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アナリストの視点(ファンド)

夏のボーナス、“隠れ”人気ファンドはいかが?

2015-05-28

 夏のボーナス支給が近づき、投信の購入を検討し始めている方も多いのではないか。マーケットで株高・円安基調が強まっていることも、投信への投資を後押ししそうだ。「人気のファンドがおすすめです」――、そんな営業マンのアドバイスに耳を傾けるのもいいが、今回は売れ筋ランキングの上位に普段登場しない“隠れ”人気ファンドにあえて光を当てたい。

資金流入の「規模」ではなく、「継続性」に注目すると…

 さっそく隠れ人気ファンドのトップ10を見てみよう(図表1)。同ランキングでは、国内公募追加型株式投信(ETF、確定拠出年金専用、ラップ口座専用ファンドなどを除く)を対象に、2015年4月末までの過去3年(36カ月)の純資金流出入額がプラスであった月が多い順にファンドを並べた。純資金流出入額がプラスということは、解約額(投資家がファンドを売却した額)よりも設定額(投資家がファンドを購入した額)が上回っていることを意味する。つまり、プラスの月が多ければ、ファンドを売却する人が少なく、安定的に資金が流入していることになる。

図表1:隠れ人気ファンドランキング(過去3年で資金流入超過の月が多い順)

ファンド名 モーニングスター
カテゴリー
アクティブ
パッシブ
信託報酬等
(税込・%)
決算回数 純資金流入額合計
(億円)
流入超過の月数
結い2101 国内小型グロース アクティブ 1.09 01 112 36
eMAXISバランス(8資産均等型) バランス パッシブ 0.54 01 103 36
J-REITパッケージ 国内REIT パッシブ 0.70 12 118 35
SBI資産設計オープン(資産成長型) バランス アクティブ 0.73 01 83 35
しんきん 公共債ファンド 国内債券・中長期債 アクティブ 0.55 02 49 35
eMAXIS 新興国債券インデックス 国際債券・エマージング・複数国(F) パッシブ 0.65 01 45 35
トレンド・アロケーション・オープン 安定成長 アクティブ 1.18 01 389 34
ピクテ・アセット・アロケーションF(毎月) 安定 アクティブ 2.19 12 168 34
ひふみ投信 国内小型グロース アクティブ 1.06 01 105 34
世界経済インデックスF バランス アクティブ 0.54 01 84 34

※ 2015年4月末時点で3年以上の運用実績を有する国内公募追加型株式投信(ETF、確定拠出年金専用、ラップ口座専用ファンドなどを除く)が対象
※ 過去3年間の解約額の合計が対象ファンド全体の平均を上回るファンドは除く
※ 流入超過の月が同じ場合は純資金流入額で降順
※ アクティブ、パッシブは投信協会の区分に基づく
※ (F)は為替ヘッジなし
出所:モーニングスター作成

 通常、人気ランキングと言えば純資金流入額の該当する期間の合計額で並べるケースが多いが、その場合、売り手である銀行や証券会社が積極的に販売した結果“瞬間風速”的に多額の資金が集まっただけで上位に入ったものの、ブームが去ると流出が続いたということも少なくない。一方、今回のランキングのように期間中に純資金流入額がプラスになった月の数で集計すれば、資金フローの規模は反映できないものの、一時的な資金流入に左右されず中長期での傾向を把握できる。なお、純資金流入額がプラスでも、解約額自体が高水準のファンドは資金の出入りが激しいファンドであると考え、同ランキングでは過去3年間の解約額の合計が対象ファンドの平均を上回るファンドは除いた。

隠れ人気ファンドは低分配・低コストの傾向、バランス型もランクイン

 隠れ人気ファンドランキングを見ると、過去3年の純資金流入額の規模は数十億円から数百億円にとどまり、数千億円に上る“トップセラーファンド”に比べてかなり少ないが、トップ10のすべてが36カ月中34カ月以上で純資金流入額がプラスと、安定感は抜群。積み立て投資など、着実に資金が流入する傾向があると推測される。また、単純に過去3年間の純資金流入額を合計したファンドのトップ10をここで“一般的な人気ファンドランキング”(図表2)とすると、隠れ人気ファンドランキングの顔ぶれは大きく異なるものとなっている。一般的な人気ファンドランキングは海外の株式やREIT、ハイ・イールドなどリスクが高めのファンドが占めるが、隠れ人気ファンドランキングではバランス型ファンドが5本と最も多く、資産運用の“コア”として保有されるファンドが中心だ。分配頻度で見ると、一般的な人気ファンドランキングではすべてが毎月分配型であるのに対して、隠れ人気ファンドランキングでは毎月分配型は2本だけであり、複利効果を活かした長期投資のスタンスが伺える。

図表2:一般的な人気ファンドランキング(過去3年の純資金流出入額の合計が多い順)

ファンド名 モーニングスター
カテゴリー
アクティブ
パッシブ
信託報酬等
(税込・%)
決算回数 純資金流入額合計
(億円)
流入超過の月数
ドイチェ・高配当インフラ関連株(米ドル)毎 国際株式・グローバル・含む日本(F) アクティブ 1.90 12 10,995 24
新光 US-REITオープン 国際REIT・特定地域(F) アクティブ 1.65 12 6,849 27
フィデリティ・USハイ・イールドF 国際債券・ハイイールド債(F) アクティブ 1.81 12 6,437 19
ダイワ 高格付カナダドル債(毎月分配型) 国際債券・北米(F) アクティブ 1.35 12 6,147 34
ラサール・グローバルREIT(毎月分配型) 国際REIT・グローバル・含む日本(F) アクティブ 1.62 12 5,885 27
アジア・オセアニア好配当成長株(毎月) 国際株式・グローバル・除く日本(F) アクティブ 1.74 12 5,664 33
ピクテ 新興国インカム株式(毎月決算型) 国際株式・エマージング・複数国(F) アクティブ 2.05 12 5,551 28
アムンディ・欧州ハイ・イールド債券(リラ) 国際債券・ハイイールド債(F) アクティブ 1.76 12 4,679 30
日興ピムコ Hインカム・S毎(リラ) 国際債券・エマージング・複数国(F) アクティブ 1.83 12 4,498 31
アムンディ・欧州ハイ・イールド債券(豪ドル) 国際債券・ハイイールド債(F) アクティブ 1.76 12 3,820 36

※ 2015年4月末時点で3年以上の運用実績を有する国内公募追加型株式投信(ETF、確定拠出年金専用、ラップ口座専用ファンドなどを除く)が対象
※ 2015年4月末までの過去3年間の純資金流出入額合計で降順
※ アクティブ、パッシブは投信協会の区分に基づく
※ (F)は為替ヘッジなし
出所:モーニングスター作成

 また、ベンチマークを上回るパフォーマンスを目指すアクティブと、ベンチマークへの連動を目指すパッシブの違いも目立つ。一般的な人気ファンドランキングではすべてがアクティブであるのに対して、隠れ人気ファンドランキングでは3本がパッシブであり、インデックスファンドを組み入れるバランス型ファンドの「SBI資産設計オープン(資産成長型)」と「世界経済インデックスF」もパッシブと考えれば、10本中半分がパッシブになる。ちなみに、一般的な人気ファンドランキングでは信託報酬等(監査費用など含む、税込)がすべて1%を上回るのに対して、隠れ人気ファンドランキングでは6本が1%を下回っており、低コストのファンドを選好する傾向が顕著だ。

 最後に、一般的な人気ファンドランキングでは一本もなかった直販投信が、隠れ人気ファンドランキングでは「結い2101」と「ひふみ投信」とランキング上位に入った点も注目される。モーニングスターレーティングは2015年4月末時点でそれぞれ4ツ星、5ツ星と良好。いずれも信託報酬等(同)がモーニングスターカテゴリー「国内小型グロース」の平均1.67%を大きく下回っており、“コストパフォーマンス”が高いファンドと言えるだろう。

(坂本 浩明)

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