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アナリストの視点(ファンド)

もう一つのコスト競争で異変、“投信”VS“ETF”

2017-11-09

 国内ETF(上場投資信託)の純資産総額が急拡大している。2017年10月末時点の純資産総額は28.8兆円と、過去1年間で約10兆円増加した(図表1)。もっとも、市場拡大のけん引役と考えられるのは、年間約6兆円のETF買い入れを行う日銀だ。実際、純資産総額の内訳を見ると、日銀が買い入れ対象とするTOPIX連動型と日経平均株価連動型のETFで全体の約9割を占めており、それ以外の指数連動型(図表1の「その他」が該当)の存在感は一段と低下している。

図表1:ETFの純資産総額推移

図表1:ETFの純資産総額推移

※ 投信協会の分類に基づく
※ 期間:2007年10月末〜2017年10月末(月次)
出所:モーニングスター作成

 日銀買い入れの影響が非常に大きくなっている国内ETF市場だが、個人投資家による注目度が高まらない理由の一つとして、銀行や証券会社で購入可能な一般的なインデックス運用の投信に対して、ETFのコスト競争力が高まっていないことが挙げられる。図表2はインデックス運用の投信とETFの平均コスト(信託報酬等・税込みの単純平均)を比べたものだが、投信の平均コストは過去10年間で日経平均株価連動型が0.67%から0.53%へ、TOPIX連動型が0.67%から0.52%へ、その他の指数連動型は0.90%から0.63%へいずれも低下している。一方、ETFの平均コストは日経平均株価連動型とTOPIX連動型はほぼ横ばい。その他の指数連動型に至っては0.40%から0.43%に上昇しているが、これは様々な指数に連動するETFが相次ぎ上場する中で、必ずしも低コストではない商品が含まれていることが、コストを押し上げる要因となっている。

図表2:投信とETFの平均コスト推移

図表2:投信とETFの平均コスト推移

※ 投信は国内公募追加型株式投信(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETF除く)が対象
※ 信託報酬等(税込み)の単純平均
※ 投信協会の分類に基づく
※ 期間:2007年10月末〜2017年10月末(月次)
出所:モーニングスター作成

シティ世界国債連動型ではETFと投信のコスト“逆転”も

 コスト水準としてETFの優位性が保たれているのは確かだが、インデックス運用の投信でコスト引き下げ競争が過熱する中、ETFが現状のコスト水準を維持すれば相対的な優位性はさらに低下するだろう。

 図表3は、各種指数連動型の投信とETFに関して、最も低コストの商品の信託報酬等(税込)を比較したものだ。国内資産に関しては、TOPIX連動型でコストの差は0.11%とまだ大きいが、日経平均株価連動型では0.04%まで、東証REIT指数連動型では0.01%まで差が縮まっている。また、外国株式に関しては、日本を除く先進国株式の代表的指数であるMSCIコクサイ連動型で投信とETFが0.21%で並んだ。さらに、外国債券に関しては、日本を除く先進国債券の代表的指数であるシティ世界国債連動型で投信の方がETFよりも0.09%安くなっている。

 ちなみに、コスト競争力が高まった資産において投信のコスト最安商品を見ると、日経平均株価連動型は「iFree日経225インデックス」、「Smart−i 日経225インデックス」、「野村 つみたて日本株投信」が同水準、東証REIT指数連動型は「Smart−i Jリートインデックス」、MSCIコクサイ連動型は「iFree外国株式インデックス(H無)」、「eMAXIS Slim先進国株式インデックス」が同水準、シティ世界国債連動型は「ニッセイ 外国債券インデックスファンド」、「eMAXIS Slim先進国債券インデックス」が同水準となっており、近年のインデックスファンドのコスト競争をけん引してきたシリーズが目立つ。

 日本に先行してコスト競争が起こった米国では、ETFのコスト引き下げも加速しており、日本でもETF市場の活性化にはコスト優位性をさらに高めることが必要と考える。

図表3:投信とETFの最安コスト比較

図表3:投信とETFの最安コスト比較

※ 投信は国内公募追加型株式投信(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETF除く)が対象
※ コストは信託報酬等(税込み)
※ モーニングスターの類似ファンド分類に基づく
※ 2017年10月末時点
出所:モーニングスター作成

(坂本 浩明)

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