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アナリストの視点(ファンド)

NYダウ最高値で債券購入?「アクティブ」に期待

2017-08-08

 米国株式が“快走”を続けている。ダウ工業株30種平均は7日に終値で2万2,118ドル42セントとなり、9営業日連続で過去最高値を更新した。騰落率で見ても、年初来で日経平均株価が4.93%の上昇にとどまるのに対して、ダウ工業株30種平均は11.92%上昇と、倍以上の好パフォーマンスだ。

米国株式、最高値更新でも資金流出継続

 もっとも、米投信市場の資金フローを見ると、意外にも投資家は米国株式の先行きに慎重であることが分かる。図表1は、米投信市場における米国株式ファンドの純資金流出入動向(ETF含む、ファンド・オブ・ファンズ等による重複除く、モーニングスター推計値)を示したものだ。米トランプ大統領への期待から2016年11月以降、米国株式ファンドは5カ月連続で純資金流入を継続していたものの、2017年4月以降はダウ工業株30種平均が上昇を続ける中でも純資金流出が続いており、直近の6月は90億ドル(約1兆円)の純資金流出と、2016年10月以来8カ月ぶりの流出規模を記録した。

図表1:ダウ工業株30種平均(NYダウ)と米国籍米国株式ファンドの純資金流出入推移

図表1:ダウ工業株30種平均(NYダウ)と米国籍米国株式ファンドの純資金流出入推移

※ 純資金流出入は米モーニングスターの米国カテゴリーグループ「米国株式」に属するファンドが対象
※ 期間:2016年7月〜2017年6月
出所:モーニングスター作成

 米国株式から資金が流出する一方、旺盛な資金流入となっているのが「国際株式」と「債券」だ。過去1年間の米投信市場における資産別の純資金流出入推移(図表2)を見ると、国際株式と債券いずれも今年1月以降に資金流入トレンドが明確となっている。

図表2:米国籍ファンドの資産別純資金流出入推移

図表2:米国籍ファンドの資産別純資金流出入推移

※ 純資金流出入は米モーニングスターの米国カテゴリーグループごとに集計
※ 期間:2016年7月〜2017年6月
出所:モーニングスター作成

 国際株式ファンドに資金が流入する理由としては、米国株式と比べた良好なパフォーマンスが考えられる。年初来(2017年8月7日まで)の騰落率では、ダウ工業株30種平均は11.92%上昇と、日経平均株価の4.93%には圧勝したものの、米国とカナダを除く先進国株式の代表的な株価指数であるMSCI EAFEインデックスは16.02%上昇と、さらに優れたパフォーマンスとなっている。

 また、金利の上昇(債券価格の下落)が予想される中で債券ファンドが資金を集めるのは、株高一巡後に備えた債券の「安全資産」としてのニーズが根強いためだ。実際、債券の中でもより詳細な分類をモーニングスターカテゴリー別に見ると、年初来で最も資金が流入しているのは「中期債」で純資金流入額は664億ドル、次に多かったのが「超短期債」で202億ドルとなっており、金利の感応度であるデュレーションが長いファンドを避けつつ分散投資先として債券を選好している。

アクティブの「勝率」が影響か

 国際株式ファンドと債券ファンドが資金流入を維持している背景として、マーケット環境以外の要因として挙げられるのが、アクティブファンドの健闘だ。米国株式、国際株式、債券の3つの資産について、年初来の純資金流出入をアクティブファンド、パッシブファンドに分けて見ると(図表3)、米国株式ではパッシブファンドが1,290億ドルの純資金流入となる一方、アクティブファンドが988億ドルの純資金流出と、足を引っ張っている。他方、国際株式ではアクティブファンドも87億ドルと小幅ながら純資金流入となり、債券に至ってはアクティブファンドが913億ドルの純資金流入と、パッシブファンドに迫る流入額となっている。

図表3:米国籍ファンドのアクティブ・パッシブ別純資金流出入(年初来)

図表3:米国籍ファンドのアクティブ・パッシブ別純資金流出入(年初来)

※ 年初来(2017年1月〜2017年6月)の純資金流出入を米モーニングスターの米国カテゴリーグループ「米国株式」「国際株式」「債券」ごとにアクティブ・パッシブに分けて集計
出所:モーニングスター作成

 実際、パフォーマンス面で見ると、米国株式ファンドに比べて、国際株式ファンドと債券ファンドではアクティブがパッシブより優位になりやすい傾向が見られており、投資家もその点を考慮して投資を行っている可能性がある。米モーニングスターが「アクティブ・パッシブバロメーター」と題して、カテゴリーごとにパッシブファンドのリターン平均を上回ったアクティブファンドの比率を「サクセスレート(勝率)」として計算したところ、2016年12月末までの過去10年間では米国株式が規模・スタイルに関わらず1ケタ〜20%台の勝率にとどまる中、「中期債」の勝率は44.4%と調査対象カテゴリー内で最も高くなっており、次いで「外国株式大型ブレンド」の32.2%となった。

図表4:米モーニングスターカテゴリー別の「サクセスレート(勝率)」

カテゴリー 1年 3年 5年 10年 10年低コスト 10年高コスト
米国株式大型ブレンド 25.3 19.6 19.8 14.0 22.8 4.8
米国株式大型バリュー 20.3 7.0 24.9 20.0 24.5 13.8
米国株式大型グロース 29.8 10.1 14.4 5.9 9.2 5.9
米国株式中型ブレンド 24.8 20.3 20.0 10.6 7.9 5.4
米国株式中型バリュー 19.8 12.2 16.8 21.7 33.3 6.9
米国株式中型グロース 30.7 32.6 24.9 23.2 29.3 14.9
米国株式小型ブレンド 36.7 35.7 29.6 28.9 46.0 18.4
米国株式小型バリュー 15.0 34.6 27.6 29.3 20.0 22.9
米国株式小型グロース 28.4 20.1 18.8 15.6 23.2 7.4
外国株式大型ブレンド 33.5 43.1 39.8 32.2 44.4 20.5
新興国株式 37.1 61.4 59.1 29.3 42.9 15.0
中期債 74.8 53.8 68.4 44.4 56.6 32.9

※勝率0〜25%をピンク、25〜50%を黄色、50〜100%を緑で色分け
※2016年12月末時点
出所:モーニングスター作成

 なお、同調査はファンドをコスト(日本の信託報酬にほぼ相当するエクスペンスレシオ)の高低で4つに分けて、アクティブファンドの10年リターンについて最も低コストグループと最も高コストのグループの勝率も示している(図表4の「10年低コスト」、「10年高コスト」)。全体の傾向として低コストグループの方が勝率は高くなるが、その中でも「中期債」の勝率は56.6%で第1位、「外国株式大型ブレンド」の勝率は44.4%で第3位と、上位に入った。アクティブファンドへの期待がまだ高い資産であると言え、好調なパフォーマンスを維持できれば、資金流入が継続しそうだ。

(坂本 浩明)

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