fund_beginer fund_search fund_look



アナリストの視点(ファンド)

大きなぶれに耐えられれば新興国株式は10年保有で全勝

2015-03-05

過去2番目に並ぶ8ヵ月連続の資金流入超過

 新興国株式ファンドに緩やかながらも資金が回帰しつつある。モーニングスターカテゴリー「国際株式・エマージング・複数国(為替ヘッジなし)」(以下、同カテゴリー)に属するファンドの月次純資金流出入額の推移をみると、2014年7月から2015年1月までは7ヵ月連続の資金流入超過となった(図表1参照)。2000年以降で、同カテゴリーが7ヵ月以上連続で資金流入超過となったのは、2006年4月までの10ヵ月連続(期間1)、2012年7月までの8ヵ月連続(期間2)の2度しかない。モーニングスターの推計では、2月も資金流入超過となっており、8ヵ月連続(期間2)に並ぶのはほぼ確実となった。

図表1:新興国株式ファンドの純資金流出入額の推移

図表1:新興国株式ファンドの純資金流出入額の推移

※ 期間(2014年2月〜2015年1月)
※ 国内追加型株式投信(確定拠出年金向け、ファンドラップ向け、ETF等除く)
※ 新興国株式ファンド=モーニングスターカテゴリー「国際株式・エマージング・複数国(為替ヘッジなし)」に属するファンド
出所:モーニングスター作成

 一方、カテゴリー別の純資産額シェアでみると、2015年1月末時点では同カテゴリーは2.74%にとどまっており、人気の高い「国際債券・ハイイールド債(為替ヘッジなし)」の9.76%、「国際REIT・特定地域(同)」の8.68%を大きく下回る。過去の推移をみても、金融危機の前には4%台後半にまで上昇したことがあったものの、その後は概ね2〜3%台での推移が続いており、日本の投資家の中では新興国株式ファンドの人気は停滞している。

10年リターンでは6位までを新興国株式が独占

 では、新興国株式ファンドはあまり投資魅力がないのだろうか。実際のリスク・リターンをみてみた。2015年1月末時点のカテゴリー別10年リターンランキングでは、第1位が「国際株式・中国(為替ヘッジなし)」の12.05%、第2位が「国際株式・インド(同)」の12.03%で、第6位の「国際株式・エマージング・複数国(同)」の9.00%までを新興国株式関連が独占した(図表2参照)。第8位にランクインした「国際REIT・特定地域(同)」の7.75%だけでなく、第13位の「国際債券・ハイイールド債(同)」の6.52%など投資家の人気の高いカテゴリーを大きく上回っている。一方で、基準価額のぶれ幅(標準偏差)でみると、リターンランキングの上位6本のうち、第4位の「国際株式・エマージング・単一国(為替ヘッジあり)」以外は、新興国株式関連はいずれもワースト10内にランクインしており、全般的にハイリスク・ハイリターンの傾向がある。

図表2:カテゴリー別リターン・リスク(過去10年)

  10年トータル
リターン(年率)
順位
(ベスト)
10年標準偏差
(年率)
順位
(ワースト)
国際株式・中国(為替ヘッジなし) 12.05% 1 26.58% 5
国際株式・インド(為替ヘッジなし) 12.03% 2 32.05% 2
国際株式・エマージング・単一国(為替ヘッジなし) 11.61% 3 26.81% 4
国際株式・エマージング・単一国(為替ヘッジあり) 11.02% 4 22.53% 13
国際株式・中国(為替ヘッジあり) 10.27% 5 23.16% 9
国際株式・エマージング・複数国(為替ヘッジなし) 9.00% 6 25.03% 7
国内REIT 7.94% 7 20.82% 16
国際REIT・特定地域(為替ヘッジなし) 7.75% 8 25.23% 6
国際株式・北米(為替ヘッジなし) 7.47% 9 20.18% 18
国際株式・エマージング・複数国(為替ヘッジあり) 7.16% 10 20.33% 17

※ 2015年1月末時点
※ モーニングスターインデックス(単純)に基づく
出所:モーニングスター作成

新興国株式に分散投資して10年保有すれば全勝

 リターンは投資タイミングで大きく異なるため、さらに時系列でもみてみた。具体的には、2015年1月までの過去120ヵ月間について、各月末時点における10年トータルリターン(年率)の推移をみると、新興国株式は最低でも5%以上となっており、特に2007年以降は米国株式、先進国株式を大きく上回る(図表3参照)。新興国は政治・経済体制が不安定で、情報にも偏りがあることなどから、短期的な運用成績はかなりぶれる点には留意が必要だが、リスク許容度が高く、長期保有を前提とする投資家であれば、大きく資産を増やす目的で一部の資金を新興国株式ファンドに振り向けることは一考に値する。

図表3:10年トータルリターン(年率)の推移

図表3:10年トータルリターン(年率)の推移

※ 期間(2005年1月〜2015年1月)
※ 先進国株式=MSCIコクサイ(グロス、円ベース)、新興国株式=MSCIエマージング(グロス、円ベース)、米国株式=S&P500(グロス、円ベース)
※ 円ベース=月末インデックス値(米ドルベース)×月末TTM
出所:モーニングスター作成

 では、具体的にはどのようなファンドが投資候補となるだろうか。長期保有が前提であればやはりコストを重要したい。同カテゴリーに属するファンドの中では、ETFでは「上場インデックスファンド海外新興国株式」、パッシブファンドでは「EXE−i 新興国株式ファンド」の信託報酬等(信託報酬+監査費用)が最も低い。

 アクティブファンドの抽出には、モーニングスターのHP上のファンド検索機能を使った。具体的には、「条件を指定して検索」に(1)【カテゴリー】国際株式・エマージング・複数国(為替ヘッジなし)、(2)【総合レーティング】5ツ星以上、(3)【償還までの期限】15年以上、(4)【純資産額】10億円以上の4つの条件を入力すると、「JPM アジア・オセアニア高配当株式ファンド」、「フィデリティ・アジア株・ファンド」、「アムンディ・アラブ株式ファンド」、「シュローダー 中東/北アフリカ・ファンド」の4本が抽出された(3月4日時点)。(2)の条件を4ツ星以上に下げたとしても、条件を満たすファンドは15本にとどまるため、実際にどんなファンドが抽出されるか試してみてもらいたい。

(吉田 誠)

「アナリストの視点」よく読まれている記事(過去1週間)

アナリストの視点はRSSでも配信しています

バックナンバー