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アナリストの視点(ファンド)

改めて確認しておきたい分散投資のポイント ―相性の良い資産の組み合わせ方―

2018-04-19

 2018年第1四半期は、米国における金利上昇に伴う景気悪化懸念を発端として国内外を問わず多くの資産価値の下落に見舞われた。春以降も米国での金融引き締めや東アジア・中東での地政学リスクなど、不安定要因も多い中で安定した資産運用を行いたいと考えている投資家も多いことだろう。今回は分散投資の原則に立ち返り、リスクを抑えた運用を行うため相性の良い資産の組み合わせについて考えてみたい。

相関係数を活用して資産毎の相性を理解する

 分散投資のポイントは、異なる値動きをする資産を上手に組み合わせることにより資産価格の変動(リスク)を抑えつつリターンを確保するということにある。連動性の低い資産に分散して投資をすることにより投資をしている資産が一斉に下落することを防止することができる。

 この際に活用できる指標が相関係数である。相関係数とは、ある2つの資産の値動きの関係性を数値化したものである。1から−1までの値を取り、1に近いほど連動性が高く、−1に近いほど正反対の値動きをすることを表している。また、0に近いほど両者の値動きに関連性がみられないことを表している。

 以下の図表1は資産Aと資産Bの相関係数が高い場合と、低い場合において資産Aと資産Bの平均リターンがどのような動きをするかを示した例になる。高いケースは相関係数が1に近いケース、低いケースでは−1に近いケースである。相関係数の高い資産に投資した場合と比べて低い資産に投資をした場合の方が、よりリターンが安定しやすい傾向にあることを示している。そのため安定性を重視する場合には相関係数が低くなる組み合わせをすることが重要になってくる。

図表1:相関係数の見方の例(相関係数が高いケース、低いケース)

図表1:相関係数の見方の例(相関係数が高いケース、低いケース)

具体的な組み合わせ方のポイント

 続いて具体的な資産別の相関関係について確認したい。以下の2、3、4の図表はモーニングスター大分類別に見た2018年3月末時点を基準とする過去5年間、10年間、15年間の資産クラス別の相関係数を示した図である。まず、注目すべきは国内株式型と国際株式型の相関係数は過去10年で見ると0.82と高い水準となっている点である。なお詳細は割愛するが、先進国株式と新興国株式の連動性も高い水準となっており、株式投資内で投資対象の国を分けるカントリーリスクの分散だけではなく、ポートフォリオの値動きを安定させるためには他の資産との組み合わせることが重要であるといえる。

 相関係数が小さく、連動性が低い組み合わせとしては、国内株式型と国内債券型、国際株式型と国内債券型の組み合わせ、国内債券型と国際債券型の組み合わせなどがある。また、国内REIT型資産、国際REIT型資産も債券を中心に他の資産との連動性が低い傾向にある。国際株式型と国際債券型は過去10年で見ると相関係数が0.92と非常に連動性が高いものの、為替相場の要因が大きい点に注意が必要である。安定性の観点からは為替の影響を軽減できる「為替ヘッジあり」の投資信託を活用することで連動性をより抑えることができる可能性が高まる。

図表2:【過去5年間】の各資産間の相関係数

  国内株式型 国際株式型 国内債券型 国際債券型 国内REIT型 国際REIT型
国内株式型 -          
国際株式型 0.80 -        
国内債券型 -0.29 -0.23 -      
国際債券型 0.76 0.90 -0.13 -    
国内REIT型 0.35 0.34 0.26 0.34 -  
国際REIT型 0.58 0.74 0.10 0.79 0.40 -

期間:2013年4月〜2018年3月
国内株式型=モーニングスターインデックス 国内株式型(単純)、
国際株式型=モーニングスターインデックス 国際株式型(単純)、
国内債券型=モーニングスターインデックス 国内債券型(単純)、
国際債券型=モーニングスターインデックス 国際債券型(単純)、
国内REIT型=モーニングスターインデックス 国内REIT型(単純)、
国際REIT型=モーニングスターインデックス 国際REIT型(単純)、
(以下、全て同様)

図表3:【過去10年間】の各資産間の相関係数

  国内株式型 国際株式型 国内債券型 国際債券型 国内REIT型 国際REIT型
国内株式型 -          
国際株式型 0.82 -        
国内債券型 0.03 0.08 -      
国際債券型 0.76 0.92 0.11 -    
国内REIT型 0.66 0.56 0.36 0.52 -  
国際REIT型 0.69 0.83 0.26 0.77 0.53 -

期間:2008年4月〜2018年3月

図表4:【過去15年間】の各資産間の相関係数

  国内株式型 国際株式型 国内債券型 国際債券型
国内株式型 -      
国際株式型 0.75 -    
国内債券型 -0.04 0.05 -  
国際債券型 0.64 0.87 0.15 -

期間:2003年4月〜2018年3月
※国内REIT型および国際REIT型は運用期間が最も長いファンドでも運用期間が15年に満たないため算出せず

国内株式型との組み合わせを中心に長期的な傾向を把握する―直近の連動性は低下傾向―

 最後に直近の連動性の変化を確認したい。以下の図表5は国内株式型に対する各資産クラス別の相関係数について過去5年間(2013年4月〜2018年3月)とその前の5年間(2008年4月〜2013年3月)について示した図表である。図表から国内株式型と他の5つの資産クラスの組み合わせ全てで相関係数が下がっていることが分かる。

 国内債券型との組み合わせについては期間を問わず非常に相関係数は低い水準となっており、直近の5年間ではマイナスとなるなど、リスク分散の観点から見ると優れた組み合わせ方といえる。また、国内REIT型との相関係数は大きく低下しているが、リーマンショックを挟んだ2013年3月までは、急落の後に回復という比較的両者が近い動きをしていたのに対して、2016年は国内株式市場で株価が伸び悩む中でREITは堅調であったこと、反対に2017年以降は株高の中で国内REIT市場が不調であったことなど、両者の値動きが異なったことを要因として挙げることができる。

 全体としてみると直近5年間はその前の5年間と比べて連動性は低下し、より分散効果が有効に機能したといえる。なお、その他の資産カテゴリー同士の組み合わせを見ても国際債券型と国際REIT型の組み合わせ以外では相関係数が低下している。ポートフォリオのリバランスを行う際には、資産間の相性についても考慮することでより安定感あるポートフォリオの構築が可能となるだろう。

図表5:国内株式型と各資産クラスの組み合わせにおける相関係数の変化

図表5:国内株式型と各資産クラスの組み合わせにおける相関係数の変化

期間:2018年3月までの5年間、2013年3月までの5年間を比較

(永長 祥典)

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