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アナリストの視点(ファンド)

見え始めた「2万円」――日本株、追い風強まる

2015-02-19

 株価への追い風が強まっている。2月16日、日経平均株価は終値で1万8,004円と07年7月24日以来の1万8,000円台を回復。19日には取引時間中に1万8,300円台まで上昇した。取引時間中の1万8,300円台は安倍第1次政権下の同年2月26日以来、8年ぶりの高水準だ。いったい、どこまで株価は走りつづけるのか――。

 アベノミクス相場がスタートしたのは12年11月15日後場。当日の終値(8,829円)から、2年3カ月で日経平均は2倍強の水準に駆け上がった(図表1)。

図表1:日経平均(月足)

日経平均(月足)

出所:モーニングスター作成

 日銀の大胆な金融緩和(量的・質的緩和)を中心とする、いわゆる「三本の矢」で構成されるアベノミクスは、株式市況低迷で明け暮れた民主党政権当時とは様変わりとなる日本株の逆転・大勝利をもたらした。

 もっとも、このアベノミクス相場を長期波動から俯瞰(ふかん)すると、二つの大きなヤマに分かれる。12年11月中旬〜13年12月末の1万6,291円までが反騰第1波。その後、14年4月の1万3,910円まで調整をいれたが、10月末の追加緩和をバネに反騰第2波を形成し、現在に至っている。

ドイツ株や米国株との比較

 ここへきて「相場は、相場に聞け」をモットーとするテクニカルアナリストの間からは、昨年12月以来の保ち合いゾーンを完全に上抜けると中期的には「保ち合い値幅の倍返しで1万9,500円が計測値」との見方が浮上している。もっと長い目でとらえると、ざっと7,400円に及んだ反騰第1波の上げ幅を昨年4月安値に上乗せした、株式市場で古くから言われる「同幅上昇」の観点から2万1,000円台を観測する向きもある。同幅上昇論は、昭和を代表する独創的な相場研究家とされる一目山人(本名、細田吾一氏、1898〜1982)が唱えた目標値計算法の一つ、「N値計算値」と同じだ。いずれにせよ、「2万円は見えてきた」ということになる。

 こう書くと、「ちょっと浮かれ過ぎ。日本株はバブル局面入りか」と警戒する声も上がりそうだ。むろん、先高ムードがいくら強いとはいえ、ひと筋縄ではいかないのが株式相場。皮肉に立ち回るのは、相場の得意技である。

 しかし、別表2を見てほしい。07年1月、つまり内外の株式マーケットでサブプライムローン問題が話題になりはじめた時点を起点に、TOPIX(東証株価指数)と、米国株(S&P500種指数)、ドイツ株(DAX指数)を対象にした指数化チャートだが、これを見ると、上昇したとはいえ、日本株はドイツ株や米国株に比べ依然としてかなり出遅れている。相場的成熟度という観点からとらえると、日本株はまだ若い、との見方も可能だ。

図表2:日・独・米の株価指数(07年1月を100として指数化)

図表2:日・独・米の株価指数(07年1月を100として指数化)

出所:モーニングスター作成

景気・企業収益が支援材料に

 一方、2月に入ってから、景気・企業収益の堅調な足取りが株価の支援材料になりはじめた。

 内閣府が16日に発表した2014年10〜12月期実質GDP(国内総生産)成長率(1次速報値、季節調整済み)は、前期比0.6%増(年率2.2%増)を記録。昨年4〜6月が前期比マイナス1.7%、7〜9月は同マイナス0.6%だったため、3四半期ぶりにプラスに転じた。

 10〜12月の個人消費(=民間最終消費支出)は0.3%増と、7〜9月期と同じ伸び率だったが、4〜6月期のマイナス5.1%をボトムに、その後、2四半期連続でプラスを記録したことで、この面での最悪期脱出ムードが広がっている。また、「景気のエンジン」として注目される民間企業設備投資は10〜12月は前期比プラス0.1%増と3・四半期ぶりにプラス転換した。

 原油安に伴う交易条件の改善によって、5月20日に発表予定の今年1〜3月のGDP第1次速報値では、さらに成長率が高まる可能性がある。消費動向とともに、景気の行方を読み解くうえで重要なカギとなる民間設備投資は、その先行指標である機械受注(船舶・電力を除くベース)は11月の前月比プラス1.3%から、12月は同8.3%と伸び率は高まった。このうち、製造業は同24.1%に達し、今後の設備投資増につながる有力なシグナルとして注目される。

 また、発表がほぼ終わった上場企業の今3月期第3・四半期累計(昨年4〜12月)決算は堅調な伸びを達成。SMBC日興証券の調べによれば、資源関連セクターと金融を除くベースでは上場企業の打ち出した通期の営業利益予想は前期比8.5%増としている。第4・四半期(1〜3月)の見通しについては為替の前提が1ドル=110〜115円程度と保守的に見積もっている企業が多い。通期予想は超過達成含み、と見ていいだろう。

解消された株価の割高感

 さて、TOPIXベースの予想PER(株価収益率)は2月18日現在、17.3倍。ドイツ株の16.1倍よりやや高めだが、米国の18.2倍を下回っている。PBR(株価純資産倍率)で見ると、日本株は1.4倍と、米国の2.1倍、ドイツの1.7倍を下回り、「正味の資産価値」ベースでは日本株は割安。2.5倍に達していた06年4月当時のような日本株の割高感は解消されている(図表3)。

図表3:東証1部上場銘柄のPBR(05年1月〜、週末値)

図表2:東証1部上場銘柄のPBR(05年1月〜、週末値)

出所:モーニングスター作成

 オーソドックスな投資尺度から見たこうした株価水準と、良好なファンダメンタルズ、それにGPIF(年金積立金管理運用行政法人)や共済年金などの下支え勢力の動きを踏まえると、海外情勢で波乱に陥る場面があっても一時的な下振れにとどまり、上昇トレンドはキープされる可能性が高い。景気敏感セクターを中心に夏場にかけ、日本株の活躍範囲は広がりそうだ。

(赤間 憲明)

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