fund_beginer fund_search fund_look



アナリストの視点(ファンド)

アクティブ・パッシブ「通信簿」、レーティングで検証

2017-10-12

 「アクティブ対パッシブ、どちらが優位か」――。神学論争とも言われるこの議論だが、カテゴリー内でのリスク調整後リターンを5段階で格付けしたモーニングスターレーティングで見ると、どちらが優位だろうか。国内投信を対象にアクティブ・パッシブ別のレーティングの分布を見たところ、低パフォーマンスとなる2ツ星以下はアクティブが計39%とパッシブの計16%の倍以上となったのに対して、高パフォーマンスとなる4ツ星以上はアクティブが計29%と、パッシブの計43%を大きく下回っており、パッシブ優位の状況となっている(図表1)。レーティングはカテゴリー内での相対評価となるため、「市場平均」を目指すパッシブが優位であるという事実は、アクティブの多くが平均以下のパフォーマンスにとどまっていることを示す。

図表1:アクティブ・パッシブ別のレーティング分布

図表1:アクティブ・パッシブ別のレーティング分布

※ 国内公募追加型株式投信(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETF含む)が対象
※ アクティブ・パッシブの区分は投信協会の分類に基づく
※ 2017年9月末時点
出所:モーニングスター作成

 全体としては劣勢となっているアクティブだが、カテゴリーによってその度合いは異なっている。2017年9月末時点でレーティング対象ファンド10本以上のカテゴリー別にアクティブ・パッシブのレーティングを平均したところ、アクティブのレーティング平均がより大きく下回ったのは、「安定成長」や「バランス」といったバランス型ファンドのカテゴリーのほか、「国際株式・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)」など国際株式型の中でも先進国の株式に投資するカテゴリーとなった(図表2)。また、国内株式型も同様に「国内大型ブレンド」「国内大型グロース」でアクティブの劣後が目立っている。なお、「国内大型バリュー」についてはアクティブ優位の結果となったが、これはパッシブにTOPIXの業種別指数が多く含まれ、レーティングの平均を押し下げていることが関係しており、いわば敵失の結果としてアクティブが勝っている。

図表2:カテゴリー別のアクティブ・パッシブレーティング平均

カテゴリー名 アクティブ平均 パッシブ平均
国内大型バリュー 3.32 1.95 1.37
ターゲットイヤー2031〜 3.06 2.00 1.06
国際REIT・グローバル・除く日本(F) 3.14 2.69 0.45
国際債券・エマージング・複数国(F) 2.99 2.86 0.14
国際債券・グローバル・除く日本(H) 2.95 2.83 0.11
国際株式・エマージング・複数国(F) 2.96 2.86 0.10
コモディティ 3.05 3.00 0.05
国内REIT 2.95 3.22 -0.27
国内債券・中長期債 2.80 3.18 -0.37
国内大型グロース 2.89 3.37 -0.48
安定 2.82 3.50 -0.68
国際株式・北米(F) 2.72 3.50 -0.78
国際債券・グローバル・除く日本(F) 2.82 3.65 -0.83
国内大型ブレンド 2.43 3.47 -1.04
国際株式・グローバル・除く日本(H) 2.44 3.60 -1.16
バランス 2.64 3.81 -1.18
国際株式・グローバル・除く日本(F) 2.39 3.81 -1.42
安定成長 2.80 4.32 -1.52

※ アクティブ、パッシブいずれもレーティング対象ファンドが10本以上あるカテゴリーが対象。図表の「差」はアクティブの平均からパッシブの平均を引いた結果
※ (F)は為替ヘッジなし、(H)は為替ヘッジあり
※ 2017年9月末時点
出所:モーニングスター作成

海外分散投資の主要カテゴリーで、5ツ星は半分以上“実質パッシブ”

 アクティブの劣後が目立ったカテゴリーの中で特に注目されるのが、「国際株式・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)」だ。2018年からは非課税期間20年間の「つみたてNISA」がスタートするが、特に、投資期間が長い若年層にとって海外の株式に幅広く分散投資することは資産を増やす上で重要となる。実際、同カテゴリーについては近年、低コストのパッシブに安定的に資金が流入しており、ポートフォリオを構築する上で主要な資産として認知されている。同カテゴリーに属するファンド全体のうちパッシブの本数と純資産総額の比率を見ると、過去5年間で本数の比率は低下傾向にあるものの、純資産総額の比率は上昇傾向にあり、直近の2017年9月末時点では49%と、アクティブとの比率逆転が目前となっている(図表3)。着実にパッシブがシェアを伸ばす一方、アクティブはパフォーマンスが低迷する中、残高の伸びも相対的に低いことが分かる。

図表3:「国際株式・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)」における
パッシブの比率(純資産総額、本数ベース)

図表3:「国際株式・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)」におけるパッシブの比率(純資産総額、本数ベース)

※ 期間:2012年9月末〜2017年9月
出所:モーニングスター作成

 具体的に同カテゴリーに属する個別ファンドのレーティングを見ると、最高の5ツ星を獲得しているファンド11本のうち、6本がアクティブ、5本がパッシブとかろうじてアクティブが勝ったものの、アクティブのうち「EXE−i 先進国株式ファンド」が低コストのETF(上場投資信託)を組み合わせた実質的なパッシブであると考えると、やはりパッシブ優勢の状況となる(図表4)。

図表4:「国際株式・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)」に属するレーティング5ツ星ファンド一覧

ファンド名 アクティブ・パッシブ 信託報酬等
(税込・%)
トータルリターン3年間
(年率)
大和住銀 DC海外株式アクティブファンド アクティブ 1.75 11.60%
大和住銀 DC外国株式ファンド アクティブ 1.97 11.41%
ラッセル・インベストメント外国株式(DC) アクティブ 1.46 9.37%
新光 シラー・ケープ米欧株式戦略F(RC付)H無 アクティブ 1.72 8.97%
EXE-i 先進国株式ファンド アクティブ 0.32 8.85%
インデックスコレクション(外国株式) パッシブ 0.17 8.76%
DC外国株式インデックスファンドL パッシブ 0.27 8.70%
SS DCグローバル株式インデックス・オープン パッシブ 0.27 8.70%
三井住友・DC外国株式インデックスファンドS パッシブ 0.17 8.69%
インデックスF海外株式H無(DC専用) パッシブ 0.27 8.67%
MHAM 海外好配当株ファンド アクティブ 1.16 8.33%

出所:モーニングスター作成

 参考として米投信市場を見ると、米国の投資家が海外の株式に投資するファンドのカテゴリー「Foreign Large Blend」(海外大型ブレンド)では、2017年9月末時点でレーティング5ツ星を獲得した18本(最も設定が古いシェアクラスが対象)のうちすべてがアクティブとなっており、日本と大きく状況が異なる。積極的にリターンを求める投資家には海外投資の手段として優れたアクティブのニーズも高いと思われる。米国同様、日本でも優れたアクティブファンドの登場が期待される。

(坂本 浩明)

「アナリストの視点」よく読まれている記事(過去1週間)

アナリストの視点はRSSでも配信しています

バックナンバー