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アナリストの視点(ファンド)

国内REITファンドの注意点〜リスクの高さ認識と、運用成績の相対的な比較を〜

2013-11-19

1兆9,000億円近い純資産額となった国内REITファンド

 日本のファンドの2013年10月末までの年初来リターンをみると、国内株式ファンドの大幅上昇が目立つ中、国内REITファンド※のトータルリターンの平均も39.04%の上昇(モーニングスターインデックスを使用)と良好な運用成績を保っている。同月末の純資産額も合計で1兆8,945億円(除くDC、SMA、ETFなど)と、3年前(2010年10月末)の4,399億円から約4.3倍まで拡大した。特に、2012年以降での純資金流入拡大が目立つなど、投資家の関心を集める資産クラスとなってきている。
※モーニングスターカテゴリー「国内REIT」に属するファンド(除く、DC、SMA、ETFなど)

図1:過去3年間の東証REIT指数(配当込み)、国内REITファンドの純資産額の推移(月次)

図1:過去3年間の東証REIT指数(配当込み)、国内REITファンドの純資産額の推移(月次)

※ 期間:2010年10月末から2013年10月末まで
※ 国内REITファンド:モーニングスターカテゴリー「国内REIT」に属するファンド(除く、DC、SMA)
※ 出所:モーニングスターが作成

国内REITファンドはリターンも高いが、リスクも高くなっている点に注意

 まずは、国内REITファンドのリスク(標準偏差)とリターンの関係をみてみよう。図2は、2013年10月末までの過去3年間の主なファンドの資産クラス別(モーニングスター大分類別)のファンドのリスクとトータルリターン(年率)の平均を表している(トータルリターンが縦軸、リスクが横軸)。国内REITファンドは、直近の上昇が影響したため、最もリターンの高い資産クラスとなっているが、相応にリスクの高い資産クラスにもなっている。この傾向はより短期でみると顕著になる。

図2:過去3年間の国内REITファンドのリスク・リターンと他の資産クラスとの比較

図2:過去3年間の国内REITファンドのリスク・リターンと他の資産クラスとの比較

※ 2013年10月末時点での過去3年間のトータルリターン(年率)、リスク(標準偏差)のモーニングスター大分類(除く、DC、SMA)別の単純平均を使用
※ 国内REITファンド:モーニングスター大分類「国内REIT」に属するファンド(除く、DC、SMA)
※ 出所:モーニングスターが作成

 2013年10月末までの過去1年間での同様のリスク・リターンでは(図3)、国内REITファンドのリスクとリターンは更に上昇している。ただ、注意したいのは、過去1年間でみた場合には通貨選択型の国内REITファンドの影響となる。国内REITファンドは、アクティブに運用を行う国内REITファンド(以下、国内REIT一般、国内REITファンドの中から、インデックス型の国内REITファンド、通貨選択型の国内REITファンドを除外したもの)、インデックス型の国内REITファンド(モーニングスター類似ファンド分類「東証REIT指数連動型」に属するファンド、以下、国内REITインデックス)、そして通貨選択型の国内REITファンド(以下、国内REIT通貨選択型)に大まかに分類されるが、近年では国内REITファンドでも通貨選択型の本数、純資産額の増加が目立っている。図3は過去1年間の国内REITファンド3つのタイプ別のリスク・リターンの単純平均を示しているが、国内REIT一般や国内REITインデックスは比較的リスク・リターンが近いが、国内REIT通貨選択型はリスク・リターンが高くなっている。過去のデータを見ると、国内REITファンドはリターンも高いが相応にリスクも高くなってきている点に加え、国内REIT通貨選択型はリスク・リターンが更に高い点に十分に注意すべきだろう。

図3:タイプ別の国内REITファンドのリスク・リターン(2013年10月末までの過去1年間)

図3:タイプ別の国内REITファンドのリスク・リターン(2013年10月末までの過去1年間)

※ グラフ中の円のサイズは、それぞれの純資産額(過去1年間のリスク、リターンのあるファンドが対象)の相対的な大きさを表す。
※ 2013年10月末時点での過去1年間のトータルリターン(年率)、リスク(標準偏差)の単純平均を使用
※ 国内REITファンド:モーニングスターカテゴリー「国内REIT」に属するファンド(除く、DC、SMA)
※ 出所:モーニングスターが作成

一部にはインデックスファンドを上回る優秀なアクティブファンドも

 国内REITファンドの個別の運用成績をみると、2013年10月末までの過去5年間の東証REIT指数(配当込み)のトータルリターン(年率)は17.75%だが、国内REIT型の同期間のトータルリターン(同)の平均は16.52%とやや劣後している(モーニングスターインデックスを使用)。また、タイプ別でみると、アクティブファンドの平均である国内REIT一般の単純平均は一部のファンドが大きく劣後したため、東証REIT指数(配当込み)に負けている状況にある。このため、単純に国内REITファンドの運用成果を享受したいと考える投資家にとっては、よりコストの低いインデックスファンド、もしくはETF(上場投資信託)といった選択肢も十分に考えられる。一方、2008年以降の国内REIT相場を振り返ってみると、2008年の大幅下落後、2010年に大幅上昇し、2011年は再度下落するなど変動の大きな相場展開となった。ただ、国内REIT一般に属するファンドの2008年から2012年までの5年間の暦年のトータルリターンを東証REIT指数連動型の平均(モーニングスター類似ファンド分類「東証REIT指数連動型」に属するファンド、モーニングスターインデックスを使用)と比較すると、2013年10月末時点のモーニングスターレーティングが最高の5ツ星となる「J−REITオープン」が全ての年で同平均を上回るなど、相対的に優良な運用成績を挙げたアクティブ型のファンドも存在する。

 また、国内REITファンドの純資金流出入の状況をみると、2013年10月末までの過去1年間で7,681億円の純資金流入と、純資金流入の大きさが目立つ一方で、過去1年間で純資金流入が目立ったファンド、純資金流出が目立ったファンドと国内REITファンドのトータルリターンの平均と比較すると、純資金流出となったファンドは通貨選択型がほとんどだったことを考慮しても、純資金流入が目立ったファンドのトータルリターンは同平均を下回るファンドがほとんどだった。同期間の国内REIT一般の平均と比較しても、同様に劣後するファンドが多くなっている。一部の国内REITファンドでは純資金流入が大きく増加し、買付申込受付を一時停止するファンドも一時出るなど、大きな人気を集めたファンドも出ているが、こうした純資金流入の大幅増が運用に与える影響も懸念される。やはり、国内REITファンドに投資する際にも、相対的な運用成績のチェックと、リスク・リターンの確認、短期的な人気が運用成績に与える影響についても確認する必要があるだろう。

(渡邉 亮)

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