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アナリストの視点(ファンド)

トップ10からアクティブファンドが消える日…

2015-01-20

2014年の年間流入超過額はアクティブがパッシブの9分の1

 米国の純資産額ランキングのトップ10からアクティブファンドが消える…もしかしたらそんな光景を今後数年内にみることがあるかもしれない。2014年12月末時点における米国籍オープンエンドファンド(ETF含む、MMF、ファンドオブファンズによる重複は除く)の純資産額ランキングをみると、パッシブファンドが第1位から第4位を独占し、トップ10のうち6本を占めた(図1参照)。上位10本は2013年も全てランクインしており、顔ぶれ自体に変化はないものの、アクティブファンドは前年と同様に6位をキープした1本以外は軒並み順位を下げている。

図表1:米国籍オープンエンドファンドの純資産額ランキング(2014年12月末時点)

順位 ファンド名 純資産額 投資スタイル
2014年 2013年 (億ドル)
1 1 バンガード・トータル・ストック・マーケット・インデックス・ファンド 3,830 パッシブ
2 3 SPDR S&P 500 ETF 2,159 パッシブ
3 5 バンガード・ファイブ・ハンドレッド・インデックス・ファンド 1,987 パッシブ
4 4 バンガード・インスティテューショナル・インデックス・ファンド 1,877 パッシブ
5 2 PIMCO トータルリターンファンド 1,433 アクティブ
6 6 アメリカンファンズ・グロース・ファンド・オブ・アメリカ 1,426 アクティブ
7 10 バンガード・トータル・ボンド・マーケット・インデックス・ファンド 1,366 パッシブ
8 8 バンガード・トータル・インスティテューショナル・ストック・インデックス・ファンド 1,344 パッシブ
9 7 アメリカンファンズ・ユーロパシフィック・グロース・ファンド 1,208 アクティブ
10 9 フィデリティ・コントラファンド 1,098 アクティブ

※ 純資産額の億ドル以下は切り捨て
出所:モーニングスター作成

 全体の資金流出入傾向をみても、投資家のパッシブ志向の強まりがうかがえる。2014年の米国籍全体の純資金流出入額(推計値)は4,644億ドル(約56兆円)の流入超過と、集計可能な1993年以降では22年連続の流入超過となり、過去最高だった2009年の5,023億ドルに次ぐ規模となった。ただし、その内訳をみると、パッシブファンドが4,201億ドルの流入超過と、過去最高だった2013年の3,224億ドルを大きく上回る一方で、アクティブファンドは443億ドルの流入超過と、パッシブファンドの約9分の1にとどまった(図表2参照)。

図表2:米国籍ファンドの純資金流出入額の推移

図表2:米国籍ファンドの純資金流出入額の推移

出所:モーニングスター作成

人気ファンドの低迷がパッシブ人気に拍車

 こうした背景には、パッシブのコストの低下傾向など様々な要因が考えられるが、一部の人気を集めたアクティブファンドの低迷も引き金となった。例えば、年末の純資産額ランキングで、2012年まで5年連続でトップを維持していたのがPIMCO(ピムコ)の「トータルリターンファンド」。同ファンドは様々な種類の債券を対象にアグレッシブに運用を行うファンドで、2008年の金融危機時にもカテゴリー平均がマイナスとなる中、5%程度のプラスのリターンを確保するなど、好調な運用成績で人気を集めていた。

 ただし、2011年にベンチマーク、カテゴリー平均をいずれも下回ると、集計可能な1993年以降で初めて年間で流出超過となり、2012年はやや持ち直したものの、2013年に相対パフォーマンスが劣後すると再び資金流出が加速。2014年には、有望な後継者と目されていたメンバーの退任、カリスマファンドマネジャーの他社への電撃移籍といった「ごたごた」や、それらに伴うパフォーマンスの悪化が懸念されたことから、年間での流出超過額は1,029億ドル(約12兆円)と、前年末時点の純資産額の4割強に相当する資金が流出した。また、同ファンドの前に、2007年まで3年連続でトップを維持していた米国成長株に選別投資を行うアメリカンファンズ(キャピタル)の「アメリカンファンズ・グロース・ファンド・オブ・アメリカ」も、パフォーマンスの悪化などを契機として近年は大幅な資金流出に見舞われている(図表3参照)。人気を集めたアクティブファンドから流出した資金は他のアクティブファンドではなく、パッシブファンドへと流れる傾向が強まっている。

図表3:年間の純資金流出入額の推移

図表3:年間の純資金流出入額の推移

出所:モーニングスター作成

年内にパッシブがトップ5を独占か

 米国モーニングスターの集計によると、米国における過去1年間のオープンエンドファンドの販売額(2014年7月末時点)はETF、ETF以外のパッシブファンド、アクティブファンドがそれぞれ3分の1ずつを占めており、パッシブファンドに偏った資金流入がどこまで続くのかについては見方が分かれている。ただし、カテゴリー別のパッシブファンドのシェアでみると、米国株は4割程度まで高まってきているのに対し、債券はいまだ2割程度にとどまる。「トータルリターンファンド」の人気落ちを契機として、今後は債券でもパッシブファンドに資金が流れるかもしれない。実際、同ファンドと同一のカテゴリーに属するパッシブファンド2本が同ファンドから流出した資金の一部の受け皿となる傾向があり、両ファンドはすでに2014年12月末時点の純資産額ランキングでは全体でも第7位と第14位に位置していることから、年内にもパッシブファンドがトップ5を独占し、トップ10のうち7本を占める可能性が出てきた。

(吉田 誠)

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