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アナリストの視点(ファンド)

NISAで下火予想も、投資家が下した決断は「毎月分配」

2015-02-24

 NISA(少額投資非課税制度)を機に、毎月分配型ファンドよりも年1回決算型ファンドのように、分配頻度の少ないファンドが資金を集めるだろう。NISA開始前、投信業界ではそんな予想が大方であった。実際、運用会社は分配頻度の少ないファンドを相次ぎ設定していった。暦年の決算頻度別設定本数の推移をみると、毎月分配型以外のファンドは2011年、2012年では150本未満であったものの、2013年、2014年はいずれも300本以上が設定された(図表1参照)。特に、年1回決算型ファンドは2013年に318本が設定され、データが確認できる1961年以降で最大の設定本数を記録している。

図表1:決算頻度別設定本数の推移(2006年〜2015年、暦年)

図表1:決算頻度別設定本数の推移(2006年〜2015年、暦年)

※1 2015年は1月末まで
※2 国内公募追加型株式投信(確定拠出年金専用、ラップ口座専用、ETFなど除く)が対象
※3 毎月分配型以外=年1回、2回、4回、6回決算型ファンドの合算値
出所:モーニングスター作成

 そもそも、NISAを機に毎月分配型が下火になると考えられていた理由として、(1)受け取った分配金を再投資した場合にNISA非課税枠を消費してしまう、(2)元本を取り崩して支払われる元本払戻金(特別分配金)では元々税金が掛からず、NISAの非課税メリットを享受することができない、などといった理由が挙げられる。

 しかし、2014年の純資金流出入額をみると、毎月分配型は11月こそ流出超過となったものの、11カ月間で流入超過だった(図表2参照)。一方、毎月分配型以外のファンドでは、1月から4月まで毎月分配型よりも資金を集めたものの、それ以降は低迷。そして、2015年に入ってからも、毎月分配型に資金が集まっている。結局、NISAがスタートしても、投資家はファンドへの投資において分配金を重視する傾向が強いようだ。

図表2:純資金流出入額の推移(2014年1月〜2015年1月、月次)

図表2:純資金流出入額の推移(2014年1月〜2015年1月、月次)

※1 国内公募追加型株式投信(確定拠出年金専用、ラップ口座専用、ETFなど除く)が対象
※2 毎月分配型以外=年1回、2回、4回、6回決算型ファンドの合算値
出所:モーニングスター作成

若年層にも広がる毎月分配、仕組みを理解した上で投資を

 分配金と言えば、退職者層が年金の足しにもらうというイメージが強いが、実は、資産形成層である若い投資家にも広がっている。モーニングスタークラブのポートフォリオ登録年代別ランキングをみると、決算頻度の少ないファンドがシリーズとしてあるものの、20代でも上位20ファンドのうち、半数以上が毎月分配型となっている(図表3参照)。

図表3:ポートフォリオ登録年代別ランキング(2015年1月末時点)

図表3:ポートフォリオ登録年代別ランキング(2015年1月末時点)

※1 一部抜粋
出所:モーニングスター作成

 ファンドの分配金について仕組みを理解し投資を行っている分には問題ないが、仕組みを理解せずに毎月分配型に投資している場合は注意が必要だ。債券では定期的に利息を受け取り、満期まで保有すれば額面が戻ってくるが、ファンドの場合、分配金は純資産額から支払われることになるので基準価額の下落要因となる。プロの運用次第では、ファンドを売却する際に、購入した基準価額よりも下回っていることもあり、債券に直接投資した場合とファンドを経由して投資した場合の違いを理解しておく必要があるだろう。

 長期投資が可能な資産形成層は、分配金を毎月受け取るといった投資行動ではなく、決算頻度の少ない(もしくは無分配の)ファンドに投資すべきだろう。なぜなら、ファンド内で再投資をする方が税負担を抑えられ、その分、複利効果を活かせるからだ。

(江黒 博樹)

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