youtube fund_beginer fund_search fund_look



アナリストの視点(ファンド)

短期豪ドル債オープン(毎月分配型)、分配金引き下げで過去最大の純資金流出

2012-10-04

「短期豪ドル債オープン(毎月分配型)」、9月は過去最大の純資金流出に

 「短期豪ドル債オープン(毎月分配型)」(以下、当ファンド)は、残存期間1年未満の豪ドル建て債券を主要投資対象とするファンドで、豪州の高金利や高格付け、豪ドルの上昇を背景に高い人気を誇ってきた。現在(2012年9月末時点)の純資産額は1兆742億円で、追加型株式投信の中では「グロソブ」に次ぐ第2位の規模を誇る大型ファンドである。

 当ファンドはこれまで順調に純資産額を拡大してきたものの、2012年に入ってからは純流出が目立つようになってきた。同期間、2月の豪ドルの急上昇により、当ファンドも利益確定の売りが出やすく、大幅な流入傾向にも変化がでた。加えて、豪州では5月、6月に2カ月連続で政策金利が引き下げられたほか、今月2日にも利下げが実施され政策金利は3.25%まで低下している。豪ドルは政策金利の低下を受けて、円高・豪ドル安に振れる機会が増えたため、当ファンドへの資金流入は滞ってきたものと推測される。

 当ファンドでは、金利低下に伴う分配金原資の減少などを懸念し、2008年4月から続いた毎月の分配金100円(1万口当たり・税込み)を2012年9月7日に70円(同)に引き下げた。分配金引き下げの影響を受けて、9月の当ファンドの純資金流出額は626億円(推定値)と過去最大の純資金流出額となる見込みであり(図1参照)、同月は追加型株式投信の中で最も純資金流出額の大きいファンドとなった。

図1:短期豪ドル債オープン(毎月分配型)の純資金流出入額の推移

図1:短期豪ドル債オープン(毎月分配型)の純資金流出入額の推移

出所:モーニングスター

分配金の引き下げで人気低迷が続く可能性

 近年、分配金を重視する投資家の増加に伴って、分配金引き下げ後に純資金流出に転じるファンドは多い。例えば、2012年9月末時点で純資産額3,000億円超の大型ファンド「エマージング・ボンド・F・レアルコース(毎月)」も2012年8月に分配金を引き下げた影響から、8月、9月は純流出に転じた(9月は推定値ベース)。同ファンドの9月の純資金流出額は過去最大の125億円の見込みであるほか、2カ月連続の純流出となるのは設定来で初めてのことである。また、当ファンド以外にも豪ドル債券を投資対象とするファンドは増加傾向にあり、2012年8月末までの過去1年間に10本の豪ドル債券ファンドが設定されている。多くの投資家が新設ファンドを選好する傾向が強いことも当ファンドの人気にマイナスに作用する可能性がある。そのため、今後の投資環境にもよるが、当ファンドはしばらく人気低迷を強いられる可能性が高いだろう。

 ただし、投資においては、分配金動向や人気ではなく、運用成績を判断材料とすることが重要である。当ファンドは短期債を主要投資対象とするため、中長期債を投資対象とする豪ドル債券ファンド(以下、カテゴリー「国際債券・オセアニア(F)」に属するファンド)に対して、金利の低下局面(債券価格が上昇)では劣後し、金利の上昇局面(債券価格が下落)では優位となる傾向にある。実際、金利低下局面である2011年、2012年(8月末まで)は豪ドル債券ファンドの平均に劣後しているものの、金利上昇局面の2007年や金利上昇に転じた2009年は優位となっている。分配金動向よりも、同種のファンドとのポートフォリオの特徴の違いや相対的な運用成績の良し悪しを売買の判断材料としたほうが、より良い運用成績に繋がる可能性が高いだろう。

図2:短期豪ドル債オープン(毎月分配型)と豪ドル債券ファンドのトータルリターンの比較

図2:短期豪ドル債オープン(毎月分配型)と豪ドル債券ファンドのトータルリターンの比較

出所:モーニングスター
豪ドル債券ファンドはモーニングスターインデックスを使用
2012年は8月末までの年初来リターン

(下村 優太)

「アナリストの視点」よく読まれている記事(過去1週間)

アナリストの視点はRSSでも配信しています

バックナンバー