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アナリストの視点(ファンド)

“自作”ポートフォリオVSバランス型、軍配は?

2017-12-21

 バランス型ファンドは1つのファンドで複数資産への分散投資を可能とする、特に投資初心者にとっては使い勝手のよいファンドだ。国内外の株式・債券といった伝統的な資産にとどまらず、REIT(不動産投資信託)やヘッジファンドといった非伝統的資産も含めた幅広い資産への分散を可能にするバランス型も一般的になってきた。一方で、低コストのインデックスファンドが普及したことで、投資家自身がファンドを組み合わせて格安の“自作”ポートフォリオを作ることも可能となっている。自作ポートフォリオであっても投資する資産とファンド選びを適切に行えば、バランス型に見劣りしないパフォーマンスを達成することができる。

資産を増やすほどパフォーマンスは改善?

 自作ポートフォリオの最もシンプルな形として、国内株式、国内債券、国際株式、国際債券の4資産に均等で分散投資した場合の過去10年間のパフォーマンスを見てみよう。4資産均等の2017年11月末時点の累積リターンは39.48%と、バランス型ファンドの平均リターンである26.23%を大きく上回っており、同期間を見る限り単純な4資産均等投資でも“プロ顔負けの結果”を出せたことになる(図表1)。なお、ここでは各資産を対象とする国内投信の平均リターンであるモーニングスターインデックスを使用。運用期間中に継続的にかかる信託報酬は差し引かれた後のパフォーマンスとなっている。

図表1:過去10年間の累積リターン(4、6、8資産の均等配分とバランス型の比較)

図表1:過去10年間の累積リターン(4、6、8資産の均等配分とバランス型の比較)

※ モーニングスターインデックス(単純)の大分類に基づく。4資産均等は国内株式型、国内債券型、国際株式型、国際債券型に均等配分で投資したと仮定。6資産均等は4資産+国内REIT型、国際REIT型、8資産均等は6資産+商品指数連動型、オルタナティブ投資型に均等配分で投資したと仮定(月次リバランス)。バランス型はモーニングスターインデックス バランス型(単純)に基づく。
※ 期間:2007年11月末〜2017年11月末
出所:モーニングスター作成

 注意したいのは、自作ポートフォリオでも4資産に国内・国際REITの2資産を加えた6資産の累積リターンは45.86%とより高くなった半面、6資産にコモディティとオルタナティブ(ヘッジファンド)を加えた8資産は26.84%と、4資産を下回り、バランス型と同水準となっている点だ。つまり、いたずらに資産を増やせばパフォーマンスが改善するというわけではない。4、6、8資産均等のパフォーマンスに差が開いてきたのはここ5年間だが、この期間はまさにアベノミクス相場に該当する。8資産の過去5年間のリターンは国内株式が第1位(累積リターン172.31%)となったのに続き、国内REITが第2位(同93.23%)、国際REITは第4位(同70.58%)となるなど、REITの組み入れは比較的奏功したものの、コモディティは最下位(同▲19.46%)、オルタナティブが第6位(同27.47%)と下位にとどまっており、これが8資産均等の低迷につながった。

 資産の増加が必ずしもパフォーマンスの改善につながらないという点は、現状のバランス型についてもあてはまる。バランス型の平均資産構成比を見ると、国内株式、国内債券、国際株式、国際債券が中心ではあるものの、コモディティやヘッジファンドなどが入る「その他」の比率も9%超と、国内・国際REITの合計を上回っており、無視できない存在になっている(図表2)。非伝統的資産への投資、現金比率の調整によりリスク抑制を目指すファンドが近年相次ぎ設定されているものの、必ずしも成果を発揮しているわけではない。8資産均等とバランス型ファンドの過去10年のパフォーマンスが同水準となったのはこうした点も背景にあると考えられる。

図表2:バランス型ファンドの平均資産構成比

図表2:バランス型ファンドの平均資産構成比

※ モーニングスター大分類「バランス型」に属するファンドを対象に、直近の運用報告書に基づき計算
出所:モーニングスター作成

自作でもアクティブは苦戦…

 もう1つ、自作ポートフォリオを作る上で気を付けたいのが、アクティブとパッシブの選択だ。国内外株式・債券を対象にパッシブとアクティブ別に4資産へ均等投資した場合の累積リターンを見ると、2017年11月末時点でパッシブが39.69%と、アクティブの28.76%を大きく上回った。当然ながら、この差は各資産におけるアクティブとパッシブのパフォーマンスの優劣が要因となっている。アクティブの4資産均等はバランス型とほぼ同じ累積リターンとなっており、自作ポートフォリオであってもアクティブファンドを組入れた場合は苦戦を強いられている。国内外株式・債券の4資産の過去10年間の累積リターンは、国内株式を除いた3資産でアクティブがパッシブを下回る結果となったが、中でも国際株式はアクティブがパッシブを41.75%下回る“大敗”となり、アクティブ全体の足を引っ張る結果となった。

図表3:過去10年間の累積リターン
(アクティブ・パッシブ別の4資産均等投資とバランス型の比較)

図表3:過去10年間の累積リターン(アクティブ・パッシブ別の4資産均等投資とバランス型の比較)

※ モーニングスターインデックス(単純)の類似ファンド分類に基づく。4資産均等(パッシブ)はTOPIX連動型、NOMURA-BPI(総合)連動型、MSCIコクサイ(円ベース)連動型、シティ世界国債(除く日本、円ベース)連動型に均等配分で投資したと仮定。4資産均等(アクティブ)は国内大型ブレンド、国内債券・中長期債、国際株式・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)、国際債券・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)に均等配分で投資したと仮定(月次リバランス)。バランス型は図表1と同様。
※ 期間:2007年11月末〜2017年11月末
出所:モーニングスター作成

 また、バランス型をモーニングスターの類似ファンド分類に基づき、安定・安定成長・バランス・成長と4つに分け、それに対して自作ポートフォリオの累積リターンと比較した場合でもパッシブが全てのタイプでアクティブ、バランス型に対して優位となっており、リスク資産(株式・REIT)の比率にかかわらずパッシブのパフォーマンスは良好となっている。一方で自作ポートフォリオでもアクティブは安定や安定成長ではバランス型を上回ったものの、バランスや成長では下回っており、まちまちの結果となった。

図表4:過去10年間の累積リターン(自作アクティブ・パッシブとバランス型の比較)

図表4:過去10年間の累積リターン(自作アクティブ・パッシブとバランス型の比較)

※ モーニングスターインデックス(単純)の類似ファンド分類に基づく。自作アクティブは図表2の4資産均等アクティブで用いた指数に基づき、株式・債券比率を安定は「12.50%:87.50%」、安定成長は「37.50%:62.50%」、バランスは「62.50%:37.50%」、成長は「87.50%:12.50%」で月次リバランスしたと仮定して計算。自作パッシブは図表2の4資産均等パッシブで用いた指数に基づき、上記の比率で月次リバランスしたと仮定して計算。バランス型は安定がバランス・安定型、安定成長がバランス・安定成長型、バランスがバランス・バランス型、成長がバランス・成長型に基づく
※ 2017年11月末時点
出所:モーニングスター作成

コスト0.20%弱でポートフォリオ構築も可能

 自作ポートフォリオにおいてパッシブのリターンがアクティブやバランス型のリターンを長期で上回る背景としてはコストの影響が大きい。バランス型ファンドの信託報酬等(税込)の平均は2017年11月末時点で安定が1.16%、安定成長が1.29%、バランスが1.27%、成長が1.48%と、いずれも1%台前半となっている。これに対して、パッシブファンドで自作ポートフォリオを作成する場合、例えば4資産でそれぞれコスト最安のファンドを選べば0.20%弱に抑えることができ、バランス型に投資するより1%近く引き下げることが可能となる。ファンド選びの手間を惜しまずコスト優先の投資家にはおすすめだ。

(坂本 浩明)

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