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アナリストの視点(ファンド)

バランス型ファンドへの投資で非合理的な投資行動を回避

2012-07-20

損得を合理的に判断できない可能性

 資産運用で成功するためには、合理的な投資行動が不可欠である。その時々の市場の動向に左右され、売買を行っても中長期的に利益を得られる可能性が低いことは想像に難くない。しかし、多くの投資家は合理的な投資行動を行うことが如何に難しいことであるかをしばしば忘れがちである。

 資産運用とは直接関係ないが、一例として映画を観に行く場合を考えてみよう。Aさんは映画のチケットを事前に購入していたとし、Bさんは映画のチケットを映画館で購入しようと考えていたとする。Aさんは事前に購入していた映画のチケット(2,000円)を映画館に着くまでに失くしてしまっていた。一方、Bさんは、映画館に着いた時に映画のチケットに相当する2,000円を失くしてしまっていたとする。この後、映画館についた二人はどういう行動を取るだろうか?Aさんは映画を観ずに帰り、Bさんは映画を観てから帰るケースが多いという。これは、Aさんは映画用のお金を“心理的”に別管理していたため、チケットを失くしてしまったことで既に映画の代金を払ったと判断し、映画を観ずに帰ってしまったと解釈することが出来る。

図表:1メンタルアカウントの例

図表:1メンタルアカウントの例

 これはメンタルアカウントと呼ばれ、心理的にお金に色をつけて管理してしまうことをいう。これと似たようなことが投資の際にも起こると言われており、非合理的な投資行動を起こすバイアスの一つとなる。例えば、保有資産全体の会計上の損益はプラスであっても、ある銘柄で損失が大きければ、別の銘柄でカバーしようとする心理がまさにそれである。投資家はその時々の状況で投資判断が異なってしまう可能性がある。

バランス型ファンドの活用は非合理的な投資行動を避ける一つの方法

 多くの投資家は恣意的な判断に基づき金融商品の売買を行う可能性が高い。それでは、売買を誤らないためにはどうすれば良いのだろうか?買い付けに関する簡単な方法は、積立投資を実践することである。積立投資は一定期間ごとに買い付けを行う方法で、投資タイミングによる損益を平準化することができる。また、売却に関しては、事前に定めた水準に到達したら売却するなどのルールを設けることや、一部の証券会社が提供している自動解約サービス(定期的に保有している投信の金額・口数を解約するサービス)などの利用も有効であると考えられる。

 ファンドへの投資を考えたときには、あらかじめ資産配分が決められているバランス型ファンドや、目標とする年に応じて資産配分が変更されるターゲットイヤーファンドを活用することが有効な手段の一つとなる。こうしたファンドへ投資するメリットは、あらかじめ事前の目標通りの資産配分で運用を行ってくれるだけでなく、投資対象資産の価格変動によって資産配分比率が変わっても、定期的なリバランスで元の資産配分比率に戻してくれることである。そのほか、経済環境の変化の影響を勘案し、一定期間ごとに目標とする資産配分比率自体の変更も行うファンドもある。リバランスや資産配分比率の変更などは運用会社が行ってくれるため、非合理的な投資行動を起こすリスクは低減する。

 ただ、2012年6月末時点でモーニングスターカテゴリーが付与されているファンドのうち、バランス型ファンドは全体の9%程度(純資産額ベース)であり、国際REIT型のようなオルタナティブ資産よりもその比率は低く、投資家の注目度はそれほど高くないのが現状である。また、バランス型ファンドは同月末までの過去1年間で8,000億円以上の純資金流出となっており、投資家離れが著しい。

 バランス型ファンドは、いま流行のファンドと比較すると、高い分配金や高リターンは期待できないものの、資産配分は資産運用の専門家である運用会社が決定しており、中長期で安定的なパフォーマンスが期待できる。投資判断を誤りたくない投資家は、バランス型ファンドへの投資を検討してみるのも良いだろう。

図表2:投資信託の分類別の内訳(2012年6月末時点、純資産額ベース)

図表2:投資信託の分類別の内訳(2012年6月末時点、純資産額ベース)

出所:モーニングスター作成
モーニングスターカテゴリーを基に分類
※バランス型ファンドにはターゲットイヤーファンドも含む

(下村 優太)

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