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アナリストの視点(ファンド)

アベノミクス相場「第2幕」への備えは?「パッシブVSアクティブ」

2013-06-18

「第1幕」から「第2幕」への踊り場か?

 日経平均株価(終値、以下、同じ)は5月22日には15,627円まで上昇していたものの、その後の米国の金融緩和縮小観測を契機として、それまで株価指数の上昇率が突出して高かった日本株に対して、株価指数先物に大量の売りが出た。11日に日銀が金融政策の現状維持を発表したことやアベノミクスの「第三の矢」が期待外れに終わったことなども、その後の下げに拍車をかける要因となった。6月13日の東京株式市場では、日経平均株価が843円安と、今年2番目の下げ幅を記録。5月22日から同日までの16営業日で3,000円以上下落し、アベノミクス相場の「第1幕」は終了したとの見方が支配的だ。17日には13,000円台を回復したものの、18〜19日には米連邦公開委員会(FOMC)が控えていることもあり、短期的には再び乱高下が続く可能性もある。

 一方で、今回の下落により、TOPIXの予想PERは13倍台にまで低下。S&P500種の同14倍台などの海外指数と比較しても割高感は解消された。国内のマクロ経済指標や企業業績も概ね好調な数値が示されており、こうした傾向がすぐに変化するとの見方は少なく、日本株のファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)は概ね良好だ。また、需給面では、国内では6月7日に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、国内株式の比率を11%から12%に引き上げることを発表。海外では、いまだに日本株をアンダーウェイトしている投資家も多いとされ、調整局面が新たな投資家による投資機会の参入を促す可能性もある。中長期的には今回の調整局面が国内外の乗り遅れた投資家に新たな投資機会、つまり、「第2幕」への参加の機会を提供しているとの見方もある。

大型株の10連勝はゼロ、勝率も五分五分

 仮に「第2幕」が訪れることを想定した場合、投資家はどのような日本株ファンドを選択すればよいのだろうか。2013年5月末時点における日本株ファンドの純資産額(ETF含む、DC、SMA等除く)は12兆円を回復したが、その中身をみると、2006年には6割程度を占めていたアクティブファンドの比率が4割程度までに低下する一方で、ETFの比率は3割程度から5割程度に上昇した。投資家層の拡大やインターネットの普及に伴い、投資家がコストの低さや流動性を重視するようになったことに加え、一般的に「アクティブファンドが必ずしもインデックスを上回る投資成果を収めていない」ということが投資家に認知されてきたこともあるだろう。

 そこで、「アクティブファンドが必ずしもインデックスを上回る投資成果を収めていない」というのは、本当に日本株ファンドにもあてはまるのか確認してみたい。一定の条件(※)に基づいて、大型株ファンドについてみてみると、2013年までの過去10年間のうち、2013年はほぼ全てのファンドがベンチマークを上回ったものの、その他の年では2005年と2009年を除く7年間で、ベンチマークを下回ったファンドが5割を超えた(図1参照)。また、個別ファンドでみると、10年以上の運用実績を有するファンドの中では10年連続でベンチマークを上回ったファンドは1本もなく、6勝4敗以上の成績となったのは約5割だった。ただ、「三菱UFJ グローバルイノベーション」など6本が10年中8年でベンチマークを上回っており、アクティブファンドとしての優位性を発揮した。

※ アクティブファンドの勝率の計算の前提条件
(1) 国内公募追加型株式投信(DC、SMA、ETF等除く)
(2) 2013年5月末時点の純資産額が10億円以上で通貨選択型除く
(3) 2013年5月末時点のモーニングスター類似ファンド分類に基づいて、大型株と中小型株に分類(TOPIX連動型、225連動型除く)
(4) 実際にファンドごとに設定されているベンチマークの有無に関わらず、大型株はTOPIX(配当込み)、中小型株はラッセル野村中小型株指数(配当込み)をベンチマークと想定して計算
(5) 2013年は5月末までの5ヵ月間

(図1)アクティブファンドの勝率(大型株)

(図1)アクティブファンドの勝率(大型株)

出所:モーニングスター作成

概ねセオリーどおりだが、アクティブファンドの利用法は?

 次に、中小型株ファンドについてみてみると、2013年までの過去10年間のうち、2006〜2008年、2010年を除く6年間でベンチマークを上回ったファンドが5割を超えた。また、個別ファンドでみると、「JPM ザ・ジャパン」など2本が9勝1敗、「低位株オープン」などの4本が8勝2敗となった。ただし、10年連続でベンチマークを上回ったファンドが1本もなかった点は大型株ファンドと同一で、6勝4敗以上の成績となったのは4割にとどまる。

(図2)アクティブファンドの勝率(中小型株)

(図2)アクティブファンドの勝率(中小型株)

出所:モーニングスター作成

 これらの点に加えて、運用成績が優れないファンドが償還等で淘汰されている「サバイバルバイアス」がかっている点を考慮する必要があり、「アクティブファンドが必ずしもインデックスを上回る投資成果を収めていない」という点は、特徴的な運用が行いにくい大型株ファンドに対しては概ね当てはまる。一方、中小型株ファンドもそうした傾向に概ね変わりはないものの、中には特徴的な運用でベンチマークを大きく上回る優れた運用成績を収めているファンドもあり、平均や勝率では評価仕切れない部分もある。実際に10年前に日本株に100万円を投資した場合、2013年5月末時点ではパッシブファンドの大型株は約170万円、中小型株は190万円となっているものの、中小型株で最も優れたファンドは約690万円に達する。

 近年は、ETFなどのパッシブファンドを下落時に購入、その後、大きく上昇したら売却する投資家も増えているが、むしろ、そうした期間を限定して投資を行う投資家や「第2幕」想定する投資家の方が株式市場の上昇局面で優位となりやすいアクティブファンドの恩恵を享受しやすい。また、長期運用を前提とする投資家、コストを重視する投資家であっても、優れた中小型ファンドを補完的に利用することで、自己のポートフォリオの日本株運用全般の運用成績の底上げに期待する、といった方法も検討に値するだろう。アクティブファンドはコストが高い、勝ち続けるのは難しいと敬遠するのではなく、それぞれの投資スタイルにあった活用方法を検討してみるとよいだろう。

(吉田 誠)

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