fund_beginer fund_search fund_look



アナリストの視点(ファンド)

ブームに惑わされない投資を、人気絶頂ファンドと流行下火ファンドの運用成績

2014-09-30

 ここ10年で国内公募追加型株式投信(確定拠出年金専用ファンド、ラップ口座専用ファンド、ETFなどを除く)の本数が右肩上がりに増加し、純資産総額もリーマンショック前である2007年のピーク時に迫っている(図表1)。

図表1:ファンドの本数と純資産総額の推移

図表1:ファンドの本数と純資産総額の推移

※1 期間は2004年末から2014年9月まで
※2 各年12月末時点の純資産総額と本数の推移(2014年は9月26日時点)
※3 確定拠出年金専用ファンド、ラップ口座専用ファンド、ETFなどを除く国内公募追加型株式投信が対象
出所:モーニングスター作成

 この間、人気を集めているファンドが大きく変化している。2004年末時点の純資産額上位5本のファンドの中で現在でも上位5本以内にランクインしているのはグローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)だけだ。また、その純資産額は2004年末時点の3.6兆円から現在は1兆円と3分の1程度まで減少し、人気が衰えている(図表2)。

図表2:純資産額上位5本

2014年9月26日時点

ファンド名 純資産額(億円)
野村 ドイチェ・高配当インフラ関連株投信(米ドルコース)毎月分配型 13,009
フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド 12,826
新光 US-REITオープン 12,735
グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型) 10,658
ラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型) 10,314

2004年末時点

ファンド名 純資産額(億円)
グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型) 36,270
ニッセイ/パトナム・インカムオープン 8,688
フィデリティ・日本成長株・ファンド 4,470
フランクリン・テンプルトン 米国政府証券ファンド 3,784
ノムラ 日本株戦略ファンド 3,632

※1 確定拠出年金専用ファンド、ラップ口座専用ファンド、ETFなどを除く国内公募追加型株式投信が対象
出所:モーニングスター作成

 かつて流行したファンドの現在のリターンはどうなっているのだろうか。2004年末の純資産額上位5本の累積リターン(月次ベース)を見ると、すべてのファンドが2014年8月末時点でプラスのリターンとなっている(図表3)。

図表3:2004年末時点で純資産額上位5本のリターンの推移

図表3:2004年末時点で純資産額上位5本のリターンの推移

※1 2014年12月末時点を100として指数化
※2 期間は2004年12月末から2014年8月末まで
※3 確定拠出年金専用ファンド、ラップ口座専用ファンド、ETFなどを除く国内公募追加型株式投信が対象
出所:モーニングスター作成

 このことは他の年でも見られる傾向で、2004年から2013年までの各年末時点の純資産額上位5本のファンドにおいては、各ファンドがランクインした時点から2014年8月末までの累積リターン(月次ベース)は50戦49勝とほとんどがプラスのリターンとなっている。マイナスのリターンとなった唯一の黒星は2007年に第2位であったピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)が▲13%の下落となったものの、この要因としては2008年のリーマンショックの影響が大きく、2009年以降は上昇傾向にあり回復してきている。アベノミクスによる円安効果もあり、純資産額上位5本のファンドはブームが去った後も堅調に推移し、結果的にはプラスのリターンとなっている。

 より短期的な期間ごとのリターンはどうだろうか。純資産額上位5本以内にランクインしてから3年間で見ると、累積リターンの平均値は1.47%とプラスになっているものの冴えない運用成績となっている。その中で、当初、上位5本以内に入ったが翌年末に6位以下の圏外に落ちたファンドのリターンの平均値は14.06%であり、人気絶頂期よりもブームが去ったファンドの方が3年間では良好なリターンをあげている(図表4)。

図表4:純資産額上位5本と、翌年末時点で6位以下に落ちたファンドの3年間の累積リターン比較

図表4:純資産額上位5本と、翌年末時点で6位以下に落ちたファンドの3年間の累積リターン比較

※1 2004年から2010年までの各年末時点の純資産額上位5本のファンドを「流行絶頂ファンド」、その中から翌年末時点で6位以下に落ちたファンドを「流行下火ファンド」とする。
※2 確定拠出年金専用ファンド、ラップ口座専用ファンド、ETFなどを除く国内公募追加型株式投信が対象
※3純資産額上位5本となった年末時点から3年間の累積リターンの単純平均
出所:モーニングスター作成

 マーケット動向を予測してファンドを売買するのは投資戦略のひとつであるものの、ブームを追いかけて売れ筋ファンドをただ買い付けていくだけでは有効な投資判断とは言えない。流行時に買い付けをしてもマーケットでは高値掴みとなることがあり、その後は短期的には軟調に推移する可能性がある。一方で、ブームが下火になったファンドを買い付けたほうが安値からの反発により良好なリターンが期待できると言えよう。また、流行時に買い付けて短期の運用成績が振るわなかったとしても、次の流行ファンドに乗り換えるのではなく、長期的な視点で腰を据えた運用を行ってもよいのではないだろうか。

(平賀 優一)

「アナリストの視点」よく読まれている記事(過去1週間)

アナリストの視点はRSSでも配信しています

バックナンバー