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アナリストの視点(ファンド)

「インベスターリターン」をご存知ですか?

2017-05-30

 ファンドの収益を表す際、対象とする期間でどれだけ値上がり(値下がり)したかを表す指標として「トータルリターン」を用いることが多い。トータルリターンは投資家が一定期間そのファンドを保有し続けたと仮定した場合の収益だ。しかし、投資家が実際に得た収益は売買のタイミングによって異なる。そこで、モーニングスターでは投資家が得た平均的なリターンを表す指標として「インベスターリターン」を算出している。インベスターリターンは金額加重リターンとも言われ、ファンドに資金が流入した時期の比重を高く、資産が流出した時期の比重を低くしている。あるファンドが多額の資金を集めると、流入後のパフォーマンスは流入前のパフォーマンスよりも大きく影響を受けることになる。「このファンドを持っている投資家は実際、どの程度儲かっているのか」を知ることができる指標ということだ。

 分かりやすく言えば、多くの投資家が高値掴みをしたファンドのインベスターリターンは低くなる。例として図表1を見てみよう。点線は値動き、棒グラフは純資産額を意味する。Aファンドは値上がりが期待できるとして多額の資金が流入した。しかし、その後相場環境が悪化して基準価額が大幅に下落。期待して買った多くの投資家は損を被ることになった。こうしたパターンがインベスターリターンの低下につながる例である。逆にBファンドのように、値動きが緩やかに上昇基調を続け、さらに安定的に資金が流入したことにより純資産残高が大きくなったファンドのインベスターリターンはトータルリターンより高くなる傾向がある。多くの投資家が儲けを実感できているファンドと言える。

図表1:インベスターリターンのイメージ

図表1:インベスターリターンのイメージ

 

 以下は純資産残高順に見たインベスターリターンを示している。インベスターリターンからトータルリターンを引いた差を「インベスターギャップ」として定義し、その数値を見てみよう。インベスターギャップの値が大きいということは、一般的に投資家がトータルリターンとして目にするファンドの“実力”よりも、実態として投資家は儲かっていることを意味する。つまり、高値掴みではなく、いいタイミングで購入している投資家が多いということになる(図表2)。

図表2:純資産残高順に見る「インベスターリターン」と「インベスターギャップ」

順位 ファンド名 純資産残高
(百万円)
インベスター
リターン
(3年・年率)
トータル
リターン
(3年・年率)
インベスター
ギャップ
(3年・年率)
1 フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし) 1,387,015 10.92% 11.94% -1.02%
2 新光 US-REITオープン 『愛称:ゼウス』 1,297,595 11.13% 9.99% 1.13%
3 ラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型) 1,033,334 6.82% 7.11% -0.29%
4 フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド 939,788 7.95% 6.81% 1.13%
5 ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)Bコース(為替ヘッジなし) 710,032 11.51% 10.96% 0.55%
6 ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型) 『愛称:グロイン・マイルド』 667,130 2.00% 2.19% -0.19%
7 ダイワ 米国リート・ファンド(毎月分配型)為替ヘッジなし 664,637 11.62% 11.08% 0.53%
8 グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型) 600,165 2.74% 1.41% 1.32%
9 ワールド・リート・オープン(毎月決算型) 538,940 7.09% 7.19% -0.09%
10 LM・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型) 521,536 15.49% 5.03% 10.46%
11 アジア・オセアニア好配当成長株オープン(毎月分配型) 451,340 -0.31% 3.67% -3.98%
12 ハイグレード・オセアニア・ボンド・オープン(毎月分配型) 『愛称:杏の実』 363,498 -1.33% -1.28% -0.05%
13 グローバル・ロボティクス株式ファンド(1年決算型) 353,190 - - -
14 野村 ドイチェ・高配当インフラ関連株投信(米ドルコース)毎月分配型 350,869 7.05% 4.77% 2.29%
15 ダイワ 日本国債ファンド(毎月分配型) 350,266 1.69% 1.56% 0.13%
16 J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型) 347,926 8.59% 9.00% -0.41%
17 財産3分法ファンド(不動産・債券・株式)毎月分配型 『愛称:利回り財産3分法』 345,508 5.95% 5.18% 0.77%
18 フィデリティ・日本成長株・ファンド 344,878 13.07% 11.63% 1.45%
19 東京海上・円資産バランスファンド(毎月決算型) 『愛称:円奏会』 329,780 1.73% 4.19% -2.46%
20 ゴールドマン・サックス 米国REITファンドBコース(毎月分配型、為替ヘッジなし)『愛称 : コロンブスの卵』 298,598 7.05% 8.53% -1.47%
21 さわかみファンド 295,498 11.76% 10.58% 1.19%
22 ピクテ 新興国インカム株式ファンド(毎月決算型) 294,507 -3.87% 0.40% -4.27%
23 短期豪ドル債オープン(毎月分配型) 294,100 -2.64% -2.57% -0.07%
24 野村 インド株投資 293,445 21.32% 19.18% 2.14%
25 野村テンプルトン・トータル・リターンDコース 288,497 -2.96% 3.21% -6.17%
26 UBS 世界公共インフラ債券投信(通貨選択型)円コース(毎月分配型) 269,421 0.89% 1.25% -0.35%
27 グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド 『愛称 : 健次』 264,792 -1.29% 11.60% -12.89%
28 ダイワ 高格付カナダドル債オープン(毎月分配型) 262,140 -2.50% -3.20% 0.70%
29 グローバルAIファンド 260,658 - - -
30 高金利先進国債券オープン(毎月分配型) 『愛称 : 月桂樹』 252,430 0.24% 0.23% 0.01%

※1 期間は2017年4月から過去3年リターン(年率)
※2 「インベスターギャップ」=「インベスターリターン」−「トータルリターン」
※3 国内公募追加型株式投資信託(確定拠出年金専用、ラップ口座専用、ETFなどを除く)が対象
出所:モーニングスター作成

 純資産残高27位「グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド『愛称 : 健次』」のインベスターギャップに注目したい。同ファンドは旬のバイオ銘柄で運用するテーマ型の大型投信でありパフォーマンスは良好だが、純資産残高30位以内のファンドで最も低いインベスターギャップを示している。これは高いパフォーマンスが必ずしも投資家に高いリターンを保証するものではないということを物語っている。

 一時的な流行で資金が急激に流入し、その後値下がり基調となるようなファンドはインベスターリターンもインベスターギャップも低くなる。ファンドマネジャーの“腕”を表すトータルリターンも大事だが、投資家の本当の儲けであるインベスターリターンも、ファンド選びの際に参考にしたい。

 モーニングスターのホームページでは個別ファンドのインベスターリターンを参照することが可能である(図表3)。

図表3:モーニングスターのホームページで表示されるインベスターリターンの例

図表2:モーニングスターのホームページで表示されるインベスターリターンの例

出所:モーニングスター

(モーニングスター)

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