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アナリストの視点(ファンド)

リスク低減型とアグレッシブ運用がバランス型人気復活の立役者

2015-04-14

2014年はバランス型人気復活の年

 日本でバランス型ファンド(モーニングスターカテゴリー=「安定」、「安定成長」、「バランス」、「成長」に属するファンド)へ資金回帰が本格化している。年間の純資金流出入額では、2008年以降、2013年までは6年連続の流出超過となっていたものの、2014年は1,893億円の流入超過となり、7年ぶりに資金流入に転じた(図表1参照)。2015年に入っても、1月は807億円、2月も707億円のいずれも流入超過となっており、モーニングスターの推計では3月は1,559億円の流入超過と、さらに資金流入が加速している。

図表1:バランス型ファンドの資金流出入推移

図表1:バランス型ファンドの資金流出入推移

※ 国内公募追加型投信(確定拠出年金向け、ラップ口座向け、ETF等除く)
※ モーニングスターカテゴリー「安定」、「安定成長」、「バランス」、「成長」に属するファンド
※ 2015年は1〜3月(3月は推計値)
出所:モーニングスター作成

新たな2つのタイプの登場がバランス型の人気復活の鍵

 こうした背景の一つには、投資家のニーズをうまくとらえた新しいタイプのバランス型ファンドの登場がある。具体的には、「リスクコントロール型」と「フレキシブル・アロケーション型」の登場だ。2015年3月末時点のバランス型ファンドの純資産残高ランキングをみると、第3位の「コア投資戦略ファンド(成長型)」と第6位の「コア投資戦略ファンド(安定型)」が前者、第4位の「日興BR・H・クオリティ・アロケーションF(H無)」、第7位の「GアロケーションF毎月・H無(払出)」が後者に属する。

 一方、第1位の「財産3分法F(不動産・債券・株式)毎月分配型」、第2位の「マイストーリー分配型(年6回)Bコース」、第5位の「野村 世界6資産分散投信(分配コース)」、第9位の「GW7つの卵」、第10位の「りそな・世界資産分散ファンド」はバランス型ファンドの人気がピークに近かった2007年3月末時点でもトップ10にランクインしていたものの、純資産残高はこの8年間で2分の1から7分の1程度にまで大幅に減少している(図表2参照)。また、モーニングスターの推計ではいずれのファンドも3月は流出超過となっており、足元でも資金流出傾向に歯止めはかかっていない。

図表2:バランス型ファンドの純資産残高上位の変遷

(2007年3月末時点)
順位 ファンド名 運用会社 設定日 純資産残高
(億円)
1 マイストーリー分配型(年6回)Bコース 野村 2005/5/30 15,365
2 財産3分法F(不動産・債券・株式)毎月分配型 日興 2003/8/5 13,377
3 GW7つの卵 日興 2003/2/28 6,196
4 りそな・世界資産分散ファンド 大和 2005/11/18 5,888
5 日興 スリートップ(隔月分配型) 日興 2006/10/31 4,066
6 野村 世界6資産分散投信(分配コース) 野村 2005/10/3 3,333
7 三菱UFJ バランスインカムオープン(毎月) 三菱UFJ 2004/12/17 3,089
8 LM・グローバル・プラス(毎月分配型) L・メイソン 2003/12/8 3,022
9 ノムラ・オールインワン・ファンド 野村 2006/7/27 2,719
10 ノムラ・グローバル・オールスターズ 野村 2007/2/21 2,626

(2015年3月末時点)
順位 ファンド名 運用会社 設定日 純資産残高
(億円)
1 財産3分法F(不動産・債券・株式)毎月分配型 日興 2003/8/5 4,193
2 マイストーリー分配型(年6回)Bコース 野村 2005/5/30 2,455
3 コア投資戦略ファンド(成長型) 三井住友TAM 2012/8/7 2,096
4 日興BR・H・クオリティ・アロケーションF(H無) 三井住友 2014/6/27 1,860
5 野村 世界6資産分散投信(分配コース) 野村 2005/10/3 1,600
6 コア投資戦略ファンド(安定型) 三井住友TAM 2012/8/7 1,372
7 GアロケーションF毎月・H無(払出) 新光 2013/2/8 1,205
8 セゾン バンガード・グローバルバランスF セゾン 2007/3/15 956
9 GW7つの卵 日興 2003/2/28 882
10 りそな・世界資産分散ファンド 大和 2005/11/18 801

出所:モーニングスター作成

米国で最も良好なリスク・リターンなのは「安定型」

「フレキシブル・アロケーション型」が人気を集めているのは、日本固有の現象ではなく、米国では2012年頃から人気復活の気配が見えはじめていた。米モーニングスターカテゴリー(機関投資家向け)「フレキシブル・アロケーション」の年間の純資金流出入額は、2012年には5年ぶりの流入超過となり、2013年、2014年はいずれも100億ドル以上の流入超過となっている(図表3参照)。

図表3:フレキシブル・アロケーション型の資金流出入推移

図表3:フレキシブル・アロケーション型の資金流出入推移

※ 米国籍オープンエンドファンド(償還済みファンド含む、MMF、ファンド・オブ・ファンズ除く)
※ 機関投資家向けカテゴリー「Flexible Allocation」に属するファンドが対象
出所:Morningstar Directを基にモーニングスター作成

 

 一方で、こうした新しいタイプのバランス型ファンドが必ずしも良好なパフォーマンスを上げているとは限らない点には注意が必要だ。例えば「GアロケーションF毎月・H無(払出)」の2015年3月末までの過去1年間の運用成績をみると、トータルリターンはカテゴリー平均を上回っているものの、リスク(標準偏差)がカテゴリー内でもトップクラスに高く、シャープレシオではカテゴリー平均を大きく下回っている。

 米国の過去20年間のカテゴリー別リスク・リターンでみても、バランス型の中では「安定型」(株式の比率が20〜50%、債券の比率が50〜80%)が最も良好で、「成長型」(株式の比率が70〜90%)や「機動的変更型」を大きく上回っている。また、米国の「安定型」は日本と同様、あくまでも債券や株式の比率によって決まっており、必ずしも「リスクコントロール型」と「安定型」は同一ではない。リスクコントロールすることで、リターンも確保できず、必ずしも良好なリスク・リターンとならない可能性がある。

(守谷 清貴)

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