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アナリストの視点(ファンド)

世界株高基調に暗雲?株高一服後の受け皿カテゴリーを探る

2017-08-10

 米国ではNYダウが、新興国ではインドのSENSEX指数が過去最高値圏にあり、日本ではTOPIX(東証株価指数)が8月7日に年初来高値を更新した。数カ月前にインド株式に投資するファンドへの資金流入が話題となるなど、世界的な株高は投資信託を巡る投資家の行動に対しても影響を及ぼしているとみられる。

投資家のリスク許容度が上昇

 2017年7月末までの1年間のカテゴリー別の資金流出入状況を調べた。具体的には、前半(2016年8月−2017年1月)と後半(2017年2月−7月)に分けて集計し、後半の流入上位10カテゴリーを取り上げると以下となった(図表1)。

図表1:直近の資金流入上位10カテゴリー

図表1:直近の資金流入上位10カテゴリー

※ 2017年7月はモーニングスター推計
出所:モーニングスター作成

 「国際株式・グローバル・含む日本(為替ヘッジなし)」、「国際株式・グローバル・含む日本(為替ヘッジあり)」、「国際株式・インド(為替ヘッジなし)」が急増しているほか、「国際株式・オセアニア(為替ヘッジなし)」も増加している。「国内小型グロース」は流出から流入に転換しており、株価指数の良好な地域を中心に、株式に投資するファンドに資金が向かっていることが分かる。また、「国際債券・ハイイールド債(為替ヘッジなし)」も流出から流入に転換しており、投資家のリスク許容度が高まっていることを示している。

 なお、「国内大型ブレンド」が前半、後半それぞれにおいて1兆5,000億円規模の流入超となり、それぞれにおいて全体のトップとなったが、図表1の上位10カテゴリーからは除外した。内訳を見ると、パッシブの「TOPIX連動型」が前半に約1兆7,000億円、後半に約1兆9,000億円の流入超となった一方、アクティブの「国内大型ブレンド」は前後半ともに2,000億円超の流出超過となった。「TOPIX連動型」の高水準な資金流入の背景には、日銀のETF買いがあるとみられ、投資家の実際の動きを反映しているとは言い難いと判断したためである。

パフォーマンスが良好なカテゴリーは?

 次に、後半の資金流入上位10カテゴリーについて、パフォーマンスを確認した。10カテゴリーの1年トータルリターンをみると、以下となった(図表2)。

図表2:資金流入上位10カテゴリーの1年リターン

図表2:資金流入上位10カテゴリーの1年リターン

※ 各カテゴリーのリターンは、モーニングスターインデックス(単純)に基づく。
出所:モーニングスター作成

 「国内小型グロース」、「国際株式・インド(為替ヘッジなし)」、「国際株式・グローバル・含む日本(為替ヘッジなし)」、「国際債券・ハイイールド債(為替ヘッジなし)」のパフォーマンスが良好なほか、「国際株式・オセアニア(為替ヘッジなし)」も全カテゴリー平均を上回った。これらのカテゴリーは、足元にかけて、資金フローの面でも、パフォーマンスの面でも好調だったといえる。

リスクが高めである点には注意

 ただ、これらのカテゴリーがいずれもリスクが高めの資産に投資している点には注意が必要である。これらのカテゴリーの2017年7月末時点の1年、3年(年率)、5年(年率)、10年(年率)の標準偏差(「国際株式・オセアニア(為替ヘッジなし)」は1年、3年(年率)、5年(年率)のみ)をみると、全カテゴリー平均や安全資産とされる先進国を中心に国債に投資する「国際債券・グローバル・含む日本(為替ヘッジなし)」よりも値動きのブレが大きいことが分かる。

図表3:「資金流入」「パフォーマンス」面で良好なカテゴリーの標準偏差の推移

図表3:「資金流入」「パフォーマンス」面で良好なカテゴリーの標準偏差の推移

※ 各カテゴリーは、モーニングスターインデックス(単純)に基づく
出所:モーニングスター作成

株高一服後の注目カテゴリー

 米国と北朝鮮の軍事的衝突に対する警戒感から、9日の日経平均株価は前日比257円安となった。北朝鮮リスクを背景に、世界の株式市場には先行き不透明感が高まっている。株式市場が弱含んだ際には、「国際株式・インド(為替ヘッジなし)」、「国内小型グロース」、「国際株式・グローバル・含む日本(為替ヘッジなし)」、「国際債券・ハイイールド債(為替ヘッジなし)」、「国際株式・オセアニア(為替ヘッジなし)」といったカテゴリーから資金が流出する可能性がある。以下の図表4では、国際株式・インド(為替ヘッジなし)について、過去3年間をベースに相関係数をみることにより、値動きが逆になる傾向のあるカテゴリーを取り挙げた。相関係数とは、1に近いほど同じ値動きを、-1に近いほど逆の値動きをしやすいとされる。相関係数がマイナスとなった「国内債券・中長期債」「国内債券・短期債」のほか、海外の債券に為替ヘッジ付きで投資するカテゴリーは、「国内小型グロース」、「国際株式・グローバル・含む日本(為替ヘッジなし)」、「国際債券・ハイイールド債(為替ヘッジなし)」、「国際株式・オセアニア(為替ヘッジなし)」においても、マイナスもしくは連動性が乏しいとされる「0」近辺となった。株高一服後の受け皿となる可能性がある。

図表4:国際株式・インド(為替ヘッジなし)との相関係数

図表4:国際株式・インド(為替ヘッジなし)との相関係数

※ 各カテゴリーは、モーニングスターインデックス(単純)に基づく
出所:モーニングスター作成

(武石 謙作)

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