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アナリストの視点(ファンド)

運用成果の大部分はアセットアロケーションで決まる?

2012-06-27

運用成果の大半はアセットアロケーションで説明

 資産運用において、アセットアロケーション(資産配分)の重要性は高く、「運用成果の8割以上はアセットアロケーションで決まる」とよく言われている。最初にその重要性を明らかにしたのは、1986年のBrinsonらの研究である。この研究は、米国の91の年金基金を対象に1973年から1985年の四半期リターンの変動がポリシーアセットアロケーション(事前に決定したアセットアロケーション)のリターンの変動によって、93.6%説明されることを示した。また、投資タイミングや銘柄選択がそれほどパフォーマンスには影響しないことも示唆している。以降、様々な研究・調査が国内外で発表されてきたが、ポリシーアセットアロケーションが運用成果の80%以上を説明するという結果が多くを占めている(図表1参照)。

図表1:ポリシーアセットアロケーションの運用成果に対する説明力
<研究・調査の一例>

研究・調査 調査対象・対象データ・期間等 説明力
Brinson、Hood and Beebower 調査対象:91の年金基金 93.6%
対象データ:四半期リターン
期間:1973-1985年
Ibbotson and Kaplan 調査対象:58の年金基金 88.0%
対象データ:四半期リターン
期間:1993-1997年
企業年金連合会 調査対象:1,200以上の厚生年金基金 91.2%
対象データ:年度リターン
期間:90年度から99年度

※説明力の数値は決定係数を表す。決定係数とは0−100%で表され、100%に近いほど説明力が高いとされる。決定係数はあるデータが別のデータをどれくらい説明できるか示すときに使用される。
出所:下記資料
Brinson, Gary P., L. Randolph Hood, and Gilbert L. Beebower(1986)「Determinants of Portfolio Performance」、Financial Analysts Journal, July-August, 1986, vol42, pp.39-48.
Roger G. Ibbotoson and Paul D. Kaplan(2000)「Does Asset Allocation Policy Explain 40, 90, or 100 Percent of Performance?」、Financial Analysts Journal, January-February, 2000, vol56, pp.26-33.
企業年金連合会(2001)「厚生年金基金の資産運用−厚生年金基金の資産運用−」

相対的な運用成果はアセットアロケーションだけでは決まらないとされるが…

 この研究・調査結果はある種の誤解を生みやすい。アセットアロケーションが運用成果の大半を決めるといっても、ファンド間のリターン差の説明力についてまでは言及していないことには注意が必要となる。ファンド間のリターン差については、アセットアロケーションがそれほど高い説明力を有していないという研究・調査結果も多い。

 しかし、アセットアロケーションの違いが相対的な運用成果に大きな影響を与えることは明らかである。実際、株式(含むREIT)や債券の比率に応じて分類されたモーニングスターカテゴリーに属するバランス型ファンドの過去の累積リターンの平均値の推移をみると、アセットアロケーションの違いにより運用成果に差が生じていることが確認できる(図表2参照)。

図表2:バランス型ファンドの累積リターンの推移

図表2:バランス型ファンドの累積リターンの推移

出所:モーニングスター作成
※1安定、安定成長、バランス、成長の累積リターンはモーニングスターカテゴリーインデックスを示す。
※2安定、安定成長、バランス、成長の順に債券への配分比率が高く、株式(REIT)への配分比率が低い。詳細はhttp://www.morningstar.co.jp/help/fund/h_category.htmlをご参照。

 資産運用において、アセットアロケーションの重要性は高い。しかし、どういったアセットアロケーションが最適かは、投資家の運用目的やリスク許容度、運用期間などによって異なる。投資を行う前には、その前提となる条件を確認することが欠かせない。

(下村 優太)

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