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アナリストの視点(ファンド)

2018年は株式型への注目継続、下落局面への想定も

2017-12-28

 米トランプ政権のスタート、北朝鮮の核・ミサイル問題、スペイン・カタルーニャ自治州の独立問題、そして国内では衆院選と世界各地で様々な出来事があった2017年。2017年の国内5,000本以上のファンド(※)のパフォーマンスを資産カテゴリー別に振り返ると、株式型の圧勝となった。

(※)国内公募追加型株式投資信託(確定拠出年金及びファンドラップ専用、ETF等含む)

2017年は株式型が高パフォーマンス

 モーニングスター大分類別(特殊運用型除く)の年初来リターン(2017年12月27日時点)をみると、国内株式型が28.15%でトップ、第2位は国際株式型で19.28%となった。(図表1参照)。2017年の世界株式市場は、NYダウ、独DAX指数をはじめ、新興国ではインドのSENSEX指数などが過去最高値を更新。国内株式市場も、日経平均株価が1996年のバブル崩壊後高値を更新するなど、四半世紀ぶりの高値水準に沸いた。世界的な株高を背景に、株式型が高パフォーマンスを挙げたことは頷ける。

図表1:大分類別の年初来パフォーマンス

図表1:大分類別の年初来パフォーマンス

※ 期間:2017年12月27日まで
※ モーニングスター大分類(特殊運用型除く)に基づく
出所:モーニングスター作成

国内株式型では中小型、海外株式型では中国、インドなどが際立つ

 国内株式型を詳しくみると、中小型株の高パフォーマンスぶりが一際際立った。モーニングスターの73カテゴリー(特殊運用型の6カテゴリーを除く)の年初来リターン(同日時点)をみると、国内小型・中型のバリュー、ブレンド、グロースの6カテゴリーすべてが上位10位以内にランクインした(図表2参照)。東証の規模別株価指数の年初来(同日時点)のリターンをみると、小型株30.58%、中型株22.63%、大型株17.63%と、中小型株が優位であった。株価上昇過程で大型株に利益確定売りが広がる中でも、中小型株は旺盛な買いを背景に上昇が継続したもようだ。

図表2:年初来パフォーマンス上位10カテゴリー

図表2:年初来パフォーマンス上位10カテゴリー

※ 期間:2017年12月27日まで
※ カテゴリーはモーニングスターインデックス(単純)に基づく
※ (F)=為替ヘッジなし、(H)=為替ヘッジあり
出所:モーニングスター作成

 国際株式型では、「国際株式・中国(為替ヘッジあり)」、「国際株式・中国(為替ヘッジなし)」、「国際株式・インド(為替ヘッジなし)」、「国際株式・エマージング・複数国(為替ヘッジあり)」が上位10位にランクインした。2017年の中国株式市場は、北朝鮮問題が意識される中でも堅調に推移した。インドでは、モディ政権の政策による経済成長期待が強い。

2018年の株式市場も堅調スタートか

 2018年の世界の株式市場も堅調なスタートが見込まれる。米国では、現地12月22日に、大型減税を柱とした税制改革法案が成立した。2018年単年への影響は不透明だが、減税が企業や消費者の心理に及ぼすプラスの影響は大きく、過去最高値圏にある米国株式は一段の上値追いが期待される。また、米国では、緩やかな基調とはいえ、2018年に3回の利上げが見込まれている。一方、我が国では、日銀による金融緩和路線の継続が予想される。この結果、為替相場はドル高・円安基調での推移が見込まれ、2018年の国内株式市場は、輸出関連株を中心とした株高基調でスタートすると予想される。2018年も株式型が関心を集める展開が継続して始まろう。

日経平均が調整した場合への備えも

 ただ、株価調整局面への備えも考えておく必要があろう。イスラエルなど中東情勢や北朝鮮問題などの地政学リスクが拭えない。2017年秋以降に株価上昇が加速していることもあり、高値警戒感からの利益確定売りが優勢となる恐れもある。

 そこで、2017年までの10年間において、日経平均株価の年明け1月の下落率が大きく、年前半(1−6月)の下落率も大きかった2008年、2014年、2016年について、年前半のリターン上位10カテゴリー(特殊運用型除く)をみると、以下のようになった(図表3参照)。

図表3:年前半(1−6月)のトータルリターン上位10カテゴリー

■2008年

カテゴリー名 トータルリターン
(6カ月)
コモディティ 20.16%
国際債券・オセアニア(F) 4.10%
国際債券・エマージング・単一国(F) 3.02%
国際債券・物価連動債(H) 2.93%
国内債券・物価連動債 0.88%
国際債券・物価連動債(F) -0.20%
国際債券・欧州(F) -0.39%
国際株式・ロシア(F) -0.68%
国際債券・エマージング・複数国(H) -1.03%
国内債券・中長期債 -1.14%

■2014年

カテゴリー名 トータルリターン
(6カ月)
国際株式・インド(F) 23.25%
国際REIT・グローバル・除く日本(H) 15.09%
国際REIT・特定地域(H) 14.48%
国際株式・エマージング・単一国(H) 12.99%
国際REIT・グローバル・含む日本(F) 12.05%
国際REIT・グローバル・含む日本(H) 11.99%
国際REIT・特定地域(F) 11.43%
国際REIT・グローバル・除く日本(F) 11.26%
国際株式・エマージング・単一国(F) 10.21%
国際株式・エマージング・複数国(H) 8.37%

■2016年

カテゴリー名 トータルリターン
(6カ月)
国際株式・ブラジル(F) 15.37%
国際株式・エマージング・単一国(H) 10.65%
国際債券・エマージング・複数国(H) 8.76%
国際REIT・グローバル・除く日本(H) 7.19%
国際REIT・特定地域(H) 6.77%
国際債券・物価連動債(H) 6.64%
国際株式・グローバル・除く日本(H) 5.81%
国内債券・中長期債 4.82%
国際REIT・グローバル・含む日本(H) 4.65%
国際債券・グローバル・除く日本(H) 4.63%

※ トータルリターン(6カ月)は、各モーニングスターインデックス(単純)を使用
※ (F)=為替ヘッジなし、(H)=為替ヘッジあり
※ 各年6月末時点
出所:モーニングスター作成

 2008年と2016年をみると、債券型が目立つ。株価調整局面におけるリスク回避の受け皿としての役割を果たしており、今後調整局面に入った場合にも、有力なカテゴリーとして意識されよう。一方、2014年、2016年では国際REIT型が目立つ。ただ、国際REIT型は2017年を通じて資金流出基調が続いており、今回は見送るのが無難であろう。

 2008年、2014年、2016年を通じて気に掛かるのが新興国株式の存在である。2008年は「国際株式・ロシア(F)」が、2014年は「国際株式・インド(F)」などが、2016年は「国際株式・ブラジル(F)」などが上位にランクインした。2008年、2014年、2016年の主要株価指数の年初からの1カ月、3カ月、6カ月の騰落率をみると、日米が低調もしくは戻りが鈍い中で、図表3でリターン上位に入った新興国は、株価指数が先んじて反転していたことが分かる(図表4参照)。なお、「国際株式・ロシア(F)」は2016年前半のトータルリターンにおいて、上位13位であった。

図表4:主要株価指数の年初来騰落率

■2008年

  日本 米国 ドイツ 中国 ブラジル インド ロシア
1カ月 -11.21% -4.63% -15.07% -16.69% -6.88% -13.00% -16.74%
3カ月 -18.18% -7.55% -18.99% -34.00% -4.57% -22.88% -10.33%
6カ月 -11.93% -14.44% -20.44% -48.00% 1.77% -33.64% 0.56%

■2014年

  日本 米国 ドイツ 中国 ブラジル インド ロシア
1カ月 -8.45% -5.30% -2.57% -3.92% -7.51% -3.10% -9.82%
3カ月 -8.98% -0.72% 0.04% -3.91% -2.12% 5.74% -15.02%
6カ月 -6.93% 1.51% 2.94% -3.20% 3.22% 20.04% -5.31%

■2016年

  日本 米国 ドイツ 中国 ブラジル インド ロシア
1カ月 -7.96% -5.50% -8.80% -22.65% -6.79% -4.77% -1.55%
3カ月 -11.95% 1.49% -7.24% -15.12% 15.47% -2.97% 15.74%
6カ月 -18.17% 2.90% -9.89% -17.22% 18.86% 3.38% 22.95%

※ 日本:日経平均株価、米国:NYダウ、ドイツ:DAX指数、中国:上海総合指数、ブラジル:ボベスパ指数、インド:SENSEX指数、ロシア:RTS指数
出所:モーニングスター作成

 2018年に日経平均株価が下落局面に転じた場合には、相対的に株価が堅調な新興国株式に投資するファンドが関心を集める可能性がある。

(武石 謙作)

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