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アナリストの視点(ファンド)

1年で4倍に急増したファンドラップ専用投信、一般型とは資産配分に大きな差異

2015-02-03

 最近、注目を浴びている資産運用サービスに「ファンドラップ」がある。「ファンドラップ」とは、金融機関と投資家の間で投資一任契約を結んだあと、投資家のリスクに対する考え方や投資目的などを確認し、金融機関の専門家が投資家の希望に沿った複数の投信を選び、組み合わせて運用をするサービスを指す。加えて、金融機関は定期的に運用報告書を提供し、資産配分の見直しによるポートフォリオの組み替えも行う。

2014年の「ファンドラップ」には前年比4倍強の資金が流入

 そのラップ口座は、2014年に件数、残高ともに飛躍的に増加している。日本投資顧問業協会の調べによると、ラップ口座の利用件数は2014年1月〜9月の間で418,794件増加。2013年12月末時点との比較では330,606件(78.94%)の増加をしており、年間では倍増する勢いである。

 モーニングスターの調べでは、ファンドラップ専用投信の資金流入額は、月間では2014年12月が過去最高となる2,607億円の流入超過となった。年間でも、2014年は1兆4,855億円の流入超過となり、2013年の4倍強となった(図表1参照)。

図表1:ファンドラップ専用投信の年間純資金流入額の推移

図表1:ファンドラップ専用投信の年間純資金流入額の推移

出所:モーニングスター作成

 この理由の一つとして、販売する側の金融機関が従来の乗り換えを重視した販売姿勢を改め、投資家からの預かり資産を重視する方針に転換をしていることがあげられるだろう。購入する立場の投資家からすると、金融機関の専門家から投資家の投資方針に合ったポートフォリオを提案してもらえることや運用を任せられる安心感がある。今まで興味は持っていても投資に対して保守的だった層も「ファンドラップ」に新たな魅力を感じているかもしれない。

ファンドラップ専用投信では4資産プラスヘッジファンドに9割

 ファンドラップ専用投信と誰でも購入可能な一般的な投信を比較してみると、投資対象にかなり大きな違いがある。2014年12月末時点におけるカテゴリー別純資産額をみてみると、前者では先進国債券と国内債券の合計で全体の半分を占め、これに先進国株式と国内株式を加えると約8割に達し、ヘッジファンドも約1割を占めている(図表2参照)。一方、一般的な投信では、国内債券やヘッジファンドはほとんど投資対象となっておらず、ファンドラップ専用投信ではほとんど投資が行われていないREIT(不動産投資信託)、ハイイールド債券、新興国債券にかなりの比率で投資が行われている。

 投信全体でみれば、ラップ口座を経由しようがしまいが、本来は適切な資産の選択や資産配分に大きな差がないはずであるが、両者の間では明らかな差がある。今後、ラップ口座がさらに普及するにつれて、両者の差異がどのように変化していくのか、注目される。

図表2:ファンドラップ専用投信と追加型株式投信のカテゴリー別純資産額

図表2:ファンドラップ専用投信と追加型株式投信のカテゴリー別純資産額

※ 2014年12月末時点
※ 国内公募追加型株式投信(確定拠出年金向け、ファンドラップ向け、ETF等は除く)
出所:モーニングスター作成

図表2:ファンドラップ専用投信と追加型株式投信のカテゴリー別純資産額

※ 2014年12月末時点
出所:モーニングスター作成

ラップ先進国の米国の教えとは?

 米国は、ラップ口座は30年以上の歴史を有し、残高は2兆ドル(約240兆円)を超えている。ただし、その米国でも、ラップ口座は全ての人にとってベストな商品ではない、としている。米国モーニングスターのアナリストによれば、(1)一口でラップ口座といってもその種類は様々であり、事前によくその仕組みを理解すること、(2)ラップ口座にかかるコストは概ね1〜3%程度だが、取扱会社によって様々で(例えば投信の残高が増えてもコストが下がらない場合もある等)、場合によってはコストが割高となる可能性があること、(3)自分自身でポートフォリオを構築できる投資家であれば必ずしも必要ではないこと、(4)ラップ口座はその中でコスト負担無しに投信の乗り換えができるのがメリットの一つだが、乗り換えをほとんどしない投資家にとっては過剰サービスであること、などを注意点として挙げており、長期のバイ&ホールドであればあえて利用する必要はないとしている。

(平井 綾香)

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