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アナリストの視点(ファンド)

参院選でどうなる為替相場?―自民圧勝、円安急加速の実現性

2013-07-18

 今週末21日の参議院選挙を目前に控え、市場でも選挙結果に注目が集まっている。アベノミクス相場では長期円高トレンドから見事に脱却したが、参院選をきっかけに円安加速となるか。前回の参院選や衆院選を受けたマーケットの動きを振り返り、選挙後の相場を展望する。

円安が加速した衆院選の再現か

 2010年7月に実施された前回の参院選では、当時の与党であった民主党が大敗して連立与党で過半数割れとなり、衆参で多数派が異なる「ねじれ国会」となった。選挙結果は概ね予想通りだったため為替相場での反応は限られたが、今回は3年前と以下の3つの点で状況が大きく異なっており、円売りが一段と強まるシナリオを想定しておく必要がある。

(1) 選挙の争点が前回は消費税だったためマーケットでは材料視しにくかったが、今回は雇用などの経済政策が最大の争点となっており、選挙でアベノミクスへの信任が得られれば円が売られやすい。
 
(2) 当時は欧州債務問題で投資家がリスク回避に傾きやすかったが、足元ではNYダウが最高値を更新するなどリスク選好が強まりやすく、自民党圧勝を好感して株高が進めば、リスクを取る動きから外貨買い・円売りが進みやすい。
 
(3) 2011年3月の東日本大震災を受けた原発停止で天然ガスへの輸入依存度が高まり、貿易赤字が定着。需給面で構造的に円売り圧力が強まりやすく、選挙結果が失望を招いても円高基調に戻ることは考えにくい。

 これらの点を考慮すると、前回の参院選はあまり参考にならず、むしろ2012年12月の衆院選の再現となる可能性が意識される。衆院選では事前の予想で自民党の優勢が予想され、「バイ・ザ・ルーマー、セル・ザ・ファクト(噂で買って、事実で売る)」という相場格言通り選挙後は利益確定で円売りポジションの手仕舞いが進むとの見方も多かった。しかし、実際には自民党と公明党で3分の2議席を占める予想以上の圧勝となったことで円売りが加速。選挙前に順張りスタンスで円を売った投資家が利益を得ることができた(図1参照)。

図1:2012年末にかけての円の対ドルレート推移

図1:2012年末にかけての円の対ドルレート推移

出所:モーニングスター作成

 今週末21日の参院選の終盤情勢については、17日時点の各社報道によると連立与党は非改選議席を含めて過半数の議席を獲得し、「ねじれ」が解消するのは確実な見通し。参院の改選121議席中、自民党は60台と同党の改選議席34から倍増が見込まれている。実際の結果が事前報道を下回れば円の買い戻し要因となるが、結果が予想に沿った内容となれば、選挙結果を見極めようと円売りを手控えていた投資家が円売りを再開する可能性がある。また、現状では難しいとされているが、仮に自民党だけで単独過半数となれば、円が大きく下落する展開も想定される。

投機筋の円売りポジションに拡大余地

 投機筋のポジション動向を見ても、円売り余力はまだあるとみられる。為替市場で投機筋が各通貨に対してどの程度の買い余力または売り余力があるかを示す指標として注目されるシカゴIMM(国際通貨市場)の通貨先物における投機筋のポジション動向(7月9日時点)では、円の売り越し幅は8万305枚と昨年12月の衆院選実施前(9万4,401枚)や今年5月の直近ピーク(9万9,769枚)ほど拡大しておらず、さらには、リーマン・ショック前のピークである18万8,077枚(2007年6月26日時点)の売り越し幅に比べると十分拡大余地がある(図2参照)。

図2:シカゴ通貨先物の投機筋円買いポジション

図2:シカゴ通貨先物の投機筋円買いポジション

出所:IMMのデータを基にモーニングスター作成

 5月下旬以降の日経平均の急落などでリスク回避的な動きとなって6月には円がいったん買い戻されたが、こうした調整を経たおかげで投機筋の円売り余力が回復しており、参院選などのイベントを材料に円安が再び加速しやすい地合いとなっている。5月22日に付けた対ドルでの円の年初来安値1ドル=103円73銭を目指す展開が意識されやすい。

為替ヘッジありファンドの人気衰える、6月に13年3カ月ぶりの高い純流出額

 国内投信の純資金流出入動向を見ても、円安基調を見込む投資家が多いことは明らかだ。為替リスクを回避するための為替ヘッジありファンドの資金流出入を見ることでその傾向が分かる。モーニングスターのカテゴリー分類で、為替ヘッジありのファンドの純資金流入を合計したところ、2013年6月は307億円の純流出となり、2000年3月(521億円の純流出)以来13年3カ月ぶりの高い純流出額を記録した(図3参照)。昨年11月までの長期円高トレンドで資金を集め続けた為替ヘッジありのファンドだが、人気は急速に衰えている。

図3:為替ヘッジありファンドの純資金流出入推移

図3:為替ヘッジありファンドの純資金流出入推移

出所:モーニングスター作成

 一方、為替ヘッジなしのファンドの6月純流入額は227億円と5月の2,453億円の純流入から減少したものの、資金流入は継続している。円の先安観が強い上に、良好な米6月雇用統計などを背景に米量的金融緩和の縮小期待が根強いこともあり、特にドル建て資産に投資するファンドには資金が集まりやすい。海外投資をする上では国内外両方の観点で追い風が吹いており、まずは参院選をきっかけに円安・ドル高が加速するか、注目される。

(坂本 浩明)

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