に価格の連動性が高まる傾向にあることが指摘されている。各資産間の連動性が高まることは、リスク分散効果が薄くなることを意味する。

図2:主要6資産へ均等投資した場合の各年のリスク分散効果


図2:主要6資産へ均等投資した場合の各年のリスク分散効果

出所:モーニングスター作成
※1 6資産均等投資は各資産への均等割合で投資し、毎月リバランスを行ったものと仮定。
※2 ここでの「リスク分散効果により低減したリスク」とは、6資産均等投資のウエイトで加重平均したリスクから実際のリスクを差し引いたものと定義する(つまり、6資産均等投資で加重平均したリスクは各資産の相関係数が1であると仮定)。
※3 リスクは6資産の月次リターンの標準偏差(年率)を意味する。
※4 各資産には以下のインデックスを使用
国内株式国内株式:TOPIX(配当込み)、国内債券:NOMURA−BPI(総合)、先進国株式:MSCIコクサイ(配当込み、円ベース)、先進国債券:シティ・グループ世界国債(除く日本、円ベース)、新興国株式:MSCIエマージング(配当込み、円ベース)、新興国債券:JPモルガンEMBIグローバル ディバーシファイド(円ベース)
海外指数はモーニングスターが円換算

 ポートフォリオ全体のリスク水準はファンドの組み合わせや市場環境によって、受ける影響は異なる。分散投資の際には、ファンド間の相性のチェックや過去のリスク水準の確認が重要であることは言うまでもない。可能であれば、市場環境に応じてポートフォリオ全体の資産配分の変更を行う必要があるだろう。

(下村 優太)

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