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アナリストの視点(ファンド)

毎月分配型から低分配型にシフト、「NISA」機に資産配分見直しを

2014-05-13

 NISA(少額投資非課税制度)がスタートしてから4カ月が経過した。国内公募追加型株式投資信託(DC、SMA、ETFなど除く)の純資産残高推移をみると、NISAスタート前の2013年12月末と比べて、2014年4月末では3,202億増の51兆2,216億円となっている。「貯蓄から投資」と言われて久しいが、NISAの開設口座数475万口座(制度開始時点)を考えるとNISAは投信業界にとって追い風となっているようだ。

NISAスタートで「毎月分配型」人気に陰り

 NISA開始から資金動向に変化があらわれている。国内投資家の根強い人気を誇っていた毎月分配型ファンドの売れ行きが鈍ってきたようだ。

 国内公募追加型株式投資信託(同)の純資金流出入額をみると、年初からは3カ月連続で毎月分配以外のファンドが毎月分配型ファンドを上回った(図表1)。純資金流出入額で毎月分配以外のファンドが毎月分配型ファンドを3カ月連続で上回るのは2011年10−12月以来2年以上ぶりだ。

図表1:毎月分配型および毎月分配以外のファンドの純資金流出入額

図表1:毎月分配型および毎月分配以外のファンドの純資金流出入額

※1 国内公募追加型株式投資信託(DC、SMA、ETFなど除く)
※2 2011年4月から2014年3月までの月次ベース
出所:モーニングスター作成

 毎月分配以外のファンドが人気化している背景としては、1月の株価急落局面で日本株に投資する低分配のインデックスファンドに逆張り狙いの資金が流入するなど市場環境の影響も考えられるが、最大の要因はやはりNISAだろう。分配金の再投資分も非課税枠を消費してしまうというNISAの制度上の問題によって、分配頻度の低いファンドに注目が集まった可能性が高い。

カテゴリー別では依然としてハイイールド債やREITが人気

 一方、モーニングスターカテゴリー別の資金動向では、2013年と比べてNISAスタート以降も上位の顔ぶれは変わっておらず、国内株式型のほか、ハイイールド債やREIT(不動産投資信託)といった高利回り商品に資金が集中しているようだ(図表2)。

 2014年3月までの過去3カ月間のモーニングスターカテゴリー別の純資金流入額上位をみると、1位が「国際債券・ハイイールド債(為替ヘッジなし)」の3,238億円と、2位の「国内大型ブレンド」を622億円上回っており、依然としてハイイールド債人気は健在だ。また、5位、7位にランクインしたREITについても、高利回りに注目が集まり、引き続き上位となった。

図表2:モーニングスターカテゴリー別 純資金流入額ランキング

順位 2014年1-3月 2013年1-12月
モーニングスター
カテゴリー名
純資金流入額
(億円)
モーニングスター
カテゴリー名
純資金流入額
(億円)
1位 国際債券・ハイイールド債(F) 3,238 国内大型ブレンド 12,197
2位 国内大型ブレンド 2,616 国際株式・グローバル・含む日本(F) 10,291
3位 国内大型グロース 2,312 国際債券・ハイイールド債(F) 8,838
4位 国際株式・北米(F) 2,248 国際株式・北米(F) 8,760
5位 国内REIT 1,559 国内REIT 8,427
6位 国際株式・グローバル・含む日本(F) 1,485 国際REIT・特定地域(F) 5,457
7位 国際REIT・特定地域(F) 1,270 国際債券・北米(F) 4,857
8位 国際債券・北米(F) 1,101 国際債券・グローバル・含む日本(H) 3,358
9位 国際株式・欧州(F) 890 国内小型グロース 2,899
10位 国際債券・オセアニア(F) 781 国際REIT・グローバル・含む日本(F) 1,745

※1 国内公募追加型株式投資信託(DC、SMA、ETFなど除く)
※2 (F)は為替ヘッジなし、(H)は為替ヘッジあり
出所:モーニングスター作成

 また、10位には「国際債券・オセアニア(為替ヘッジなし)」が新たにランクインした。同カテゴリーに属するオーストラリアはトリプルA格であることに加えて、金利水準も主要先進国の中でトップクラスであることが投資家からの支持を集めた要因と言えるだろう。

非伝統的資産の持ち過ぎ懸念も

 投資の世界に絶対はないものの、国内投資家はオルタナティブ資産(株式、債券といった伝統的な資産の代替資産)であるREITのほか、高利回りの代表選手であるハイイールド債を持ち過ぎている可能性が指摘できる。

 NISAのモデルとなった英国投資家の資産クラス別純資産残高の構成比率をみると、オルタナティブ資産は5.7%であるのに対し、日本では同資産の比率が16.8%と高めだ(図表3)。さらに、日本ではオルタナティブ資産の98.3%をREITが占めているほか、債券型の28.2%をハイイールド債が占めている。

図表3:資産クラス別構成比率

図表3:資産クラス別構成比率

※1 2014年3月末時点
※2 英国=英国籍オープン・エンド・ファンド(ファンド・オブ・ファンズ、マネープール、フィーダー(ベビー)ファンド除く)
※3 日本=国内公募追加型株式投資信託(DC、SMA、ETFなど除く)
出所:MS directよりモーニングスター作成

 REITやハイイールド債は比較的、株式と同様の値動きをするため、やみくもに分散投資してもリスク分散効果は得られない可能性があることに留意が必要だ。REITやハイイールド債と株式の関係性について理解し、ポートフォリオを構築している投資家にとっては問題ないが、この関係性を知らない投資家は知らず知らずのうちに、リスク性資産がポートフォリオの大半を占めていたなどということがないように注意してもらいたい。

 NISA口座と課税口座で生じた損益は損益通算が出来ない。そのため、長期保有を前提にNISA口座を使う投資家にとっては、非課税投資枠の上限額100万円に達しない早い段階でNISA口座内の資産配分を調整する必要があるだろう。 保有資産のリスク低減には相関係数の低いファンドを組み合わせる必要があり、「相性(組み合わせ)のよいファンドを選びましょう」を利用すれば、リスク分散に有効なファンドの組み合わせを探すことが可能である。

(江黒 博樹)

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