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アナリストの視点(ファンド)

毎月分配型は日本だけじゃない?米国の投資家が意識する2つのポイントとは?

2017-07-20

2017年上期の毎月分配型は、過去2番目の低調な資金流入

 国内公募追加型株式投信(ETF除く)の2017年上半期における純資金流出入額では、「毎月分配型」は66億円の流入超過と、2000年以降の半期ベースでは過去2番目に低調な資金流入となった(図表1参照)。ITバブル崩壊の影響などから2000年上期には1,269億円の流出超過となった以降は、10度の3兆円を超える流入超過を含めて、金融危機時の2008年下期でさえも9千億円を超える流入超過となるなど、一貫して投資家の支持を集めてきた。しかし、2017年上期は、月別では3月こそ1,900億円の大幅な流入超過となったものの、6月には957億円の流出超過と、5月の896億円を上回る2ヵ月連続の大幅な流出超過となったことが響き、かろうじて流入超過を維持するにとどまった。

図表1:国内投信の純資金流出入額の推移(ETF除く、半期ベース)

図表1:国内投信の純資金流出入額の推移(ETF除く、半期ベース)

※ 期間:2000年上期〜2017年上期
出所:モーニングスター作成

 なお、投信協会発表の毎月分配型の純資金流出入額は全ての株式投信を対象としているが、モーニングスターでは投資家が自由な売買ができない限定追加型にカテゴリーを付与していないことから、集計対象から除外しており、基準が異なる。ちなみに、投信協会発表のデータでは、2017年上期における毎月分配型は202億円の流出超過となっている。

米国の毎月分配型比率は4分の1超も、債券ファンドが9割弱

 こうした状況を受けて、全体に占める「毎月分配型」の比率も低下傾向にあり、2017年6月末時点では53.7%と、2006年以来、約11年ぶりに53%台に低下。ピーク時の2012年と比較すると、約2割の大幅低下となった。しかし、それでもなお5割を超える日本の毎月分配型比率は高いのだろうか。そこで、オフショア籍を除いた海外の主要国における毎月分配型比率をみると、2016年12月末時点では、米国が28.4%、カナダが28.1%となる一方で、英国は3.1%、豪州は1.7%にとどまるほか、ドイツはモーニングスターのデータベース上では1本も見当たらなかった(図表2参照)。

図表2:主要国の毎月分配型比率

図表2:主要国の毎月分配型比率

※ オープンエンドファンド(ETF、MMF等除く)のうち、毎月分配型が占める比率
※ 2016年12月末時点における純資産額ベース
出所:モーニングスター作成

 さらに、主要国の中では毎月分配型比率が高い米国のカテゴリー(中分類)別純資産額をみると、2017年6月末時点では「課税債券」が70.3%、「地方債券(税制優遇)」が17.1%となっており、債券の比率が9割弱を占めるのが特徴的だ(図表3参照)。債券は購入時にクーポンが確定するため、安定的に分配金を出すには最適といえる。ちなみに、日本で人気の高いREITファンドだが、米国では四半期決算型が主流で、毎月分配型の中での比率は0.1%以下にとどまる。

図表3:米国の毎月分配型ファンド分類

図表3:米国の毎月分配型ファンド分類

※ 米国籍オープンエンドファンド(MMF、ETF等除く)の2017年6月末時点における純資産額ベース
出所:モーニングスター作成

 個別ファンドでみると、第1位の「フィデリティ・コントラファンド」(シェアクラス:ノーロード)、第4位の「ピムコ・トータルリターンファンド」(同:機関投資家向け)は、いずれもアクティブファンドなっているが、第2位、第3位、第5位がいずれもバンガードの米国中期債を主要投資対象とするパッシブファンドとなっており、毎月分配型でも米国投資家のコスト意識の高まりがうかがわれる。また、アクティブファンドの2本の運用実績は、50年、30年と、いずれもかなりの長期間に及ぶほか、2017年6月末までの過去5年間、10年間のトータルリターンがいずれもベンチマークを上回っており、長期の運用成績も良好だ。

日本の毎月分配型はREITが3割越え、ベンチマークの設定・優劣に注意

 一方、日本の毎月分配型について、2017年6月末時点のカテゴリー(中分類)別ランキングをみると、第1位が「海外REIT」の22.7%、第5位が「国内REIT」の7.4%となっており、REITの比率が3割を超えるほか、配当金が一定ではなく、為替変動の影響を受けやすい「海外株式」の比率が1割を超えるのも特徴的だ(図表4参照)。

図表4:日本の毎月分配型ファンド分類

図表4:日本の毎月分配型ファンド分類

※ 国内公募追加型株式投信(ETF等除く)の2017年6月末時点における純資産額ベース
出所:モーニングスター作成

 個別ファンドでみても、2017年6月末時点における純資産額ランキングトップ5のうち、第3位のハイイールド債券以外は、REITファンドが独占し、かつトップ5の全てアクティブファンドとなった。また、ランクインしたファンドのうち、ベンチマークが設定されているのは、第1位の「フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)」、第3位の「フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド(為替ヘッジなし)」、第5位の「ダイワ・US−REIT・オープン(毎月決算型)Bコース(為替ヘッジなし)」の3本だが、2017年6月末基準の月報で参照が可能なトータルリターンの過去3年間、設定来ではいずれもベンチマークを下回っている。一方、第2位の「新光 US−REITオープン」、第4位の「ラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型)」にベンチマークが設定されていないのは、ファンドの目的が対ベンチマークでの超過収益の獲得ではなく、安定的な分配金の支払いにあるためだと推測されるが、一般の投資家にとっては運用成績の良し悪しを判断しづらい。

 以上の点をまとめると、日本の毎月分配型を海外と比較すると、主要国の中での比率は高く、債券よりも価格変動が大きいREITや株式で、かつアクティブファンドに人気が集中しており、運用実績や情報開示姿勢などはさほど重要視されていない。もちろん、各国により、投信の制度設計、税制、投資環境、投資家層などは異なる面があるものの、投資家の立場からみて、海外よりも日本の毎月分配型は、明らかに先行している、優位であるといった傾向などは見出し難い。

(吉田 誠)

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