youtube fund_beginer fund_search fund_look



アナリストの視点(ファンド)

純資産、流入額などの変動要因を除いても積立NISAの条件を満たすアクティブは2%以下

2017-04-13

アクティブは積立NISA「適格」までに10の条件

 金融庁が3月末に公表した「家計の安定的な資産形成に関する有識者会議」などの資料によると、2018年1月から開始される積立NISAの「基準」に合致するファンドは50本程度にとどまり、5千本以上設定されている既存の公募投信全体の1%以下にとどまる。ここで示された「基準」とは、既に平成29年度税制改正大綱に記載されていた(1)信託期間が無期限又は20年以上であること、(2)毎月分配型でないこと、(3)一定の場合を除き、デリバティブ取引による運用を行わないこと、という基本的な条件に加え、アクティブ・パッシブ運用、ETFなどについて、ワーキング・グループが詳細を定めたものである。

 具体的には、(4)株式型・資産複合(バランス)型であること(主にREITやハイイールド債等に投資を行うファンドでは無いこと)が共通の条件として追加され、アクティブ運用については(5)販売手数料が無料(ノーロード)、(6)解約手数料(信託財産留保額除く)が無料、(7)信託報酬(税抜、ファンドオブファンズについては投資先ファンドの信託報酬を含む)が国内資産のみを対象とする場合は1.0%以下、海外資産を対象とする場合は1.5%以下などの3つのコストに関わる要件に加え、(8)運用期間5年以上、(9)その3分の2以上(年数)で資金流入超過、(10)純資産額50億円以上の全てを満たす必要がある。一方、ETFを除くパッシブ運用については、(5)と(6)は共通だが、(7)信託報酬は国内資産のみの場合は0.5%以下、海外資産を含める場合は0.75%以下など、ETFについては、最低取引が千円以下、外国上場ETFは1兆円以上の資産残高などが追加された(図表1参照)。

図表1:積立NISA対象候補ファンドの基準

図表1:積立NISA対象候補ファンドの基準

(※1)対象となるインデックスのウェイトをファンドマネジャーが自由に変更するタイプはアクティブに分類
(※2)ETFは、販売会社が受け取る収益は販売時の売買手数料に限られていることから、制度設計上、ノーロードとすることは困難であるため、信託報酬及び売買手数料の水準に一定の上限などを設ける案を別途検討
出所:長期・積立・分散投資に資する投資信託に関するワーキング・グループ」報告書及び「家計の安定的な資産形成に関する有識者会議」の事務局説明資料より、モーニングスター作成

アクティブで全ての基準をみたすのはわずか8本

 では、実際にどのようなアクティブファンドが基準を満たす可能性があるのだろうか。上記基準のうち、資料からだけでは詳細が不明であった条件については、(4)株式型・資産複合型などの分類はモーニングスターカテゴリーを使用し、(5)販売手数料は目論見書記載の最大値が無料、(7)資金流入超過は2000年度から2016年度の純資金流出入額(2017年3月はモーニングスター推計値)が3分の2以上の年度でプラス、と仮定して抽出したところ、2017年3月末時点で運用されている4,006本のアクティブのうち、全ての条件を満たすファンドはわずか8本にとどまった(図表2参照)。

図表2:積立NISAの基準を満たすアクティブファンド(2017年3月末基準)

カテゴリー名 ファンド名 運用会社 信託期間
開始日
信託報酬等
(税抜、%)
純資産額
(百万円)
運用
年度数
流入超過
年度数
国内大型バリュー ニッセイ 日本株ファンド ニッセイ 2001/12/26 1.00 74,066 16 13
国内大型ブレンド さわかみファンド さわかみ 1999/8/24 1.00 294,253 17 13
国内大型グロース 年金積立Jグロース 日興 2001/10/31 0.82 14,105 16 16
国内小型グロース ひふみ投信 レオス 2008/10/1 0.98 49,165 9 9
国内小型グロース 結い2101 鎌倉 2010/3/29 1.00 26,328 8 8
国際株式・グローバル・含む日本(ヘッジなし) セゾン 資産形成の達人ファンド セゾン 2007/3/15 1.25 40,574 11 11
安定成長 セゾン バンガード・グローバルバランスファンド セゾン 2007/3/15 0.63 131,040 11 10
バランス SBI資産設計オープン(資産成長型) 三井住友TAM 2008/1/9 0.68 25,136 10 10

※ 信託報酬等は投資先ファンドの信託報酬含む、監査費用は除く
出所:モーニングスター作成

 内訳をみると、大分類別では国内株式型が5本、海外株式型が1本、バランス型が2本となっている。「SBI資産設計オープン(資産成長型)」などのバランス型2本の実質的な投資対象(マザー、もしくは投資先ファンド)はパッシブであるが、ファンドマネジャーの判断によって投資比率が変更する場合があるため、アクティブに属する。一方で、基準を満たした10本のうち、2017末3月末時点において全体の純資産額ランキングトップ100以内に入っているのは、第24位の「さわかみファンド」、第63位の「セゾン バンガード・グローバルバランスファンド」のみ。抽出にあたっては、純資産残高と資金流入などが条件に含まれているが、必ずしも投資家の人気が高いファンドだけが選ばれているわけではない。また、両ファンドを運用するさわかみ、セゾンに加え、レオス、鎌倉が運用するファンドも各1本ずつ含まれており、直販・独立系の運用会社のファンドが半数以上を占めるのも特徴的だ。

 抽出されたファンドが8本にとどまり、条件には(9)運用期間の3分の2以上で資金流入超過などが含まれることから、アクティブに対する基準が厳しすぎるのではないか、との見方もできる。前記の金融庁の資料でも、第一に資金流入超過などの要件を満たさないとして、約2,700本から約130本にまでに絞り込まれている。ただし、その資金流入や純資産額はデータの参照タイミングや期間で抽出結果が異なる可能性がある要因(以下、変動要因)であることから、それ以外の商品設計上の条件である(1)信託期間、(2)毎月分配型以外、(3)株式型・資産複合型の3つと、コスト上の条件である(5)販売手数料と(7)信託報酬に分けて抽出してみると、前者の3つの条件を満たすのは699本ある一方で、後者の2つの条件を満たすのは109本にとどまる。また、両者の5条件を全て満たすファンドは54本にとどまっており、変動要因以外の基準も実は98%以上のファンドが満たしていない。

(吉田 誠)

「アナリストの視点」よく読まれている記事(過去1週間)

アナリストの視点はRSSでも配信しています

バックナンバー