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アナリストの視点(ファンド)

世界株高―順張り・逆張り!?それとも…

2017-06-22

 世界的な株高基調が続いている。米国のダウ工業株30種平均は19日まで連日で過去最高値を更新。ドイツのDAX指数も同日に過去最高値を更新し、日経平均株価も20日に年初来高値を更新した。その後各指数はいったん調整したものの、高値圏での推移が続いている。下がった時に買おうと思っていたら、相場の勢いがついて買い時を逃してしまう――。そんな行動を投資格言で「押目待ちの押目なし」というが、果たして、その通りの相場となるのだろうか。

目まぐるしく変わる資産価格だが、よく見ると…

 投資では相場の上昇トレンドに沿って値上がりしているものを買うことを「順張り」、逆に、値下がりしたものを買うことを「逆張り」という。それでは投信を購入する上で、順張り・逆張りどちらが有効か、国内の投信市場を対象に、国内外の株式・債券・REITの6資産について毎年のリターンに基づき検証してみた(期間はデータが取得可能な期間で最長の2004年以降)。まず6資産のリターンの順位がどのように変化しているのかを見てみよう(図表1)。

 順位は目まぐるしく変化しているように見えるが、よく見ると資産によっては順位が上位・下位で持続している期間がある。例えば、「国際REIT型」では米国中心に不動産市場が好調となる中、2009年〜2012年にかけて4年間にわたり2位〜3位をキープした。一方、2012年の「アベノミクス相場」開始以降、株高・円安が進み総じてリスク資産が騰勢を強める中、相対的にリスクの低い債券に投資する「国内債券型」は2012年〜2014年にかけて3年連続で6位、「国際債券型」は2012年〜2015年の4年間にわたり4位〜5位にとどまった。

図表1:暦年の資産別リターン順位

図表1:暦年の資産別リターン順位

※ リターンはモーニングスターインデックス(大分類)に基づく
出所:モーニングスター作成

 このように、資産価格のトレンドが継続する中では順張りの投資が有効となる。しかし問題は、上昇・下落トレンドがいつまで継続するのか判断するのが難しいということだ。実際、順張り・逆張りのパフォーマンスの検証結果を見ると、順張りが逆張りを大きく下回っている(図表2)。

 この検証は、単純に、前年に最もリターンが高かった資産を翌年に買うことを順張り、逆に、前年に最もリターンが低かった資産を翌年に買うことを逆張りとして、それを毎年繰り返すことで算出している。リターンの差が付いたポイントはいくつかあるが、例えばリーマン・ショック後の2009年を見ると、順張りは前年に金融危機で安全資産として買われた「国内債券型」を選択したものの債券価格の上昇トレンドは続かず、一方で逆張りは「国際株式型」への投資により金融危機後の株価反発を捉えることができ、パフォーマンスを改善させた。順張りは同様に、欧州危機後の2012年も「国内債券型」を選択し、リスク資産の反発を逃している。このように、順張りの場合、トレンドが継続せずに短期間で転換してしまうと、パフォーマンスが大きく悪化する可能性がある。

図表2:順張り、逆張り、分散投資の累積リターン(国内籍)

図表2:順張り、逆張り、分散投資の累積リターン(国内籍)

※ リターンはモーニングスターインデックス(大分類)に基づく
出所:モーニングスター作成

日米で有効な「王道」の投資手法

 それでは逆張りの方が有効かと言えば、必ずしもそうではない。逆張りの欠点は、順張りの裏返しであり、資産の上昇トレンドが続く際は劣後しやすい。例えば先ほどの検証結果で、逆張りは「アベノミクス相場」開始以降、2013年〜2015年の各年において、前年に最下位となった「国内債券型」を選択し続けることで、株高・円安局面を逃している。

 また、米国籍の投信について、米国の株式・債券・REIT、海外の株式・債券・REITの6資産で同様の検証を行ったところ(図表3)、こちらでは順張りが最も良好なパフォーマンスとなっている(期間はデータが取得可能な期間で最長の1990年以降)。逆張りに比べて順張りが優位となった背景としては、1990年代後半のITバブル期の株価上昇トレンド、その後に起こった2000年代前半の米国・海外のREITの上昇トレンドに乗ったことなどが主な要因として挙げられる。

図表3:順張り、逆張り、分散投資の累積リターン(米国籍)

図表3:順張り、逆張り、分散投資の累積リターン(米国籍)

※ リターンは米国モーニングスターのカテゴリー平均に基づく
出所:モーニングスター作成

 順張り・逆張りの相対的な優位性は日米で逆となっているが、これは対象とする市場と期間において、中長期的な資産価格の上昇トレンドがあったかどうかによるところが大きい。そうした中で注目されるのは日米いずれにおいても、6資産に均等投資した分散投資のパフォーマンスが総じて良好となっている点。相場の上げ下げを予想せず、幅広い投資機会に網を広げることが功を奏している。投資のプロでも相場の上昇トレンドが続くかどうかを判断するのは困難だ。個人投資家にとっては、予想する手間が省ける点を考えるとなおさら、「王道」の分散投資に軍配が上がる。

(坂本 浩明)

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