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アナリストの視点(ファンド)

NYダウ暴落―バリュー株に“反転シグナル”

2018-02-08

 2017年を振り返ると、米国株式市場をけん引してきたのはグロース(成長)株であった。米モーニングスターのカテゴリー別にファンドのリターン平均値(ドルベース)を見ると、2017年は大型、中型、小型いずれもグロース株がバリュー(割安)株を大きく上回っている(図表1)。また、2018年は2月5日にNYダウが前営業日比で1,175ドル安と過去最大の下げ幅を記録するなど、年初の株高基調から下落トレンドに急転回したものの、年初来リターン(2月6日まで)はグロース株優位の状況が継続している。

図表1:米国籍米国株式ファンドのカテゴリー別リターン

図表1:米国籍米国株式ファンドのカテゴリー別リターン

※ 米モーニングスターカテゴリー別のリターン平均値(ドルベース)
※ 2018年(年初来)は2018年2月6日まで
出所:モーニングスター作成

過去10年の経験則では…

 今後もバリュー株の劣後が継続するかを考える上で注目したいのが過去のバリュー株とグロース株の相対リターンの比較だ。米国籍のバリュー株ファンドの1年リターン平均値からグロース株ファンドの1年リターン平均値を差し引いた値を、「バリュー株ファンドの超過リターン」として算出し、過去10年間の推移を見た(図表2)。これによると、大型、中型、小型の規模にかかわらず、バリュー優位・劣後に同様のパターンが見られる。

 また、超過リターンのプラス、マイナスの幅を見ると、どちらも10%近辺に達した段階でトレンドが転換する傾向が見られる。直近では2018年1月末までの1年リターンは大型が▲12.50%、中型が▲11.66%、小型が▲12.98%と、概ねレンジの下限にきており、過去10年の経験則からは“反転シグナル”が点灯した格好だ。

図表2:米国籍米国株式ファンドのバリュー株のグロース株に対する1年超過リターン推移

図表2:米国株式ファンドのバリュー株のグロース株に対する1年超過リターン推移

※ 1年超過リターンは、米モーニングスターカテゴリー別のリターン平均値(ドルベース)に基づき、各規模別にバリューからグロースのリターン平均値を引いて算出
※ 期間:2008年1月〜2018年1月
出所:モーニングスター作成

大型バリューに資金回帰、長期投資家購入の可能性

 もう1つ、バリュー株にとってのプラス材料と言えるのが、ファンドの資金フローだ。米国籍の米国株式ファンドのうち、最も純資産額が大きい大型を対象に、2017年の純資金流出入(米モーニングスター推計値)の推移を見ると、大型バリューに属するファンドの純資金流出入額が直近の2017年12月に7億ドル(755億円)と小幅であるものの、10カ月ぶりに流入超過に転じた(図表3)。一方の大型グロースは昨年1年間を通じて純資金流出が継続しており、良好なパフォーマンスとは裏腹に、実はいち早く投資家離れの動きが鮮明となっている。

 また、2017年12月の大型バリューに属するファンドの純資金流入上位は、トップ10のうち 7本がETF(上場投資信託)となっている。市場全体に投資するパッシブ運用で、且つ低コストのETFに資金が戻ってきたことは、長期スタンスの投資家が購入している可能性も考えられる。

図表3:米国籍米国株式ファンドのカテゴリー別純資金流出入額(米モーニングスター推計値)

図表3:米国籍米国株式ファンドのカテゴリー別純資金流出入額(米モーニングスター推計値)

※ 期間:2017年1月〜2017年12月
出所:モーニングスター作成

 NYダウは2月5日の暴落後、6日に反発したものの、依然として株安のきっかけとなった金利の動向などを注視しながら神経質な展開が続くと予想される。2008年の金融危機においては、米国株式が全面安となる中、バリュー株とグロース株で見るとバリュー株の方が相対的なパフォーマンスは良好であった。株高局面ではグロース株が投資家の関心を集めてきたが、先行きに対する警戒感が高まる中でバリュー株への分散投資が見直されそうだ。

(坂本 浩明)

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